6カ月後の定着率95%を実現 外国人人材採用の不安を解消するStepjobの「ワンストップ支援」
少子高齢化による労働力不足への対応策として「外国人人材採用」への注目が高まる一方で、「きちんと定着するのか」「コミュニケーションがどこまで成立するのか」などの不安を感じてためらっている企業は多い。外国人人材採用の現状はどうなっているのか、どのような課題があるのか。外国人人材紹介総合サービス「Stepjob(ステップジョブ)」を展開するポールトゥウィン株式会社の行平澄子氏に話を聞いた。
外国人材を雇用する事業所数が1年で3万所近く増加
まずは、厚生労働省がまとめた【「外国人雇用状況」の届出状況まとめ】を見てみよう。資料によると、令和7(2025)年10月末時点の外国人労働者数は257万1037人で、前年比で 26万8450人増加しており、届出が義務化された平成19年以降で過去最多となっている。在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が最も多く86万5588人で、外国人労働者全体の33.7%を占めている。
また外国人を雇用する事業所数は37万1215所であり、前年から2万9128所増加している。産業別外国人労働者数をみると「製造業」が最も多く、全体の 24.7%を占めるが、対前年増加率で「医療、福祉」が大きく伸びている(下のグラフ参照)。
コロナ禍での留学生の困窮解決がビジネスの原点
ポールトゥウィン株式会社は、東証プライム市場上場のポールトゥウィンホールディングスの中核企業で、IT関連のアウトソーシングを手がけている業界大手企業だ。その中で「Stepjob」は、外国人人材紹介事業のブランドとして13年ほど前に立ち上がった新規事業である。
「スタート当時は今ほど外国人人材が一般的ではなかったのですが、医療・介護業界では比較的早い段階から外国人を受け入れていこうという動きがありました。私たちはそこに着目し、看護師や介護福祉士といった分野にコネクションを築きました」
同社が求人マッチングサービスにシフトし始めたのは、コロナ禍の頃。コロナで日本に足止めされていた元技能実習生や外国人留学生から就業難による困窮を訴える声が急増した。そこで、それまでに築いてきた介護施設や病院とのネットワークを活用し、人材を紹介する取り組みを始めた。つまりコロナ禍での帰国困難外国人の支援が同サービスの原点といえる。それまでに蓄積した人材データベースや知見を活用してシステムを構築し、2021年から企業と外国人人材との求人マッチングサービスStepjobの提供を開始した。
同サービスがスタートした背景には、2019年4月に創設された特定技能制度(正式名称:在留資格「特定技能」)がある。特定技能制度は技能実習とは異なり、一定の技能や日本語能力を持つ外国人の就労を認める制度。そのため介護、外食、建設など特定産業分野(16分野)において即戦力となる「技術・知識」がある人材が対象だ。制度開始以降、この制度を活用する外国人と企業が右肩上がりで急増しており、同サービスへのニーズも高まって行った。
初めて外国人採用を行う企業でも迷わない状態を、ワンストップでつくる
Stepjobの大きな特色は、採用手続きや在留資格の申請、生活サポートまでをワンストップで支援しており、初めて外国人を受け入れる企業でも安心して取り組める体制を整えていること。
「私たちが一番こだわっているのは、『初めて外国人採用を行う企業でも迷わない状態をつくること』。初めての企業様は、外国人採用の全体像が見えづらいので、一つひとつ整理してできるだけわかりやすくお伝えすることを大切にしています。そのうえで、企業ごとに求める人物像を丁寧にヒアリングし、できるだけミスマッチのない母集団をつくることにも力を入れています」
現在、全体として「日本で働きたい外国人の方」の数のほうが多く、企業側がある程度選べる状態にある。そのため企業が募集をかけた際に「まったく応募が来ない」というケースはかなり少なく、比較的高い確率でマッチングする人材が見つかる状況にあるという。
「もちろん、企業側が求めるスキルが高かったり応募者側の希望条件が高い場合は、すぐに決まらないこともあります。企業が望む条件面で難しさがある場合には、国籍の幅を広げる提案をすることもあります。給与や条件設定に課題がある場合は、相場感をご説明したうえで、『少し条件を見直して募集の間口を広げましょう』といったご提案をしています。それでも日本人採用で“まったく人が来ない”という状況と比べると、外国人採用のほうが圧倒的に採用できる可能性は高いと感じています」
企業側が外国人人材に抱く三大不安は「言語」「手続き」「継続」
行平氏によると、企業側か寄せられる不安で最も多いのは、「日本語がきちんと通じるのか」という点。ただ、同社が紹介している外国人人材はコロナ禍以降すでに日本に在留して生活に慣れている人が中心なこともあり、実際に働き始めると「思っていたよりしっかりコミュニケーションが取れる」という声を聞くことが多く、日常業務において大きな支障が出るケースはそれほど多くないと感じているそうだ。
