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人事担当者必見 目標達成に役立つ「1人会議」の進め方や成功させるためのポイント

2019.10.29

 人事担当者にとって、「人材育成」は「採用」と並ぶ大きな役目だ。しかし実際には、「社員がなかなか成長しない」「仕事のやる気が感じられない」といった悩みを抱えている人事担当者も多いだろう。

 そうした中、やる気や能力を引き出し、目標達成をする力が身に付けられると最近注目されているのが、1人で自分自身の課題と向き合う「1人会議」だ。1人会議にはさまざまな効果が期待できるため、社員研修や新人教育などに取り入れてみても良いだろう。ここでは、1人会議の目的・効果や会議の進め方、成功させるためのポイントなどを見ていく。

目次

●1人会議とは?
●1人会議の目的と効果
●1人会議の進め方
●1人会議を成功させるための3つのポイント

1人会議とは?

 「社員一人ひとりの成長」を研修・教育を通じてサポートすることは、人事担当者にとって重要な役割の1つだ。しかし、社員のやる気や能力を引き出し、目標達成できる人材を育成することは、容易ではない。そうした中、目標達成につながると注目されているのが、「1人会議」だ。「1人会議」の定義と種類を見ていこう。

1人会議の定義
 「1人会議」とは、文字通り、1人で行う会議のことだ。「脳内ブレスト」「セルフコーチング」とも呼ばれている。1人会議では、自分自身にいくつもの質問を投げかけ、その答えを明文化する。そのため1人会議は、「自分自身と向き合う場」「頭の中を整理して問題を明らかにする場」「これから何をやるかを明確にする場」とも言える。

1人会議の種類
 1人会議には、会議のテーマを決めて議論する「テーマ会議」、直面している問題やそれへの対策を考える「問題対策会議」、テーマを決めず思い浮かんだことを全て書き出す「フリー会議」、新聞や雑誌などをざっと読み気になったフレーズを書き出す「情報収集会議」の4種類がある。状況に合わせて、どの1人会議を行うのか決めると良いだろう。

1人会議の目的と効果

 1人会議には、さまざまな効果があると言われている。1人会議の目的と効果を見ていこう。

1人会議の目的
 1人会議の目的は、「ネガティブ発想」を「ポジティブ発想」に変えることで、何事にも活き活きと前向きに取り組めるようにすることだ。特に仕事面では、仕事への不満・愚痴を、「どうすれば今の状況が改善するか」という前向きな意見に変えることを目的としている。

1人会議の効果
 1人会議の1つ目の効果は、頭の中が整理され、「やるべきことが明確化する」ことだ。それにより、マルチタスクの場合でも、「目の前の作業一つひとつに丁寧に取り組める」という効果が期待できる。また、何をしたら良いのかを自分自身で考えることで、「やらなきゃいけないことが、やりたいことに変わる」という効果がある。この他、「思いもよらないアイデアや解決法が生まれる」「抱えている問題が次々と解決する」といった効果も期待できると言われている。そのため、社員研修や新人教育などに1人会議を取り入れることは、目標達成できる人材の育成につながるだろう。

1人会議の進め方

 1人会議を何度も繰り返し行うことで、目標達成しやすい人材へと徐々に成長していくだろう。では実際にどのように1人会議を進めたら良いのか、1人会議の進め方を順を追って見ていこう。

進め方①:自分が抱えている問題を全て書き出す
 1人会議を始めようと思っても、現状の課題が全くわからないようでは、先に進まない。そのため、まず行いたいのが、「自分が抱えている問題を全て書き出す」ことだ。「現状はどういった状態か」を自分自身に尋ねることで現状を正しく把握し、問題を明確化することができる。

進め方②:「どうなると良いのか?」を尋ね、目標を立てる
 問題・課題と目標はセットで考える必要がある。そのため次に行いたいのが、明確化した問題に対して、「どうなると良いのか」を自分自身に尋ね、「目標を立てる」ことだ。その際、ネガティブな発想ばかりが生まれないよう、「なぜうまくいかないのか?」ではなく、「どうなれば良いのか?」を前向きに考えるように意識することが重要だ。

進め方③:「どうすればそういう状態になるのか?」を尋ねる
 目標が明確になったら、次に考えたいのが、目標達成に向けた具体的なプロセス・行動だ。「どうなると良いのか?」で出た答えに対して、「どうすればそういう状態になるのか?」を自分自身に尋ねよう。出てくるアイデアが多ければ多いほど、名案が生まれやすいと言われている。そのため、思い付いたアイデアを全て書き出し、出たアイデアの中からどれが良いかを検討しよう。

進め方④:答えをToDoとして書き出し、実行に移す
 「どうすれば目標達成できるか」の答えが見つかっても、実際に行動に移さなければ状況は変わらない。そのため、答えとして出てきたアイデアを「●●する」というToDoに変え、スケジュール帳に書き込み、具体的な計画に移す必要がある。計画倒れにならないよう、確実に行動に移すことが重要だ。

1人会議を成功させるための3つのポイント

 1人会議を成功させるためには、3つのポイントがある。1人会議を成功させるためのポイントを見ていこう。

ポイント①:「場所や日時」を事前に決める
 1人会議には通常の会議のような強制力がないため、「暇なときに1人会議をやろう」と思っても、実際には開催できないという可能性がある。そのため、1人会議の「場所や日時」を事前に決めておくことが重要だ。決めた予定を忘れないよう、その場でスケジュール帳に書き込んでおくと、なお良いだろう。

ポイント②:質問や答えを手書きで書き込む
 1人会議では、自分が思い付く質問や答えを、次から次へと書き出していく場だ。その場で思い付いたことをすぐに書き出すため際は、漢字に変換する手間や修正する手間などを考えると、パソコンよりも手書きの方が適している。ノートや付箋、ペンなどを用意しておこう。

ポイント③:会議の開始を宣言する
 会議場所に着いて筆記用具を広げても、1人ではなかなか会議を始めるという気分になれないこともあるかもしれない。そのため、1人会議を開催するという意識を持てるよう、会議の開始を宣言すると良い。「今から1人会議を始めます」と宣言してから、始めるようにしよう。

まとめ

 自分自身と向き合う場である「1人会議」には、「やるべきことが明確化する」「目の前の作業一つひとつに丁寧に取り組める」といった効果がある。そのため、正しい順番で1人会議を進めることで、徐々に目標達成しやすくなっていくことが期待できる。

 社員研修や新人教育に1人会議を取り入れる際は、「1人会議の日時や場所を事前に決める」「質問や答えを手書きする」といったポイントも伝えるようにするとより効果的だ。1人会議をうまく活用し、目標達成できる人材の育成を図ってみてはどうだろうか。