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「コンプライアンス違反」倒産が前年度比35.4%増で過去最多に TSR調査

2025.04.07

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2024年度の「コンプライアンス違反」倒産(負債1000万円以上)について、集計・分析を実施。2024年度、初めて300件を突破し、過去最多を更新したことを明らかにした。

前年度から1.3倍に急増 初めての300件超え

前年度から1.3倍に急増 初めての300件超え

TSRはこれまでの推移として、コロナ禍前の2017年度は211件で、資金繰り支援策が奏功したコロナ禍は2020年度93件、2021年度107件、2022年度116件と100件前後の低水準であったことを解説。しかしコロナ禍が落ち着いた2023年度には、支援策の終了・縮小に伴い234件と一気に増加したという。

そして2024年度、公租公課の滞納への徴収が厳格さを増した「税金関連」が約1.4倍増となるなど、全体で増勢を強め、過去最多の317件(前年度比35.4%増)に増えたことが判明した。

2024年度の内訳としては、税金滞納等の「税金関連/172件(前年度比38.7%増)」が最多で、詐欺・横領、偽装などを含む「その他/73件(同28.0%増)」「不正受給/42件(同75.0%増)」「粉飾決算/21件(同10.5%増)」「雇用関連/9件(同10.0%減)」が続いている。

出典元:2024年度「コンプライアンス違反」倒産 過去最多317件 「粉飾決算」がコロナ禍の2.3倍増、「税金関連」も大幅増(株式会社東京商工リサーチ)

「粉飾決算」がコロナ禍の2.3倍 産業別では5産業が増加

「粉飾決算」がコロナ禍の2.3倍 産業別では5産業が増加

TSRは2024年度の「粉飾決算」に起因する倒産について、21件(前年度比10.5%増)となり、コロナ禍前の2019年(21件)と同水準になったことを報告。コロナ禍の2020年度(9件)と比較すると2.3倍増となった。借入金の返済猶予などの支援要請で粉飾が発覚するケースが目立つという。

また、産業別では10産業のうち5産業で増加したことが判明。「サービス業他/114件(前年度比60.5%増)」が最も多く、次いで「建設業/63件(同96.8%増)」「製造業/38件(同52.0%増)」「情報通信業/19件(同137.5%増)」「金融・保険業/4件(同100.0%増)」が続いている。一方で「卸売業/31件(同11.4%減)」「運輸業/26件(同10.3%減)」「小売業/19件(同13.6%減)」「不動産業/3件(同57.1%減)」では減少がみられている。

なお、負債別では「1億円以上5億円未満/115件(前年度比41.9%増)」「5千万円以上1億円未満/67件(同45.6%増)」「1千万円以上5千万円未満/66件(同53.4%増)」が多く、1億円以上の合計が184件(同26.8%増)と全体の58.0%を占めたことも判明している。

まとめ

初めての300件超えとなった「コンプライアンス違反」倒産。TSRによれば、倒産全体に対する構成比は3%超まで高まるとの見通しだという。コロナ禍から2.3倍となった粉飾決算による大型倒産も相次いでおり、負債1億円以上が全体の約6割に迫る。

TSRは粉飾決算による倒産の増加について、金融機関の融資や支援に変化をもたらし、他の企業にまで影響が及ぶ可能性があると指摘する。今後も増加が見込まれている「コンプライアンス違反」倒産の動向に、注意が必要だ。