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3割超の企業が5年以内に「拠点を新設・増床」の可能性 TSR調査

2025.12.29

株式会社東京商工リサーチ(TSR)は、企業向けに「拠点開発」に関するアンケート調査を実施。企業がこれから5年以内に拠点を新設・増床する可能性や、開設を予定している場所などについて明らかにした。

調査概要

調査期間:2025年12月1日~12月8日
調査方法:インターネットによるアンケート調査
有効回答:6135社
出典元:企業の3割が「5年以内に拠点を新設・増床を予定」  国内は「関東」、「中部」が上位、中国は0.4%と低迷(株式会社東京商工リサーチ)
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(資本金がない法人・個人企業を含む)を中小企業と定義

「新設・増設の予定がある」33.1%

「新設・増設の予定がある」33.1%

TSRの調査によると、向こう5年の拠点開発の予定について「新設・増設の予定はない(66.8%/6135社中4103社)」と回答した企業が最多となった。規模別に見ると「大企業:57.5%(462社中266社)」「中小企業:67.6%(5673社中3837社)」と、10ptほどの差が開いた。

一方で「開発予定がある(33.1%/2032社)」との回答は3割超。拠点の種類別では「支店、事務所の新設・増床(15.4%/949社)」が最も多い。

続いてTSRは、拠点の新設・増設の予定があると回答した企業を対象に、開発予定の場所について質問。構成比が最も高いのは「関東地方:39.7%(1992社中791社)」で、次いで「中部地方:19.9%(397社)」「近畿地方:17.7%(354社)」が続いている。海外では「アジア(中国除く):4.1%(82社)」が最も多く、次いで「米国:0.7%(14社)」「インド:0.6%(12社)」「中国:0.45%(9社)」が続く結果となった。

すべての拠点の種類で関東地方が最多に

すべての拠点の種類で関東地方が最多に

また、TSRは拠点の種類と場所のクロス集計を実施。国内では、全ての拠点の種類で「関東地方」が最多となった。次点の「中部地方」は「研究拠点:24.1%(91社中22社)」「製造拠点:26.0%(488社中127社)」「物流拠点:25.9%(289社75社)」という結果に。「近畿地方」が高かったのは「本社増床:18.0%(676社中122社)」「支店、事務所:20.2%(934社中189社)」だった。海外では全ての拠点の種類で「アジア(中国除く)」が最多だった。

場所の選択理由としては、大企業、中小企業ともに「社内(グループ含む)との連携がとりやすい54.0%(1071社)」が最も多かった。次いで「取引先との連携がとりやすい(39.9%)」「新規取引先の確保(22.8%)」と続いた。

まとめ

拠点の新設・増床において、既存事業との親和性や社内外との連携のしやすさなど、運営面を重視する傾向にあることが可視化された本調査。

この結果を受けTSRは「補助金や税制優遇といった『建てる支援』の側面が強い制度については、企業誘致としての効果を十分に得られていない可能性がある」と分析。人材確保やビジネスマッチングといった、開発後の事業を「育てる支援」が求められていると解説した。

拠点展開は企業の成長に欠かせない、重要な戦略的施策となる。目的と計画に基づいた、より効果的な展開を進めていくためにも、地の利や支援策も含めて情報収集したい。