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サラリーマンの給与所得控除とは?控除の仕組みや計算方法を紹介

2019.08.29

サラリーマンなどの給与をもらう立場にある人は、「給与所得控除」と呼ばれる恩恵を受けることができます。これはサラリーマンにとって税金を抑える役割があるものですが、一体どのような仕組みなのでしょうか。そこで今回は「給与所得控除」について、サラリーマンの特定支出控除や2020年の所得税改正などとあわせてご紹介します。

1.給与所得控除について

サラリーマンにとって「給与所得控除」とは、個人事業主の「経費」にあたるようなものと言えるでしょう。「給与所得控除」について理解を深めるために、押さえておきたいことや計算方法を紹介していきます。

1-1.給与所得控除の意義

そもそも、「給与所得控除」に関わっている給与所得とはどのようなことを指すのでしょうか?「給与所得」とは、社員が会社から毎月受け取る給与やボーナスなどの収入から、給与所得控除額を差し引いた所得のことを指しています。この収入には、通勤手当の非課税分や、残業手当、家族手当、住宅手当などのそれぞれの手当ても含まれています。また、現金の支給だけを収入というわけではありません。社員が商品を無料で譲り受けるような、現物支給も収入に含まれます。従って給与所得は、収入(現金+現物)から給与所得控除額を差し引いた額のことを指します。

給与所得控除とは、社員が自己負担で仕事の関わるものやこと(筆記用具や移動費など)のために出費をした場合などを考慮して、給与所得控除として一定の額を引く仕組みのことです。例えば、個人事業主は、売り上げを得るためにかかった費用を「経費」として差し引くことで「所得」にすることができます。しかし、サラリーマンにはそのような「経費」として差し引けるような仕組みがありません。そこで給与を受けている人が、「経費」と同じような扱いができるものとして「給与所得控除」が定められています。これは個人事業主とサラリーマンの公平性を保つ目的であり、サラリーマンは収入に応じて一律で給与所得控除が設けられています。

1-2.給与所得控除の計算方法

給与所得控除の計算方法ですが、年間の給与収入が180万円以下の場合は給与所得控除は収入の40%、65万円未満の場合は65万円が給与所得控除になります。この割合は基本的に変わらない割合になります。それ以外の計算方法は、年収ごとに数式が異なります。年収が低ければ給与所得控除も高くなります。年度ごとに、年収に対しての給与所得控除の割合が更新されることが多いので、確認してから計算するほうが良いでしょう。以下は年収別の給与所得控除の計算方法になります。

・収入1,800,000円以下→収入金額×40%(650,000円に満たない場合には650,000円)
・収入1,800,000円超3,600,000円以下→収入金額×30%+180,000円
・収入3,600,000円超6,600,000円以下→収入金額×20%+540,000円
・収入6,600,000円超10,000,000円以下→収入金額×10%+1,200,000円
・収入10,000,000円超→2,200,000円(上限)

なお、令和2年分以降からは計算方法に一部変更があります。詳しくは国税庁のHP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm)に載っているので確認してみてください。

2.特定支出控除について

サラリーマンは、接待費用や研修費用など仕事に関する費用を負担する機会があります。そこで、給与所得控除とは別に「特定支出控除」という控除が認められています。どのような場合に「特定支出控除」を受けることができるのでしょうか。詳しく説明していきます。

2-1.特定支出控除の概要

「特定支出控除」とは給与所得者がある特定の支出をしたときに、その年の特定支出の額が一定額を超える場合、給与所得から差し引くことができる仕組みのことです。そしてここでいう「特定支出」は、以下の項目を指します。

・通勤費
・転居費
・研修費
・資格取得費
・帰宅旅費:単身赴任などで勤務先と自宅の往来
・勤務必要経費:図書費や被服費、交際費などが該当(65万円まで)

これらの項目に該当する支出が一定額を超えた場合に「特定支出控除」として確定申告により控除することができます。

2-2.特定支出控除の計算方法

前の段落で特定支出が「一定額」を超えると特定支出控除できると述べましたが、この一定額とは、給与所得控除の1/2を超えた金額のことを指します。この場合に特定支出控除を適用することができます。具体的には、給与所得控除の1/2を超えた部分を給与所得から差し引くことによって計算することができます。

2-3.特定支出控除を利用する際の注意点

特定支出控除を利用する際には、いくつか注意しなければならないことがあります。特定支出控除を利用するには必ず「確定申告」をする必要があります。サラリーマンは年末調整があるため確定申告の必要はありませんが、特定支出控除を利用する際には必ず確定申告しなければなりません。その際は確定申告書に「特定支出に関する明細書を添付」します。また、特定支出にはそれぞれ「給与支払者の証明が必要」であり、この証明書も確定申告書に添付して提出しなければなりません。特定支出のうち交通費に関しては、それを証明できる書類の添付が必要になります。もし給与支払者から、補填される部分があればその部分は除外しなければなりません。これらのことに注意して、特定支出控除を利用しましょう。

3.基礎控除について

サラリーマンには給与所得控除のほか、すべての人が受けられる「基礎控除」も適用されます。「基礎控除」とは、どの納税者であっても無条件に差し引かれる所得控除のことです。手続きは特に必要がなく、一律38万円を差し引くことができます。ですので、年間38万円以上の所得がない場合は、所得税が発生しません。サラリーマンの場合、所得税額を決定するには、まず収入から給与所得控除が差し引かれます。そこからさらに基礎控除が差し引かれたものが、課税所得となります。この課税所得に、所得税率をかけることで所得税額が決定します。

従って、よく耳にする「103万円の壁」についても説明することができます。103万円とは、誰にでも適用される基礎控除額38万円と、給与所得控除65万円(収入が65万円未満)の合計で「38万円+65万円=103万円」ということです。「103万円の壁」とは、1年間の収入が103万円以下であれば、課税対象額が0円となり、税金がかからないという意味になります。パートとして働いている主婦の方などは、この制度を利用して年収103万円以下になるように調整しながら働いている場合も多いでしょう。

4.2020年からの所得税の改正について

2020年に所得税改正が行われ、「給与所得控除」と「基礎控除」の見直しが図られる予定です。この改正は主に年収800万円を超えるサラリーマンなどを中心に変更があります。子育て世帯には配慮もされているため、どのような改正が自身にあてはまるのかを知っておくことをおすすめします。まず「給与所得控除」についてですが、給与所得控除の上限額が「年収1000万円」から「年収800万円」へと変更になります。さらに給与所得控除が「一律10万円ずつ縮小」されます。これは22歳以下の子供を扶養している人には適用されません。

次に誰もが受けることのできる「基礎控除」は、基礎控除が「10万円拡大」し、所得が2400万円を超えると基礎控除が段階的に縮小されるようになります。この改正により、サラリーマンなどの給与所得者は、増税になる人と変わらない人とに分けられますが、年収800万円を超える人(22歳以下の子供を扶養していない人)は事実上の増税になります。