そのほかには、ビザ申請や各種届出など、日本人採用にはない採用後の手続きに対応できるかという不安の声も多い。
「ただ実務的には行政書士などの専門家に委託するケースがほとんどですし、流れ自体も一度理解してしまえばそこまで複雑ではありません。入管への報告やハローワークへの届出なども含めて、必要な手続きはきちんとご案内していますので、大きな負担になることは少ないと思います」
「外国人労働者はすぐ辞めてしまって、定着しにくいのでは」という不安もよく耳にするが、行平氏は「在留資格の関係やキャリア設計を考えると、外国人人材はむしろ一定期間しっかり働く前提の人材が多い」と指摘する。またStepjobには一定期間内に退職した場合の返金制度があり、リスクを抑えて試せる環境も整っているという。
言葉や手続きなどよりもむしろ重要なのは、コミュニケーションの工夫だ。たとえば日本人は比較的、物事をはっきり言わずに曖昧に伝える傾向があり、それが外国人にとっては「結局どうすればいいのかわからない」という混乱につながることがある。外国人人材に指示を出す場合、丁寧に伝えようと敬語を多用するよりも「これをしてください」とシンプルに伝えるほうが理解しやすいという。そうした基本的なポイントについては、必要に応じて企業向けにレクチャーを行うこともあるそうだ。
「一度うまく受け入れが進むと、外国人同士のネットワークや口コミで人材が集まりやすくなるという特徴もあります。最初は私たちのような支援を活用しながら採用をスタートし、徐々に社内でノウハウを蓄積していく。そして将来的にはリファラルなども含めて自走していく、という流れが理想的だと考えています」
徹底したサポートで、「6か月後の定着率95%」を実現
一方で、求職者側へのフォローとして特に重視しているのは、「入職直後のサポート」だ。単に仕事内容や条件を伝えるだけでなく、職場の雰囲気や人間関係、さらには生活環境まで、できるだけ具体的に事前に共有するのがポイントだという。たとえば、近くにどんなスーパーがあるのか、生活のしやすさはどうか、といった細かな情報まで伝えることで、入職後の驚きや不安を減らす工夫をしている。こうした取り組みにより、Stepjobを利用した外国人労働者の6カ月後の定着率は、95%という高い数値となっている。
「外国人にとっては文化も言語も異なる環境に入ることになるので、どうしても孤独や不安を感じやすいのですが、それを放置してしまうと、早期離職につながるリスクが高くなってしまいます。ですから入職後なるべく早いタイミングで面談を行い、困っていること、不安に感じていることを丁寧にヒアリングすることを徹底しています」
母国語での相談窓口に寄せられる内容で一番多いのは、実は人間関係の悩みというよりも、制度や手続きに関する相談だという。
「たとえば年末調整や年金、社会保険、ビザの更新といった、日本人にとっても少し分かりづらいような手続きでご相談いただくケースが非常に多いのです。賞与に関しても『何カ月分』とされているのはあくまで前年実績であって必ず支給されるものではない、という点などは誤解が生じやすい部分なので、細かな条件や制度の背景まできちんと伝えることが重要です。特別なことをしているというよりは、『事前のすり合わせ』と『入職後の丁寧なフォロー』を徹底していて、その積み重ねが、高い定着率につながっているのだと思います」
優秀な人材の奪い合いが始まる前に、“小さく試す”ことで差がつく
今後、外国人人材の増加が進む業界として特に注目されているのが、自動車運送・物流領域だ。ドライバー不足や2024年問題以降の人手不足が深刻化している中で、「外国人材を前提にした採用設計」にシフトしつつあるという。また物流は、業務の切り出しがしやすい点も大きい。倉庫内作業、仕分け、ピッキングなど、言語依存度が比較的低い業務からスタートできるため、日本語レベルに応じた配置がしやすい。これが採用のハードルを下げている。
近年の急激な円安は、外国人材の実質的な収入を大きく減少させているが、それでも日本は外国人人材にとってさまざまな魅力があり、今後も増えていく見通しだという。その理由の一つが、日本特有の新入社員を前提にゼロから教育する文化。海外、特に東南アジアなどでは即戦力前提が多く、新卒でもいきなりプロとしての働きを求められるケースが一般的なため、“学びながら働ける環境”として日本は非常に魅力的に映るのだという。そのほか治安がいいことや食文化が近いこと、アニメや音楽などの魅力的なカルチャーがあることも、日本での就労を希望する人が多い理由だ。
行平氏は、「優秀な外国人人材を獲得するなら、今がチャンス」だと語る。
「まだ様子見をしている企業も多いと思いますが、今後、外国人採用が完全に一般化すると優秀な人材は確実に“取り合い”になります。 そうなってから動くのでは、どうしても出遅れてしまう。だからこそ、今のうちに一度トライしてみて、自社としての“受け入れの型”や“見る目”を養っておくことが大事です。『不確実だから後回しにする』のではなく、『不確実なうちに“小さく試す”』ことが、将来の採用力の差になります」









