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総務担当者必見!押さえておくべき年末調整の手順と、便利ツール

2019.11.14
総務担当者必見!押さえておくべき年末調整の手順と、便利ツール
総務担当者必見!押さえておくべき年末調整の手順と、便利ツール

 従業員一人ひとりへの対応が必要となる年末調整は、総務担当者にとって負担の大きな作業だ。また税制改正により、令和2年から所得税の取扱いが大きく変わるため、総務担当者の負担がさらに増える可能性がある。そのため国税庁も、年末調整手続きに関し、同庁サイト上で配偶者等の情報を入力するだけで配偶者控除等申告書が作成できるツールを提供するなど、手続きの簡便化を図っている。
 年末調整をスムーズに進めるためには、従業員へ早めに告知を行し、事前に手順を確認し、余裕をもって準備を進めることが重要だ。
 今回は、年末調整の手順と、入力の手間等総務担当者の軽減につなが給与計算ソフトなどの便利ツールを紹介する。

年末調整とは?

 年末調整とは、企業が従業員の給与から毎月天引きした所得税と、本来支払うべき所得税の金額を調整し、確定させる業務のことだ。

 毎月徴収する源泉徴収税は、給与額をもとに算出するが、控除額(扶養控除、保険料控除、住宅ローン控除など)が考慮されていない。そのため、年末に従業員から控除対象の内容を申告してもらい、本来徴収すべき年間の所得税を再計算する必要がある。所得税を払いすぎていた場合には、余分に支払った分が従業員に還付される。これらの一連の作業を「年末調整」と呼ぶ。

年末調整の流れと手順

 年末調整では、多くの書類を取り扱う必要がある。また申告書に記載された金額が正確でないと、所得税の過不足を正しく計算することができない。その年の最後に支払う給与でまとめて精算することになるため、その時期に間に合うよう段取りよく実施していくことも重要だ。

従業員による各種申告書の提出 <11月下旬>
 従業員に対して年末調整のお知らせと申告書を配布する。年末調整で、必要な書類は以下の通りだ。

給与等の集計と申告書のチェック <12月上旬>
 給料、賞与の支払い金額、社会保険料、源泉徴収額を計算して、「給与所得に対する源泉徴収簿」に記入。各社員から年末調整用の申告書と控除証明書の提出を受け、必要書類と控除証明書を確認する。

年末調整の計算・源泉徴収票の作成 <12月中旬>
 従業員から各種申告書の回収後、年末調整の計算を行い、源泉徴収票にまとめる。本年度最後の給与または賞与の支払い時に、源泉徴収税額の過不足を精算、源泉徴収簿から「給与所得の源泉徴収票」と「給与支払い報告書」を作成する。

源泉徴収税額の納付と新年の源泉徴収簿の作成 <翌年1月>

<10日期限>
 税務署に源泉徴収税額を納付(毎月納付分)

<20日期限>
 税務署に源泉徴収税額を納付(納期の特例分)

<31日期限>
 ・各社員全員に「給与所得の源泉徴収票」を交付
 ・税務署に源泉徴収票と支払調書および法定調書合計票を提出
 ・市区町村に「給与支払報告書」と総括表を提出

給与計算ソフトの導入

 従業員が多くなればなるほど、年末調整は煩雑になる。また年に一度しかやらない事務作業のため、手順や流れを忘れてしまいやすく、業務効率がなかなか上がらない。
 時間のかかる作業を簡略化し、手間を省きつつ迅速に処理するのに効果的なのが、労務管理・給与計算ソフトの導入だ。煩雑な年末調整を簡略化するためのクラウド給与計算ソフトを紹介する。


人事労務freee

 人事労務freeeは、企業の勤怠管理や給与計算、各種明細の作成まで一貫して簡略化・効率化できるクラウドタイプのソフトウェア。従業員自身が入力するシステムのため、管理者の手間が削減できる。スマートフォンアプリと連携すれば外出先からも作業が可能だ。社会保険料や税金の計算を自動で行えるため、労務作業におけるミスを防げる。また、法改正で税率や保険料率が変わった場合にも、すぐに対応することができる。

<人事労務freeeの機能>

①毎月の給与事務
従業員の勤怠を管理し、従業員の給与を自動で計算する。
給与額の計算が完了したら電子給与明細を発行。
従業員にクラウド上で配布できる。

②毎年の給与事務
従業員の情報から年末調整の計算をして、源泉徴収票などの書類を自動で作成。
社会保険の算定基礎届や労働保険の年度更新、住民税の更新にも対応することができる。

③労務管理
従業員の入退社手続きに必要な書類を作成して、必要な情報を収集することが可能。
各種手続き時に必要となるマイナンバーをクラウド上で安全に設定できる。

④会計処理の効率化
会計freeeと連携して経費を従業員の給与に反映。
従業員に支払った給与額や納めた税金、保険料を会計データとして移行できる。


スマイルワークス

 スマイルワークスは、会計や給与、販売管理等の業務ソフトをまとめて一言管理出来るソフトウェア。各社員から提出された「給与所得者の保険控除申告兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」などの情報をもとに、保険料控除や住宅借入金特別控除の居住年月日の登録を行う。

