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使わないともったいない!? 中小企業が使える助成金・補助金まとめ

2019.04.12

 日本の多くの企業は、中小企業であり、大企業と呼ばれる会社は全体の1割にも満たない。実際に経済産業省が発表している421万企業の内、99.7%は中小企業だ。そして、製造業やサービス業などにおいて、中小企業の定義は異なってくるものの、人材育成や雇用、事業承継などに迷う中小企業も多いのが実情だ。

 では、経済力の違いがあったとしても政府として中小企業に対する補助金や助成金などはどのように扱われているのだろうか。ここでは、中小企業で使用することのできる補助金や助成金について詳細に見て行こう。

補助金・助成金の扱いについて

 助成金や補助金は、要件を満たした企業であればどの企業でも申し込むことが可能だ。そして、付与された助成金や補助金は返済の義務がない。

では、助成金と補助金は何がどう違うのだろうか。まずはその違いについて、以下に特徴の違いをまとめてみた。

・補助金
国や自治体が特定の産業の事業者に交付するものであり、経済産業省及び官公庁や地方自治体が運営主体となっている。

また、補助金に関しては、財源は税金であり、募集期間は短期的だ。そして、補助金に関しては、対象となる期間内で書類を用意し、応募したうえで審査に通過する必要がある。

書類の提出や審査及び面接を経て、補助金の申請に至るという流れだ。


・助成金
厚生労働省が実施しているものであり、一般的には雇用に関するものが多い。また、基準を満たしていれば自給できるものが多く、受付期間が長いのが特徴だ。

助成金に関しては、雇用保険料を財源としており、雇用保険の適用事業者でなければ使用できない。そして、助成金の実施は厚生労働省が行っており、予算がなくなり次第、募集を終了する。

ちなみに、助成金の場合は、会計検査院*1による調査が入ることがある点も覚えておこう。


 両方の共通点としては、返済が不要であり、どちらも事業の実施後の給付となるという点だ。補助金とと助成金は、融資とは異なり、返済する必要性がない。しかし、その特産の違いをよく理解しておく必要があると言えるだろう。

*1 会計検査院:会計検査院は、国の収入支出の決算、政府関係機関・独立行政法人等の会計、国が補助金等の財政援助を与えているものの会計などの検査を行う憲法上の独立した機関。

中小企業が使える補助金

 ここでは、経済産業省が実施している補助金について見て行こう。経済産業省が実施している補助金は、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、 IT 導入補助金、事業承継補助金などがある。

1.ものづくり・商業・サービス補助金
 生鮮品開発や新規事業への挑戦に対して資金が必要な場合に付与する補助金。対象事業者は、中小企業や小規模事業者と限定されており、補助金の付与に伴って経常利益が年率1%の向上を行える計画を示す必要性がある。

 補助金の内容としては、100万円~1,000万円とある程度の金額が決まっており、補助率に関しては、2分の1から3分の2が最大だ。ちなみに、連携体であれば、補助金の上限額は2,000万円まで上がるパターンもある。一次公募の一次締め切りは、終了してるものの、二次締め切りは2019年5月8日であるためまだ間に合うことから、新しく設備を導入したい中小企業は補助金の申請を考慮してみよう。


2.小規模事業者持続化補助金
 ホームページや新しい販路を使い、事業者の売上を増加させるための補助金。そのため、ホームページの作成費用や看板作成などの費用に対して補助金が使用できると言える。

 また、小規模事業者が商工会や商工議会と一体となって経営計画を作成し、取り組むことから事業者の9割以上が売り上げをアップさせているという実績もある。補助率は最大で2/3までで補助の金の上限額は50万円~500万円と開きがある。こちらも複数の事業者が連携した共同事業なのかどうかで付与される補助金の額が変わることには注意が必要だ。


3. IT 導入補助金
 販売管理システムや経理などの社内システムをより効率化するためのクラウドシステムを企業に投入するための補助金。

 クラウドシステムを社内に導入することによって、様々な委任作業だけでなく、経理の計算なども効率化することが可能だ。また、個人の勤務時間の管理なども IT 導入によって管理することが可能となり、働き方改革にも対応することができるだろう。

 補助率は1/2となっており、補助金は40万円~450万円までだ。また、事業者数は IT 導入補助金の場合はカウントせず、公募から交付決定までの流れを受けた後の IT ツール導入を対象としていることには注意が必要だ。そして、 IT ツールに関しては、補助金のホームページ上に一覧が掲載されることからその一覧に沿って申込を行うことをおすすめする。
※外部リンク:https://www.it-hojo.jp/applicant/solution.html


4.事業承継補助金
 事業承継や M&A を行う際に付与される補助金。最大で1200万円までの補助金が期待でき、対象経費となるものは人件費や設備費だけでなく外注費や委託費、在庫処分費、解体費などを含む。

