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約7割の企業がビジネスケアラー支援に課題 月刊総務調査

2025.04.17

株式会社月刊総務(所在地:東京都千代田区、代表取締役:豊田健一)は、全国の企業を対象に「両立支援に関するアンケート調査」を実施し、148名から回答を得たとして、調査結果を報告した。仕事をしながら家族の介護に従事する「ビジネスケアラー」への支援について、実態と課題を明らかにしている。

調査概要

調査名称:両立支援についての調査
調査機関:株式会社月刊総務調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2025年2月6日〜2025年2月13日
有効回答数:148件
出典元:約7割がビジネスケアラー支援に課題あり。対象者がいないために対応を先送りにしているとの声も(株式会社月刊総務)

約7割がビジネスケアラー支援に課題

約7割がビジネスケアラー支援に課題

本調査ではまずはじめに「ビジネスケアラー」への支援に課題意識があるか質問。その結果「とてもある(24.3%)」「ややある(45.3%)」と、合わせて69.6%の企業が何らかの課題を感じていることが明らかになった。

同社は寄せられた具体的な課題の一部を抜粋して紹介。「育児サポートより、圧倒的に情報が少ない」「突発的な事由に左右される事態が育児より多い」「まだ介護に直面する社員が出てきていないため、先送りにしているのが現状」などの課題があるようだ。そのほか、育児と違って予定が立てにくいことや、個々のケースによってニーズが異なることなども、ビジネスケアラー支援の課題となっているという。

両立に伴う休職・雇用形態変更の実態

両立に伴う休職・雇用形態変更の実態

続いて本調査では、この2年間に、育児や介護を理由に退職・休職した社員がいたか質問。その結果、育児では「休職した女性社員がいた」が35.8%、介護では「休職した女性社員がいた」が24.3%でそれぞれ最多となったことが明らかになった。なお、退職についても男性より女性の比率が育児、介護ともに多いことも判明している。

また、両立のために雇用形態の変更をした社員がいるか尋ねる項目では、育児では女性社員がいた企業が29.7%、介護では18.9%との回答割合が示されている。男性はどちらも8.8%であった。

導入している支援制度と利用の実態

導入している支援制度と利用の実態

次に本調査では、両立支援のために実施している制度について質問。最も多いのは「育児休業制度(85.8%)」で、次いで「介護休業制度(81.8%)」「時短勤務(73.0%)」が続いたという。

さらに、両立支援制度を利用している社員の男女比について、介護では約7割が「男女差はない」と回答し、育児では約6割が「女性が多い」と回答したことも明らかになった。

なお、育休については、女性の方が制度を利用しやすいと感じている傾向がある一方、介護休業の取りやすさについては育休と比べて男女差は少なく、男性の58.7%、女性の66.2%が取りやすい文化だと回答している。

また、両立支援制度の通知・取得促進については「社内報等での発信(育児:45.9%/介護:39.2%)」「相談窓口の設置(育児:41.9%/介護:41.9%)」が上位にランクインしている。

課題は「現場の負担増加」 実態把握は「本人から」

課題は「現場の負担増加」 実態把握は「本人から」

本調査ではさらに、休業した社員の業務の調整方法について質問。育児・介護ともに「現場のメンバーによる分担」が最も多く、育児で81.4%、介護で82.9%と高い割合が示された。

両立支援に関する課題としては「現場社員の負担増(育児:70.9%/介護:68.9%)」が最も多く、そのほか「給与や待遇の低下」「上司や同僚の理解不足」などが上位に並んだことも判明している。

また、育児・介護の実態把握方法については「本人からの申し出(育児:85.8%/介護:81.1%)」が圧倒的に多く、潜在的な介護の可能性の把握状況について「十分に把握している」という企業はわずか6.1%であった。

まとめ

本調査では育児・介護のどちらにおいても、一定の制度導入が進んでいる様子がみられた。一方で、実際の制度利用にあたっては現場の負担増加や実態の把握に課題もみられており、本質的な両立支援に向けては改善の余地が多くあると推察される。

特に介護との両立を行うビジネスケアラーについては、今後その人数が増加するとみられており、経済産業省は2030年時点で約318万人にものぼると予測している。企業としては早急に支援体制を整備し、介護離職の防止に努める必要があるだろう。2025年の法改正対応はもちろんのこと、経済産業省のガイドライン等も参考に、今後の両立支援について改めて検討する機会としていただきたい。

参考:【特設ページ】令和6年度改正育児・介護休業法
(厚生労働省・東京労働局)

参考:
「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」を公表します(経済産業省)