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今注目される「DX」。しっかりと理解するために知っておくべきこと

2020.11.04

 最近、注目されている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。ビジネス系メディアでは目にしない日はないのではないでしょうか?『サンカク』でも、この1年間でワークショップのテーマとして取り扱うことが非常に増えました。

 「DX」という言葉が示す範囲は非常に広く、「正確な意味は分かっていない」「概念は分かるが自分では説明できない」という方も多くいらっしゃるかと思います。『サンカク』のワークショップを設計実施するにあたり、各社のDX戦略や実施していることをヒアリングさせていただく中で、「正しく『DX』について理解するために押さえておくべきポイント」が見えてきましたので、今回はそのポイントについてお話したいと思います。

「DX」の定義とは?

 まず、経済産業省では「DX」について、「ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています(※1)。

 この定義において重要なポイントを、下図の図①を用いて解説します。「DX」は最終的には図①の緑色のブロック部分が示すような、「新たな価値を創造すること」をゴールとしているため、「DX=新たな価値創造」と捉えることもあります。一つ目のポイントは、その価値を実現するための基盤の整備(図①の最下部)や、AI、IoTなどの新技術の導入も「DX」の一部として考えるということです。

「DX」を実現するためには、

1. 「どんな価値を創造するのか?」を検討する(「新しい価値を創出する
   DX」の方向性の検討)
2. それを実現するための技術導入、基盤整備
3. 新価値の具現化
4. 一度創ったら終わりではなく、進化し続ける

の「4STEP」が必要です。この1〜4のSTEPの全てが「DX」の一部(●●)であるということを理解する必要があります。

 しかし気をつけなくてはならないのは、「2.それを実現するための技術導入、基盤整備 」の部分だけを切り取って「DX」だと考えてしまうと、従来のIT開発との違いが見えづらく、「DX=IT開発」といった誤った認識を招いてしまいます。ここでは、「ビジネス環境の激しい変化に対応して、新価値を創造するため」の技術導入や基盤整備であるということが重要です。また、激しい変化に対応しつづけるために、「4.一度創ったら終わりではなく、進化し続ける」ような開発をすることが求められます。

図① 出典:「KDDI IoTポータルサイト~https://iot.kddi.com/column/dx_about/~」
図① 出典:「KDDI IoTポータルサイト~https://iot.kddi.com/column/dx_about/~」

 次のポイントは、「コンピュータライゼーション(デジタライゼーション)」と「DX」の違いについてです。

 「DX」を実現する技術の中に、AIやIoTがありますが、既存のビジネスプロセスの一部にAIやIoTを導入して業務の効率化や顧客対応品質の改善につなげるケースがあります。一般的にこういったケースは「コンピュータライゼーション(デジタイゼーション)」に該当しますが、導入する技術が共通していることもあり、これらも「DX」として扱っている企業も存在します。それゆえ、その企業が「DX」と言っているものは価値の「維持・改善・拡張」なのか、「破壊的変革・創造」なのかを正しく把握したほうが良いのです(その線引きは個人の主観にも依存するので一概に判断するのは難しいですが…) 。

図②:これまでのIT活用とDXの違い(出典:ITR)
図②:これまでのIT活用とDXの違い(出典:ITR)

 

「DX」を実現する「DX人材」とは

 「DX」を実現する「4STEP」を担うのが「DX人材」と言われる人材です。 ただし、「DX人材」は1人で「4STEP」の全てを担うわけではなく、STEPごとにその役割も異なってきます。図③の表は、 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施した「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」(※2)をもとに、『サンカク』の独自解釈を加えてまとめた人材要件定義の表です。

図③出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」を基に独自に設計
図③出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」を基に独自に設計

 STEP1でそもそも「どんな価値を創造するのか?」をビジネス戦略として検討するのは、「プロデューサー」や「ビジネスデザイナー」のミッションとなります。また、STEP2で、技術導入や基盤整備を担うのは「データサイエンティスト」や「データエンジニア」のミッションです。STEP3で、具現化フェーズで開発の取りまとめやリーディングをするのは「ソリューションアーキテクト」。STEP4で、進化し続ける上で重要な役割を担うのは「データアナリスト」といった様に、STEPごとに職種によって担う役割が変わってきます。

 『サンカク』で「DX」に関するテーマを取り扱う場合は、その企業や組織が、「DX」実現の各ステップの中で、どのフェーズなのかを把握し、どの役割を担う人材を想定するかを整理した上で各ワークショップを実現しています。 併せて、その企業や組織が目指すものは、価値の「維持・改善・拡張」なのか、「破壊的変革・創造」なのか、そのインパクトの大きさを体感してもらえるようなワークを作ることを心がけています。

 次回はこれまで実際に『サンカク』で開催した「DX」関連の事例について、具体的にどのような「DX」の内容なのか、具体例を用いながらご説明させていただく予定です。

※1:経済産業省「METI DX」https://www.meti.go.jp/policy/digital_transformation/index.html

※2:独立行政法人情報処理推進機構「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」https://www.ipa.go.jp/ikc/reports/20190412.html