 また、経営者交代タイプでは補助率が2/3と1/2に別れ、上限額が200万円までと決まっている。さらに、事業転換を伴う場合は500万円と決まっていることから細かい条件の違いに、関しては問い合わせを行う必要があると言えるだろう。

 そして、 M&A タイプでは事業再編や統合を行った方を対象にしている。このタイプでは補助上限額が600万円まで上昇し、事業転換を行う場合には1200万円までの補助金の付与がある。補助率は経営者交代タイプのものと変わらないものの、補助の上限金額が大きく異なる点には注意が必要だ。

 対象となる M&A の種類は、会社分割や事業譲渡、株式交換・移転、株式の譲渡等を含んでいる。

 補助金に関しては、経済産業省が実施しているもの以外にも沢山の補助金がある。その中で自社の事業内容や事業規模に合わせた補助金を選択して行こう。

中小企業が使える助成金について

 ここでは、厚生労働省が公募している助成金についてみて行こう。中途採用等支援助成金、時間外労働改善助成金などがある。

1.中途採用等支援助成金
 中途採用者の雇用促進を促すための助成金。助成金は雇用主に対して支払われ、一定時期間の経過後に生産性が向上した事業主には、さらに追加の助成金が付与される。

対象となる労働者等に関しては、かなり条件が細かく記載されており、
・中途採用で雇い入れられた
・雇用保険の被保険者か高齢被保険者として雇い入れられた
・期間の定めのない労働者であること
・雇い入れの前日から起算して1年以内に、雇用や出向、派遣または請負などで申請事業主の事業所で就労したことがない。
・野党井出の前日から起算して1年以内に申請事業主との独立性が認められない事業所で働いていた方ではないこと

が挙げられる。対象となる労働者がしっかりとした契約を行い、申請事業主としても独立性のある個人を採用したことを証明する必要があるということだ。

 また、助成金を受け取るためには中途採用契約書を作成した上で、管轄の労働局に届け出ることが必要となる。加えて言えば、中途採用の拡大を行うこの助成金においては、最低でも2人以上を雇い入れるか、45歳以上の方を中途採用する必要があることには注意が必要だ。

 また金額に関しては、中途採用の拡大では、50万円(45才以上:60か70万円)、生産性の向上では、25万円(45才以上:30万円)と上限が決まっている。そのため、助成金を受け取る場合には採用者の年齢をある程度考慮する必要がある。


2.時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)
 働き方改革にも関連する時間外労働の削減を促すための助成金。実際に働き方改革では、残業が多ければ多いほど罰則を受ける可能性が非常に高くなる。

 対象者は、労働者災害補償保険の適用事業者であり、資本金には収支額、雇用する労働者の数によって適用できるか否かが異なってくる。

 また、対象となる取り組みが厚生労働省から指定されているのも注意点だと言えるだろう。

例えば、
・労務管理担当者に対する研修
・労働者に対する研修及び周知・啓発
・外部専門家によるコンサルティング
・就業規則・労使協定の作成や変更
・労務管理用ソフトウェアの導入や更新
などを含んでいる。こうして項目を並べて見てみると、テレマークや人材確保、働き方改革に関連する事柄も多い。また、他の助成金や補助金の対象となるような取り組みも含まれていることから、合わせて調整金を申請することをおすすめする。

 その上で、成果目標の設定を行い、実施する必要性もあることに注意が必要だ。
■ 年次有給休暇の取得促進
 働き方改革では、年次有給休暇の取得日数は5日と指定されている。その上で、特別休暇などを含み、すべての事業所に新しい休暇制度を導入する
■ 所定外労働の削減
 労働者の月間平均所定外労働時間数を5時間以上削減させる。といった取り組みを事業実施期間のうちに達成する必要性がある。加えて言えば、助成金の申請を行い調整金の付与が決定したとしても、条件を達成できなければ金額は最低限になる可能性があると言えるだろう。

 取り組みと成果目標を達成した場合には、一企業あたり最高で100万円の助成金が付与される。補助率に関しては、3/4が限度となっており、締め切りに関しては、2019年9月30日と指定されている。

 他にも人材確保やキャリアアップに関する助成金なども存在していることから、助成金を利用する場合は自社で有効な助成金を使用できるのか、現状を把握してから使用することをおすすめする。

まとめ

 補助金と助成金は、似て非なるものだ。管轄している運営主体も異なり、対象としている分野も異なる。その上で、自社に合った補助金や助成金を使用するためには、企業としての実情を把握する必要があるだろう。働き方改革などによって、事業所によっては大きな変革を求められることも多いため、要件によっては補助金や助成金の活用を検討してみよう。