<スマイルワークスの機能>

①プロジェクト別収支管理
計画別の収益・予実を一目で把握可能。
売上・仕入金額、社内工数などを紐づけた同時管理によって、基幹システムとして使用することができる。

②スマホで承認ワークフロー管理
見積書などの申請書類にスマートフォンなどでも承認ができ、計画の進行を円滑に進めることができる。

③販売・在庫管理
経営上必要な見積など書類の作成、過去の集計データ探しが可能。
業務が忙しくなるにつれExcelで数値に差が生まれがちな複数の倉庫の在庫管理でも、「どの商品」が「どの倉庫」に「いくつあるのか」正確に管理することができる。

④毎月の給与事務
各種保険や税金の計算、WEBで給与明細発行、各種届出など、業務コストが大幅に削減。
勤怠情報入力はスマートフォンからでも打刻可能、マイナンバー制度や年末調整、算定基礎届や月額変更届などの業務まで完全対応している。

⑤配賦機能・財務会計
計画ごとに販売管理で使用した売上など各伝票のデータが会計と連動することで振替伝票や損益計算書を自動抽出・作成できる。


フリーウェイ給与計算

 フリーウェイ給与計算は、従業員5人までなら永久無料のクラウド給与計算ソフト。6人以上なら、何人でも価格は月額1,980円で利用することができる。ダウンロードやインストールが不要なため、税率や保険料率の改正があっても、ワンボタンでアップデートでき、常に最新の状態で利用可能だ。

<フリーウェイ給与計算の機能>

①1年分の総支給金額等を自動計算
1年分の金額を自動計算。
源泉徴収簿への転記もワンタッチで行える。

②前職の源泉徴収票の入力に対応
源泉徴収票には、1年間の収入や控除などの金額を記載する必要があるため、前職情報を入力すれば合算される。

③給与明細を作成しない年末調整にも対応
源泉徴収簿1年分に金額を入力する方法でも、年末調整することができる。
他の給与計算ソフトから、年度の途中にフリーウェイ給与計算への乗り換えも可能。
過去の給与明細を作成するかどうかは、自由に選択できる。

④様々な控除額の自動計算
基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、勤労学生控除、給与所得控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済控除など、控除について詳しいことが分からなくても、家族情報などを入力するだけで自動計算されるため、業務の負担が減る。

⑤支払調書の出力に対応
不動産の使用料等の支払調書、不動産等の譲受けの対価の支払調書、不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書、配当、剰余金の分配、金銭の分配及び基金利息の支払調書、非居住者等に支払われる給与、報酬、年金及び賞金の支払調書などの作成と出力にも対応。無料で利用できる。


SmartHR

 SmartHRは、雇用契約や入社手続き、従業員情報が自動で蓄積され、ペーパーレスで完結することが可能なクラウド人事労務ソフト。年末調整の他に、Web給与明細、様々な労務手続きにも対応可能だ。様々な外部サービスと連携している。

<SmartHRの機能>

①従業員が必要情報を直接入力し、電子申請に対応
個人情報を従業員が直接入力し、社会保険・雇用保険などさまざまな手続きが電子申請に対応。
またペーパーレス化により、担当者の負担も大幅減することができる。 

②常に最新の社員名簿で従業員情報を一元管理
年末調整や給与明細の発行、退職・住所変更手続きなど、様々な労務管理業務がWeb上で完結する。
手続きに使用する個人情報を従業員本人が入力することで、ミスが激減。
分散した社員情報はすべて集約されるため、従業員データベースは常に最新で間違いがない。

③様々な手続きに対応
年末調整やWeb給与明細、その他労務手続きにも対応。
オプション機能の活用で自社にあった使い方ができる。
勤怠管理や給与計算ソフトなど外部サービスやCSV、API連携との連携することも可能だ。


マネーフォワードクラウド給与

 マネーフォワード クラウド給与は、所得税率・厚生年金保険料率・健康保険料率など全ての税率や料率を自動で更新可能なクラウド給与システム。時間や場所に関係なく利用でき、スマートフォンにも対応している。

<マネーフォワード クラウド給与の機能>

①税制や法令に自動で対応
健康保険料率や厚生年金保険料率、所得税率はすべて自動で更新され、常に最新の環境で利用できる。

②業務すべてがペーパーレス化
対象者の管理、従業員情報の登録、扶養控除等(異動)申告書の回収、計算状況の管理がすべてオンライン上で完結する。

③入力の二度手間を削減
従業員が直接、自身の情報や扶養情報を入力。
給与計算ソフトに再入力する必要がない。

④いつでもどこでも利用できる
従来のパッケージソフトとは違い、時間・場所問わず利用可能。
会社のパソコンがなくても利用することができる。

まとめ

 年末調整は法改正の影響を受けやすいため、総務担当者にとって負担の大きな作業だ。労働人口の減少や働き方改革の影響により、企業における総労働時間が減少していく中、年末調整の作業を簡略化するためのツールの活用は今後ますます必要となってくるだろう。今回の記事を参考に、自社にあったツールを検討し、年末調整を滞りなく進めてみてはどうだろうか。