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今月の人事・労務トレンドVol.8 ニューノーマル時代の働き方

2020.09.09

 2009年、アメリカのエコノミストは、リーマンショック後の世界経済は「経済が回復したとしても以前の状態には戻らない」とする「ニューノーマル」の概念を提唱した。昨今では新型コロナウイルス感染症の影響も相まって、従来の慣習を見直し、新しい常態を築いていこうとする動きが世界中で見られている。企業においても、企業体制の見直しを行いたいと考えることがあるのではないだろうか。

 今回は、ニューノーマルの時代に求められる働き方やそれに伴うセルフマネジメントのポイント、ニューノーマル時代のオフィスの在り方について解説する。それぞれのポイントを把握し、ニューノーマル時代に即したオフィス運営の参考としてほしい。

目次

●ニューノーマル時代に求められること
●セルフマネジメントのポイント
●ニューノーマル時代のオフィスの在り方
●まとめ

ニューノーマル時代に求められること

 「ニューノーマル」とは「新しい日常・新しい常識」という意味で、中国では「新常態」という言葉で表現されている。ニューノーマル時代ではどのような働き方が求められているのだろうか。ここでは、ニューノーマル時代への流れや新型コロナウイルスの影響について解説する。

「ニューノーマル」とは
 「ニューノーマル」は元々経済を軸にした言葉で、2008年にリーマンショックを経験した世界が今後も低成長を続けていく姿を表現していた。2020年冒頭から新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し生活様式が一変したことで、「新型コロナウィルス感染拡大以前とは異なる日常のあり方」という意味合いも含まれるようになった。

 日本では2019年に「働き方改革」が施行され多様な働き方が推奨されていたが、新型コロナウイルスの影響により、テレワークを導入する企業が急激に増加することとなった。

コロナ禍でリモートワークや在宅ワークがメインに
 新型コロナウィルス感染症が日本でも流行すると、感染拡大を防止するために多くの企業や従業員がオフィスワークからリモートワークや在宅ワークに移行した。通勤時間の短縮や業務の効率化などのメリットが挙げられる一方で、労務管理やコミュニケーション不足などの課題も浮き彫りになった。

 感染症の収束の目途が立ちにくい状況下にあるため、テレワークは今後より一層企業に浸透していくと考えられている。個々の作業状態が見えにくいテレワークでは、企業によるフォロー体制の確立だけでなく、従業員のセルフマネジメント力の向上が求められていると言えるだろう。

セルフマネジメントのポイント

 テレワークによって生じるさまざまな課題点を改善・解決するには、生活面・メンタル面でのセルフマネジメントが重要だ。ここでは、テレワークの環境下におけるセルフマネジメントのポイントを解説する。

作業環境を整える
 業務をスムーズに行うためには、オン・オフが切り替えられる作業環境を整えておくことが大切だ。テレビやベッド、嗜好品や趣味のものなど業務に関係がないものが視界に入らないようにするなど、業務に注力できる環境作りを呼びかけよう。

 また、生活リズムを乱さないよう、オフィス通勤時と同じ時間にWebで朝礼や軽い運動を行うなど、一定のルーティーンを作ることも効果的だ。

目標を常に意識する
 従業員が目標を設定し自分のありたい姿などを常にイメージできると、仕事に前向きに取り組むことができる。例として、以下について考えられる機会を設けると良いだろう。

・業務を通してどのようなスキルを得たいか
・どのようなサービスを提供したいか
・どのような人と一緒に仕事をしたいか
・自分の理想のワークライフバランスはどのような状態か
・より効率的に業務を行うためにどのような方法があるか
・効率化によって生まれた時間をどのように使いたいか

スケジュールを共有する
 チーム内でスケジュールを共有することで、集中力が持続する、業務の確認に時間を取られないというメリットが生まれる。テレワーク中の予定をアプリで共有したり、チャットツールなどを用いて進捗状況を確認できるようにすると、業務管理やタイムマネジメントが可能になるだけでなく、スムーズに業務が進みチーム力や生産性も向上するだろう。

ニューノーマル時代のオフィスの在り方

 新型コロナウイルス感染症の収束が未だ見込めない昨今、ニューノーマル時代とコロナ禍に即したオフィスの在り方が問われている。ここでは、ニューノーマル時代のオフィスのポイントについて解説する。

多様な働き方の受容
 時間や場所を有効に活用し柔軟な働き方を目指すだけでなく、オフィスに従業員が密集する状態を避ける意味からも、今後は従業員の状況に応じて多様な働き方を受容する必要がありそうだ。フレックス制やテレワーク(在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務)の導入を進める、ワーケーション制度を取り入れるなどが考えられる。

オフィス空間の見直し
 新型コロナウイルスの感染拡大を防止しつつオフィスワークを行うためには、以下のようにオフィス空間の見直しを行うと良いだろう。

・室内の従業員数に定員を設ける
・デスクの距離を離す
・デスクの向きを一方向にする
・ソーシャルディスタンスを意識した接客を行う
・置き菓子やコーヒーなどの嗜好品は個人による持ち込みまたは個包装にする
・コピー機やプリンターなど多数の人が触れる可能性のある備品の近くに消毒液を常備する

通信環境・ICTツールの整備
 テレワークがより浸透するであろうニューノーマル時代において、通信環境とICTツールの整備は欠かせない。セキュリティを確保しつつしっかりとした通信インフラを整備し、動作や機能に安全性・利便性があるツールを導入すると良い。

 それらの環境整備が行われることで、クラウドを経由したデータの授受やチャットを使ったこまめなコミュニケーションと情報共有、外出先でのメールの送受信などが可能になり、個々の業務の効率化や企業全体の生産性の向上に繋がるだろう。

ペーパーレス化の促進
 ペーパーレス化を促進することで、さまざまなメリットがある。例えば、クラウド上で書類の管理・共有を行うと、書類探しや閲覧を目的にしたオフィスへの出社を削減できる他、移動時間・検索時間の短縮に繋がる。また、クライアントとの契約を電子契約に切り替えれば、作業の効率化が図れるだけでなく感染症の予防にもなるだろう。

まとめ

 ニューノーマル時代では、ICTを用いた柔軟な働き方やそれに伴うオフィスの環境整備、従業員のセルフマネジメント力の向上が求められている。従業員のニーズや企業の状況を考慮しつつ、新しい働き方・企業の在り方を模索してみてはいかがだろうか。

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