国内景気、大企業は悪化も中小企業・小規模企業は横ばい TDB調査

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、全国2万6674社を対象とした2025年3月の国内景気動向を調査・集計し、景気DIとして発表した。ここでは毎月紹介している企業規模別の集計結果を掲載する。
2025年3月の景気DIは前月から横ばい

TDBの発表によると、2025年3月の景気DIは43.5で、前月から横ばいとなっている。食品や原材料の価格の高止まりがあったものの、人出の増加が下支えしたようだ。今後についてTDBは「IT関連の設備投資などが支えるものの、世界経済の不確実性が高まり、横ばい傾向が続く」との見解を示している。
日経平均株価が今年最大の下げ幅を記録するなど、金融市場で米国の経済政策変更による影響を大きく受けた3月。食品や原材料などの価格の高止まり、人材確保の困難さも、引き続き幅広い業種の収益を圧迫。景況感を下押しする要因となった。一方で、インバウンドや再開発需要、人出の増加が景気を押し上げた。さらに、関税引き上げや利上げ前の駆け込み受注がプラスとなったほか、年度末や新生活需要が小売業や不動産業を中心に景況感を下支えしたという。
大企業は2カ月ぶりに悪化 中小企業・小規模企業は横ばい

「大企業」(47.9):前月比0.3ポイント減
6業界が悪化、4業界が改善となった大企業では、2カ月ぶりの悪化となった。原材料費や人件費、運送費などの上昇が収益を圧迫したとみられている。3カ月連続の悪化となった『不動産』は、物件による売れ行きの違いが拡大したという。
「中小企業」(42.7):前月比横ばい
大企業では悪化した『不動産』だが、中小企業では都市部への賃貸回帰などで家賃の引き上げが好材料に。一方で、下押し要因となった『製造』では、アパレル製造のほか電気機械や自動車関連が悪化したという。
「小規模企業」(41.6):前月比横ばい
小規模企業は6業界が改善、4業界が悪化。『小売』は自動車部品など期末セールの売り上げがプラス要因となったが、印刷業は需要が大きく減少し2年1カ月ぶりに20台へ落ち込んだと報告されている。
調査概要
調査期間:2025年2月14日~2月28日
調査方法:インターネット調査
調査対象:調査対象2万6674社、有効回答1万716社、回答率40.2%
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:2025年3月の景気動向調査(株式会社帝国データバンク)
まとめ
2025年3月は国内景気が横ばいで推移したことが明らかになった。規模別にみると、大企業のみ悪化し、中小企業・小規模企業は横ばいという結果に。規模間格差は5.2で、4カ月ぶりに縮小したという。
米国の関税引き上げによる世界経済の減速は、国内景気への影響も大きいと考えられる。企業からは「賃上げ疲れ」との声も寄せられたというが、実質賃金の増加と個人消費の拡大という好循環を作れるかどうかが、国内景気改善のポイントとなりそうだ。