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日本とはどう違う?世界と日本の「働き方」の違い【ドイツ編】

2019.11.26

 近年、日本では働き方改革の一環として、「働き方の多様化」「ワークライフバランスの充実」などが重視されている。社員が働きやすい環境を構築するために、人事総務担当者として、どのような対策をとったら良いのか悩むことも多いだろう。

 日本における「働き方」のイメージは、「残業が多い」「有給取得率が低い」「労働時間が長い」など、世界から見てもあまり良い印象ではない。実際に、日本と世界では「働き方」や「働くことへの考え方」はどう違うのだろうか。

 今回は、世界と日本の「働き方」の違いを一国ずつ比較していくシリーズ企画第3弾として、ドイツとの「働き方」の違いについて見ていく。

目次

●労働生産性が高い
●高い有給取得率と柔軟な労働時間
●自立・独立を目指す意識が高い
●家族や自分を優先

労働生産性が高い

 ドイツは日本と同様、製造業などの「モノづくり」が盛んなイメージがあるだろう。ところが、同じモノづくり大国でありながら、労働生産性には圧倒的な差があるようだ。ここでは、ドイツと日本の労働生産性に大きな差が生じる理由を見ていこう。

労働時間が圧倒的に短い

 ドイツは、世界の各国と比べても年間労働時間が非常に短い。OECD(経済協力開発機構)の2017年調査によると、加盟国の中で最も短いという結果となっている。この背景には、ドイツでは法律によって労働時間が厳しく管理されていることがある。原則1日8時間までと定めてられており、10時間を超える労働は禁止されている。違反が発覚した場合は、経営者に罰金や禁固刑を科すこともあり、労働安全局が企業に立ち入り頻繁にチェックを行うことも珍しくない。

一方、日本の年間労働時間はドイツと比べ圧倒的に長いにも関わらず、一人当たりのGDPはドイツを大きく下回っており、労働時間に対する生産性は低いのが現状だ。また、日本でも法律によって1日の労働時間は原則8時間と定められてはいるが、時間外協定(36協定)の届け出により上限を超えて労働することも可能とされている。ドイツほどの徹底した労働時間の管理体制には及んでいないと言えるだろう。

効率性を重視

 ドイツ人は、効率化を図る意識が高いことも労働生産性を上げている理由の一つだ。「最小限の労働時間の中で、最大の効果を上げる」という考え方が浸透している。個人が業務を遂行できる環境であれば、仕事をする場所を問わないケースも多く、数時間の「どうしても自宅にいなければならない用事」のために会社を休む必要がない。ドイツでは、仕事ができる状態であるにも関わらず、休みを取ることは「効率が悪い」のだ。

 一方、日本では長時間労働を是正する取り組みは進んでいるものの、依然として「長時間働くこと」が良しとされる傾向が根強く、効率性を重視しているとは言いにくいだろう。

高い有給取得率と柔軟な労働時間

 仕事をする上で、重要視する条件として、充実した休暇制度や働きやすい環境を挙げる人も多いだろう。プライベートを確保することは、仕事に対するモチベーションの向上にもつながる。ここでは、ドイツの休暇に対する意識や柔軟な働き方を推進する制度について見ていこう。

有給休暇は100%取得が当たり前

 ドイツでは、有給休暇の取得は労働者の当然の権利として認知されており、有給消化は社員の義務として位置づけている企業もある。付与される有給休暇日数は平均して年間30日。「有給休暇を100%取得することは当たり前」という意識が浸透しているため、仕事が残っている・いないに関わらず、休暇を取る際に「遠慮」という言葉は存在しない。経営者やサービス業に就く人でも、長期のバケーションを楽しむこともある。

 一方、日本では有給休暇の最低日数が10日と定められており、ドイツと比べると半分以下だ。有給休暇の取得率も、世界と比較して圧倒的に低く、日本企業における有給休暇の取りにくさが浮き彫りになっている。

柔軟な働き方を実現する「労働時間貯蓄制度」

 労働時間貯蓄制度は、残業や休日出勤などを口座預金のように貯蓄し、有給休暇に振り替えて利用できる仕組みだ。ドイツでは、労働時間を「削減する」という考えから「柔軟に割り振る」といった考えにシフトチェンジしている。例えば、「今日2時間残業した分、後日2時間早く退勤する」といった労働時間の調整が自身で行えるため、プライベートに合わせて労働時間をコントロールすることも可能だ。

 一方、日本でもフレックスタイム制を導入する企業も増えてはいるが、就業時間が定められている企業も多い。「プライベートに合わせて労働時間を調整する」という考え方に至るには、少し時間が掛かりそうだ。

自立・独立を目指す意識が高い

 ドイツでは、「個人主義」の文化が強く根付いている。個人のスキルを伸ばしていくことを重視するため、自立や独立といった意識を持つ人が多い。これは、幼い頃からキャリア教育を徹底しているドイツならではの教育体制とも関係している。キャリアに対して主体的な考えを持つ人も多く、一つの企業への帰属意識よりも、転職をしながら自身のキャリアを築きあげ、スキルアップを目指す傾向にある。

 一方、日本は個人よりも集団としての結びつきが強く「調和」を大切にする傾向にある。かつて日本では年功序列や終身雇用制度がほとんどの会社で取り入れられており、新卒で入社した会社に自分のキャリアを預けることが一般的だった。そのため個々の自立よりも、組織への適応力の方が重視される傾向にあり、主体的にキャリアアップを図ったり、自己実現に向けて取り組んだりする行動力が生まれにくい状況だったと言えるだろう。

家族や自分を優先

 ドイツでは「Work to live(生きるために働く)」という意識が浸透しており、仕事はあくまでも、生活の糧を得るための手段となっている。通院や子どもの送迎など、仕事よりも家族を大切にすることが当たり前。「家族ファースト」また「自分ファースト」といった考えのもとに働く人がほとんどで、プライベートな理由で仕事を後回しにすることも珍しくない。これは、企業の理解もあるからこそできる働き方とも言える。

 一方、日本ではワンオペ育児や介護離職が社会問題にもなっている。また、プライベートな理由から仕事を休むことは、年間で数えてもほんの数日という人が多いだろう。ドイツと比べて「仕事よりもプライベート(家族)を大切にしている」とは言いにくい。

まとめ

 ドイツが誇る高い労働生産性は「プライベートを大事にするために、いかに効率よく仕事をするか」という文化にある。日本の「働き方改革」を推進していく上で、労働生産性を上げていくことは重要な課題であり、ドイツの働き方は、ロールモデルになると言えるのではないだろうか。

 「組織との調和」や「勤勉性」など、日本の良さを大切にしながらも、ドイツの柔軟な働き方や仕事とプライベートにメリハリをつける意識を取り入れ、日本における働き方の多様化を目指してみてはどうだろうか。