「価格転嫁」進んだ企業は6割未満「取適法」の影響は限定的 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、中小企業を対象に、2025年度の価格協議(価格転嫁)の進行状況に関するアンケートを実施した。
調査概要
調査期間:2026年1月30日~2月6日
調査方法:インターネットによるアンケート調査を実施
有効回答:5152社
出典元:2025年度に「価格転嫁」できた中小企業は57.1% 取適法をきっかけに価格交渉に臨む企業は3割未満(株式会社東京商工リサーチ)
※「中小企業基本法」に基づく中小企業のみを集計対象とした
価格転嫁「一部、または十分にできた」企業は6割未満
TSRの報告によると、2025年度賃上げを念頭にした価格転嫁について、協議の上で価格転嫁が進んだ企業は「協議し、一部転嫁できた(49.2%)」と「協議し、十分に転嫁できた(7.9%)」との合算で、57.1%を占めた。
産業別の回答によると「価格転嫁」が「一部、または十分に転嫁できた」が、特に高い割合を示したのは「運輸業:77.5%」「製造業:69.5%」などだった。
「交渉に臨む」は3割未満、材料は「原価高騰」「労務費」
一方で「協議したが、全く転嫁できなかった(4.6%)」「協議も申し入れたが協議自体が実現せず(2.3%)」との回答も0ではなかった。特に「学校教育:18.1%」「保険業:15.7%」「非鉄金属製造業:15.3%」など、公定価格や制度で価格が規制されている業種や、機械以外の製造業が、高い割合となっている。
また、取適法施行による来年度の価格協議の方針をたずねた項目では「ここ数年と変わらない形で交渉(42.4%)」との回答が最多に。取適法をきっかけに価格交渉に臨むとの回答は「原価高騰分を交渉:9.6%」「原価高騰分に加えて労務費も交渉:17.0%」の26.6%にとどまったという。
さらに「取適法を把握していない」との回答も4.1%みられている。そのほか「交渉する予定はない(18.4%)」との回答もあり、金融・保険業(構成比31.5%)、不動産業(同29.5%)などで高い割合が示された。
まとめ
2025年に価格転嫁が十分に進んだとする企業は1割未満で、一部進んだという企業を含めても、価格転嫁ができた企業は6割未満という結果に。2026年1月には「中小受託取引適正化法(取適法)」が施行されたが、法改正を契機とした積極的対応は限定的なものとなっているようだ。
TSRは「中小企業の価格転嫁が定着し、賃上げに波及するためにも、取適法の一層の浸透と実効性の確保が求められる」とコメントしている。取引先に対する価格交渉の実態把握や、交渉戦略の支援、法改正や関連制度の情報提供を進め、収益改善と持続的成長を支える仕組みづくりを進めたい。










