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クラウド化で効率化が進む人事評価だが「従業員の納得感」に課題 jinjer調査

2025.04.08

jinjer株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:桑内孝志)は、企業の人事担当者の計360名を対象に「人事評価における実施状況と課題の実態」に関する調査を実施。従業員エンゲージメントや生産性の向上に欠かせないとも言える「人事評価制度」の整備について、課題を抱える企業も多いとして、その実態を明らかにした。

調査概要

調査概要:人事評価における実施状況と課題の実態
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年3月21日~同年3月23日
調査対象:企業の人事担当者 計360名
出典元:jinjer株式会社

約半数がクラウド型システムで実施 改善を求める機能は?

約半数がクラウド型システムで実施 改善を求める機能は?

本調査では人事評価をどのような方法で管理しているか質問。その結果「クラウド型人事評価システム(48.1%)」「紙ベース(Excelや紙の書類)(40.8%)」「自社開発のツール(33.6%)」が上位に挙げられている。

なお、人事評価を行う頻度については「年2回(51.9%)」との回答が最も多い結果となったことが報告された。

さらに、人事評価管理方法で改善点として求める機能としては「評価基準の明確化・可視化(50.3%)」「フィードバックの仕組み強化(従業員との対話の機会増加)(50.0%)」「評価フローの自動化・効率化(40.0%)」「目標設定と評価を紐づける機能(31.7%)」などが多く挙げられている。

「納得感が得られにくい」ことに課題感

「納得感が得られにくい」ことに課題感

また本調査では、人事評価における課題に関して「従業員の納得感が得られにくい(40.3%)」「評価基準が不明確で、公平性に欠ける(40%)」「フィードバックが十分に行われていない(36.1%)」「評価フローが煩雑で管理が負担になっている(35.3)」との声が多く寄せられたという。

納得度を高めるために必要だと感じる取り組みについては「評価基準の明確化(評価の透明性を高め、評価項目や基準を明確にすること)(47.2%)」「フィードバックの充実(上司と従業員の定期的な対話やフィードバックの強化)(46.9%)」「評価プロセスの可視化(評価の流れをシステム化し、どのように決定されたかを明確にする)(43.6%)」が多いようだ。

さらに、評価者(上司やマネージャー)が評価を行う際に感じる課題としては「評価の基準が不明確でブレが生じやすい(50.3%)」「評価業務の負担が大きい(時間がかかる、ツールが使いにくい)(48.6%)」「甘辛調整が必要になり、公平な評価が厳しい(35.6%)」などが多いことが判明した。

フィードバックは「直属の上司による個別面談」が最多 7割が甘辛調整を実施

フィードバックは「直属の上司による個別面談」が最多 7割が甘辛調整を実施

続いて本調査では、人事評価結果のフィードバック方法について質問。最も多い回答は「直属の上司が個別に面談を実施(72.5%)」で、次いで「人事部門が全社的なガイダンスを実施(40%)」「システム上で結果を共有(28.9%)」が続くという。中には「フィードバックは特に行われていない(9.4%)」と回答した企業も存在していることが明らかになった。

また、人事評価を行う際「甘辛調整」で評価のバランスを取る対応が行われているか尋ねる項目では「一部の評価者のみ行っている(44.7%)」「ほぼ毎回行われている(28.9%)」を合わせて、7割超が甘辛調整を実施している実態が判明している。

人事評価の課題で特に重視するのは?

人事評価の課題で特に重視するのは?

さらに本調査では、人事評価の課題に関して、特に重視しているポイントについて質問。その結果「評価の客観性・公平性の確保(評価者の個人的な印象やバイアスの影響を排除し、公平性を担保することを重視)(44.4%)「評価基準の明確化(評価基準が不明確で、評価者によるブレを防ぐことを重視)(42.5%)」「フィードバックの充実(評価結果に対する十分な説明を行い、納得感を高めることを重視)(39.7%)」が上位に挙げられたという。

そのほか「目標設定と評価の整合性(実際の業務内容と評価基準が適切にリンクするよう整備することを重視)(30.0%)」「評価プロセスの効率化(評価業務の煩雑さを軽減し、円滑に進めることを重視(26.4%)」「評価結果の適正な反映(評価結果が昇進・昇給などに適切に結びつく仕組みを確立することを重視(23.9%)」といった声も寄せられていた。

まとめ

人事評価についてクラウドシステムを活用する企業が約半数に及んでいるものの、課題として「従業員の納得感」や「評価基準の不明瞭さ」が多く挙げられている。人手不足が深刻化する中、人事評価についても効率化を図る動きは今後も続くだろう。しかしながら、信頼性が重視される人事評価においては、効率化だけ進めていては本来の効果が得られない可能性もある。

従業員エンゲージメントや生産性の向上につながる人事評価を実施する上では、今回課題に挙げられた「従業員の納得感」は大きなポイントになる。評価基準をいかに公平かつ明確に定めるか、という点を重視しながら、その中で人事担当者の負荷を軽減する取り組みも実施していくことが最善だろう。改めて自社の評価制度について見直す機会としていただきたい。