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クールビズ シーズンが到来。対応まとめ。

2019.05.07

 政府は2019年のクールビズの期間を5月1日から9月30日までと発表した。政府の発表に伴ってすでにクールビズを実施している企業もある。また、クールビズへの取り組みは企業によって大きく異なり、服装だけでなく、エアコンの設定温度を調節し室内温度を28℃にするなど気温に対する基準を設けている場合も多い。

 では、そもそもクールビズに対して企業はどのような対応を行えばいいのだろうか。ここではクールビズの意味合いや歴史、企業としての対応などについて詳しく見ていこう。

クールビズの効果と歴史

 クールビズの実施目的は、夏季の企業運営に対して省エネを促すことにある。例えば、エアコンの温度設定は二酸化炭素の排出を抑えることと省電力につながり、ノーネクタイは体感温度を下げる。

 体感温度は夏季においては非常に重要なものだ。働きやすさだけでなく、体調にも大きな影響を与える。また、オフィスには様々な熱源があり、その熱は人体に影響を及ぼしている。クールビズを行うことによって冷房に頼らない室内温度の調整と夏季の働きやすさの改善が可能だ。

 そして、クールビズのメリットは、二酸化炭素の削減・快適な作業環境の提供・コストの削減にある。それぞれの項目について詳しく見て行こう。

 二酸化炭素の削減は世界的に重要な問題であり、京都議定書においてはその排出量に関しても具体的な数字で削減を促している。二酸化炭素の排出量が低下するほど温暖化対策となり社会貢献を行っているという評価にもなるだろう。ちなみに、冷房の設定温度が低くなるほど二酸化炭素の排出量は多くなる。

 快適な作業環境に関しては、クールビズの実施によって体感温度の低下、寒すぎないエアコンの温度設定が可能となり、男女ともに働きやすい環境が整えられるようになった。クールビズを行うにあたって、服装のカジュアルさが問題となることもあるものの、企業が細かく規定することによって不快感のない労働環境の提供が可能なことはメリットだと言えるだろう。

 そして、コストの削減に関しては、クールビズの実施によって消費電力が抑えられることにある。空調機器の温度設定を適切に保った場合、消費電力は安価となるためだ。

 エアコンは、外気温と室内の温度差が大きいほど消費エネルギーが高くなる。つまり、クールビズの実施によって室内の気温の下限を28℃とした場合、冷房機能を強くし過ぎるなどといった事態がなくなる。実際に2℃の設定温度の差で17%消費電力を削減できたとのデータもあることから、クールビズの実施によってコスト削減につなげることが可能だ。

・クールビズの由来と歴史
 クールビズの由来は、英単語の cool と business をかけあわせた日本のみで通用する和製英語だ。2005年、小泉純一郎内閣時に当時の小池百合子環境大臣が主導し、日本中にクールビズの考え方を普及させた。

 クールビズで環境省が推奨する室内の温度は28℃であり、この温度に対応するためのカジュアルな服装が求められる。さらに、エアコンの温度設定だけではなく、場合によっては室内の気温上昇を抑えるため、サーキュレータや扇風機の導入を行うことも必要だ。

 ちなみに、2011年に東日本大震災が起きたことから、翌年の2012年からはスーパークールビズと呼ばれる取り組みも行われている。

 例えば、クールビズではポロシャツや Tシャツ、ジーンズの着用が NG となっていたものの、スーパークールビズに関しては、タンクトップやハーフパンツ以外は着用できることになっている。

 企業によって、この基準は混合されていることもあるものの、NGとなる服装が2005年の発表当時よりは緩やかになっていると言えるだろう。

 実は、クールビズの同様の取り組みは1979年にも提唱されていた。当時はクールビズではなく、「省エネルック」と提唱され、一般的な普及はほとんどなかった。

 しかし、1997年に採択された気候変動枠組条約である京都議定書によって2008年から2012年までに、1990年と比べて二酸化炭素の排出量を6%減少させるという取り組みを行う必要があった。クールビズは省電力や地球温暖化への対策の一部であることから、企業として取り組むことによって社会貢献に繋がるという見方が出来る。

クールビズに必要な対応

クールビズに必要な対応

 クールビズにおけるオフィスの対応は、自社の従業員への周知徹底と関係各社に対するお知らせの実施などだ。また、クールビズの基準が曖昧な場合は新たに基準を策定する必要がある。

まず、従業員に対するお知らせの方法を見ていくと、

・一斉送信によるメールでの周知
・張り紙の掲示


などが考えられる。

 また、クールビズと一言で言ってもその基準は、企業ごとに異なる。しかし、上着やネクタイの着用を無くしただけでは不十分である場合も多く、相手に不快感を与えない取り組みが求められるだろう。

 例えば、同じ企業に所属する従業員であっても業務内容によって服装は大きく変える必要がある。営業と人事や総務では、求められる服装が異なる場合が多く、特に営業に関しては信用に関わることから。取引先の企業に合わせなければならない。そのため、業務の把握を行った上で適正なクールビズを行っていこう。

次に、関連企業に対する対応を見て行こう。

・ホームページ上での周知
・一斉送信によるメールでの周知


 関連企業に対するお知らせは、クールビズ開始前に行うことがベストだと言えるだろう。また、相手によってはクールビズに対して不快感を抱く場合もあるため、話始める前に会社として施策であることを相手にことわっておこう。

 クールビズは企業体ごとに基準が大きく異なることも多い。しかし、最低限相手を不快にさせないマナーやスタイルを選択する必要がある。

 企業ごとに基準が違うことから、選択が非常に難しいものの、上着やネクタイは常に用意しておきたい。また、ワイシャツなどにおいては半袖が好ましく思われない場合もあるので、よく吟味するべきだ。社内のルールと社外のルールは基本的に異なることを前提においたうえで、相手企業に合わせた選択が問われることを忘れないでおこう。

 そして、クールビズの基準は明確に定める必要がある。クールビズにも通常のクールビズとスーパークールビズという2つの定義があるためだ。企業によっては、この基準は異なるものの、混合されている場合も多い。そのため、クールビズの開始にあたっては自社の基準を改めて見直す必要がある。

まとめ

 クールビズの基準は企業によって異なるものだ。コストの削減や環境対策にもつながることから導入している企業は非常に多い。

 そのうえで、企業として対応する際には、どういった基準でクールビズを実施しているのか内外に周知する必要がある。また、周知したとしても関連企業によっては服装のスタイルを相手に合わせなければならない。そのため、クールビズの基準が曖昧な場合は基準から見直すことも重要だと言えるだろう。ここで紹介した対応を参考にして、クールビズを行っていこう。