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スタートアップやM&A、事業継承。それぞれのステージで価値を生み出す、デジタル稟議

2021.05.13

前回の記事では、稟議が経営に与える3つのインパクトというテーマで、①ルール作りができる②ムダの見直しで筋肉質な経営ができる③アイデアをつなぐ、イノベーションのインフラになることをお話ししました。また、最後に稟議のデジタル化、「デジタル稟議」にも触れました。

デジタル稟議とは、稟議をデジタル化したもの。つまり、申請・承認・決裁のフローをデジタルで実現することです。デジタル稟議は、単にペーパーレス化による業務の生産性を向上させるだけではありません。上述の3つの効果をさらに発揮することはもちろん、企業が抱える経営課題を解決します。例えば、意思決定を迅速にしてスピード経営を実現する。無駄な業務やコストを削減する。不正防止など、ガバナンスを強化する、といったものがあげられます。

今回は、経営目線から見たデジタル稟議についてお話ししたいと思います。普段取り組んでいる稟議がデジタル化することにより、どのように経営に影響を与えていくのか、企業の成長ステージを3つのシチュエーションに当てはめ、それぞれ具体的に見ていきます。

スタートアップで課題となる、組織の「階層化」。階層化しても迅速な経営判断を実現

まずはスタートアップ企業を例に挙げましょう。急速に成長するスタートアップ企業は、従業員が増えるに従い組織化が進みます。組織の階層化が進み、ミドルマネジメント層が必要となります。

会社の規模拡大や組織化によって、どうしてもトップダウン中心の経営だけでは難しくなります。規模が大きくなれば、一人ひとりの業務を全て細かく把握することは不可能です。そのため、ミドルマネジメント層が必要になります。トップへの情報は、ミドル層から上がり、その上で意思決定を行う形になります。つまり、ボトムアップ化です。また、ボトムアップだからこそ、トップダウンとは異なり、社内の人を強く巻き込む必要性があり、その結果コンセンサスをとりやすい稟議の重要性が高まります。さらに、将来のIPOや事業売却の際はもちろん、資金調達を行う上での内部統制の構築が不可欠となるでしょう。

そこで注目すべきなのが、迅速かつ精度の高い経営判断を実現する、デジタル稟議です。意思決定プロセスを最適化することで、スタートアップ企業の強みであるスピード感のある経営につながり、DXや生産性を重視した経営を推進することができます。

また、デジタル稟議の導入は社内ルールの整備を促します。つまり、従業員増加に伴う組織化や、将来のIPO準備、事業継承に向けた基盤づくりにも貢献してくれるのです。

初代経営者のトップダウンスタイルから転換し、二代目経営者のボトムアップスタイルを実現

次は、二代目経営者の例。このケースでよくある悩みに、創業者時代のトップダウン経営から、現場とのコミュニケーション、協調を重視したボトムアップ経営への転換が挙げられます。また、各種業務のデジタル化が遅れており、脱アナログの実現に苦労するといったケースも少なくありません。

社内DXの推進および、現場の知見を活かしたボトムアップ経営への転換は、二代目経営者がイノベーションを起こす地盤作りとして不可欠だと言えるでしょう。そこで活用すべきが、デジタル稟議です。

稟議プロセスやそれにまつわる各種業務のDXがデジタル稟議によって促進され、アナログ管理からの脱却を実現します。また、稟議本来の「人を巻き込む仕組み」をスピーディーに機能させることができ、現場の知見を結集させたボトムアップ型の意思決定を可能にします。

二代目経営者は、創業者に比べて会社に携わってきた歴史や密度が浅いもの。だからこそ、先代での成功・失敗等の知見やナレッジから、会社の歴史や文脈を把握することが重要です。それらの情報や経験値をデジタル稟議によって蓄積し、差を埋めていくのです。創業者の武器のひとつにカリスマ性がありますが、勝負はそこではありません。デジタル稟議が持つ、スピード性、確実性、透明性で経営を仕組み化、効率化を実現し、カリスマ的な属人的な経営のあり方から、ステージを変え、事業・組織拡大をはかるのです。

透明性の高い管理体制を構築して企業価値を向上し、M&Aを成功させる

3つめの経営ステージは、M&Aによる事業継承を見据える企業。M&Aでは、できるだけ企業価値を高めて譲渡したいと考えるでしょう。しかし不透明な財務状況や管理体制では、買い手となる企業から高い評価を得ることは難しいと言えます。

そのため、M&Aによる事業継承を目指すには内部統制を整え、財務状況や管理体制をはじめとした経営の透明化に取り組む必要があります。つまりは経営の見える化。稟議プロセスや各種の申請手続きをデジタル化することにより、業務フローの透明度を上げていくのです。

これは業務プロセスの改善、内部統制の整備、デューデリジェンス(投資先などが実施すべき実態調査)対策としても役立ちます。デジタル稟議によって透明性の高い経営と企業価値向上が実現し、事業継承の成功につなげることができるのです。

本稿ではスタートアップ企業、二代目経営者、事業承継者の3つの経営ステージ別に、デジタル稟議の活用法をお伝えしました。もちろん3つのケースに限ったお話ではありませんが、活用に適したシーンをイメージできたのではないでしょうか。さらに詳しく知りたい場合には、ぜひこちらのページ( https://www.atled.jp/digital-approval/)もご覧ください。

ここまで、デジタル稟議が企業の3つの経営ステージにどのように影響を与えていくかを見てきました。稟議という仕組みがどのように経営に繋がるかは普段なかなか見えづらい部分です。しかし、デジタル稟議によって、これまで述べてきたように企業は大きくバリューアップします。ぜひこれを機に稟議のダイナミズムを感じていただければと思います。