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人事担当者必見 日々の業務やスキルアップに役立つ資格5選

2019.12.05

 人事の仕事は「人事企画」「採用」「教育・研修」「評価関連」「人事労務」など多岐にわたるため、人事担当者には幅広いスキルが求められる。また、人材不足が続く中、日々の業務に加えて「生産性の向上施策」や「働き方改革の施策」など方向性を示す能力も必要にもなってくる。役割が大きいだけに、どういった知識を身に付けるべきか悩んでいる人事担当者も多いだろう。

 人事に必要な知識の習得のためには、業務内容に関連した資格の取得が効果的だ。ここでは、人事担当者向けに、日々の業務やスキルアップ役立つ資格5選を紹介する。

キャリアコンサルタント~職業選択や能力開発に関する相談や助言をする資格~

資格の概要
 従業員の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことができる国家資格。従業員のキャリア形成支援者として、従業員のキャリアプランを明確にし、必要な知識・資格の習得や仕事の選択を行うことを支援する。

試験内容
 試験科目は、学科試験、論述試験、面接試験に分かれている。面接試験の内容はキャリアコンサルティングのロールプレイと口頭試問。相談者の問題を的確に捉えられているか、相談者の成長につながるような回答ができているかといった点が評価対象となる。

衛生管理者~職場環境を整えるための具体的な知識を得られる資格~

資格の概要
 労働安全衛生法で定められている国家資格。「職場環境の整備や改善、社員の健康管理を効果的に行い、過重労働や労働災害を防止すること」を目的にしている。常時50人以上の従業員がいる職場では、事業場専属の衛生管理者を選任する必要がある。そのため、労働環境の衛生的改善と疾病の予防処置等などを任されることの多い人事担当者としては、まず取得しておきたい資格だ。第一種(全業種可)と第二種(情報通信、金融・保険、卸売小売など制限あり)があり、従業員の安全を守るための作業環境管理や健康管理に関する知識が問われる。

試験内容
 試験科目は、第一種衛生管理者、第二種衛生管理者ともに、「関係法令(労働基準法、労働安全衛生法)」「労働衛生」「労働生理」の3つの範囲から出題される。

メンタルヘルス・マネジメント「Ⅰ種(マスターコース)」 ~働く人たちの心の不調を未然に防止する資格~

資格の概要
 大阪商工会議所が実施する産業精神保健に関する検定。心の不調の未然防止と活力ある職場づくりを目指し、職場内での役割に応じて必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法が問われる。うつ病や適応障害などの精神疾患の発病などによる休職者・離職者が増加し、企業が従業員のメンタルヘルス対策を考える必要がある中、注目されている資格だる。
 この資格を取得すると、自社の人事戦略・方針を踏まえたうえで、メンタルヘルスケア計画、産業保健スタッフや他の専門機関との連携、従業員への教育・研修等に関する企画・立案・実施ができるようになる。
Ⅰ種(マスターコース)とⅡ種(ラインケアコース)、Ⅲ種(セルフケアコース)と3種類の試験があるが人事担当者は、社内のメンタルヘルス対策の推進を目的とするⅠ種を取得するとよいだろう。
 
試験内容
 「公開試験」(統一試験日に全国15都市で実施)と「団体特別試験」(企業等が任意に試験の日時・場所を設定し実施)の2種類の受験方法がある。企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性や人事労務管理スタッフに求められる能力など9項目が出題される。

ビジネスキャリア検定 ~部門長を狙う人向けのスキル~

資格の概要
 労働省が定める職業能力評価基準に準拠した資格。人事・人材開発や労務管理だけではなく、経理・財務管理、営業・マーケティング、企業法務・総務など、自身の実務を評価することを目的としている。
 1級~3級があり、3級が実務経験3年程度(係長、リーダー相当職を目指す人)、2級が5年程度(課長、マネージャー相当職を目指す人)、1級が10年以上(部門長、ディレクター相当職を目指す人)を想定した内容になっている。受験資格は特になく、どの階級から受験することも可能だ。

試験内容
 3級は4肢択一、2級は5肢択一、1級は論述式。「人事・人材開発」では、人事企画や、雇用・賃金管理などの人事業務に加え、OJTや自己啓発支援計画などの人材開発業務が出題範囲となる。また、「労務管理」では、労使関係や就業管理、安全衛生、福利厚生などについて問われる。

産業カウンセラー ~心理学の手法で解決する資格~

資格の概要
 「産業カウンセラー」とは、「メンタルヘルス対策」「キャリア開発」「職場における人間関係開発」の3つを、心理学的な手法で解決できるよう支える専門家だ。働く人や職場(組織)の話を聴くだけではなく、現場でのカウンセリングや研修なども行い、働く人と職場(組織)の両方を支援する。
 最近は、メンタルヘルスマネジメント検定とともに注目度が高まり、産業カウンセラーの採用を行う企業も増加傾向にある。人材派遣コーディネータやマネージャー職、人事担当者など、心理カウンセラー以外の人も活用できる資格となっている。大学院研究科において心理学または心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学のいずれかの専攻を修了しているか、協会が行う産業カウンセリングの学識及び技能を修得するための講座を修了した人が条件となっている。

試験内容
 学科試験Ⅰ・Ⅱ、および実技試験がある。上記記載の学科の専攻を終了することが条件とし、また、受験資格によって免除されることもある。実技試験では、実際のカウンセリングをカウンセラー役(CO役)・クライエント役(CL)を交代しながら実施する。

MBA ~戦略人事としての土台形成を可能にする~

概要
 日本では経営学修士とも呼ばれ、経営学の大学院修士課程を修了すると授与される「学位」である。資格ではないが、経営者のビジネスパートナーとして寄り添ったり、グローバル企業(外資系や海外採用など)での人事として国際的な活躍をしたり、といったさらなるキャリアアップを考えている人であればMBAの取得を視野に入れてみてはどうだろうか。実際のビジネスで役立つ思考方法や、解決力が身に付き、ビジネスリーダーとして役立つスキルが身に付く。

まとめ

 企業の活動主軸全般に関わる人事。「研修・教育」「採用」「人事評価」「労務」など人事担当者が取り組むべき業務も増えてきていて、求められるスキルは高い。プライバシーに関わるデリケートな部分や、関わる人の人生を左右する決断も必要になるため、責任も重大だ。
 社内の課題に向き合いながら、自身のキャリアアップを図る手段の1つとして、資格取得にチャレンジしてみてはどうだろうか。