「最低賃金改定」半数が給与変更、対応策は価格転嫁が最多 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、最低賃金の引き上げと政府が掲げる時給1500円の目標に関する企業アンケート調査を実施。2026年度の最低賃金引き上げを受け、51.3%の企業が給与を改定すると回答したことが明らかになった。
調査概要
調査名:「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1500円「対応不可能」が4割切る
調査期間:2026年10月1日~8日
調査方法:インターネットによるアンケート調査
有効回答:5354社
調査主体:株式会社東京商工リサーチ
出典元:「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る(株式会社東京商工リサーチ)
51.3%が給与変更、来年度の引き上げ許容額は中央値50円
2026年度の最低賃金は全国加重平均で56円引き上げられ、1177円となった。TSRは今回の改訂による対応について質問。その結果、「引き上げ後の最低賃金額より低い時給での雇用はなく、給与は変更しない(48.6%)」が最多だった。
一方で「最低賃金額より低い時給での雇用はないが、給与を引き上げる(24.6%)」「最低賃金額と同額まで給与を引き上げる(13.5%)」「最低賃金額を超える水準まで給与を引き上げる(13.1%)」と、合わせて51.3%が給与設定を変更すると回答している。
また、2027年度に許容できる最低賃金の引き上げ額については「許容できない(19.2%)」が最多に。産業別では、引き上げを「許容できない」とする割合が農・林・漁・鉱業と金融・保険業でそれぞれ33.3%となっている。なお、引き上げ許容額の中央値は50円、平均値は92.2円だったという。
対策は価格転嫁が最多、企業規模による違いも
最低賃金の上昇に対する対策では「商品やサービスの価格に転嫁する(43.9%)」が最多となり、前回調査から4.8ポイント上昇した。「設備投資を実施して生産性を向上させる(19.8%)」は前回の20.1%とほぼ同水準だった。一方で「できる対策はない」と回答した企業も10.3%に上っている。
企業規模別では、設備投資による生産性向上を挙げた割合は大企業が29.7%、中小企業が19.1%となり、大企業が10ポイント以上高かった。
時給1500円「不可能」は39.3%で前回から低下
さらに、政府が目標とする2020年代の時給1500円への引き上げについては「不可能(39.3%)」が最多だったものの、前回調査の49.2%からは9.9ポイント低下。「すでに時給1500円以上を達成(22.7%)」と「可能だ(37.8%)」を合わせると60.5%となった。なお、産業別では、すでに達成している割合は情報通信業が40.4%で最も高く「不可能」の割合は小売業が58.3%で最も高かったという。
また、対応を可能にするための施策としては「賃上げ促進税制の拡充(48.7%)」「生産性向上に向けた投資への助成、税制優遇(42.9%)」という結果だった。
まとめ
最低賃金の引き上げが続くなか、企業には賃金水準の見直しだけでなく、人件費の増加を吸収するための経営対応も求められている。今回の調査では、対策として価格転嫁を挙げる企業が43.9%に上る一方「できる対策はない」とする企業も一定数みられた。
また、時給1500円への引き上げを「不可能」とする企業は前回より減少したものの、賃上げ促進税制の拡充や生産性向上への支援を求める声も目立つ。
最低賃金の改定に伴う給与見直しはもちろん、人件費の増加幅や収益への影響も含めた、価格設定や生産性向上を含めた対応策の検討が不可避な状況といえるだろう。













