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「コロナ禍でも前を向く」楽天が社内イベントで伝えたかったこと

2020.10.28
オフィスのミカタ編集部【PR】

 「新型コロナウイルスの影響で、予定していたイベントは中止します」−−。そんなお知らせを今年何度見ただろうか。社内イベントの運営者にとっても苦境の一年が続いている。
 せっかく企画したのに、行き場を失ったイベントたちがたくさんあった。「じゃあオンラインでやればいい」。とはいえ、リアルな体験にオンラインはかなわないはず…。
 楽天で社内イベントの企画を担う「楽天スマイルプロジェクトチーム」はそんな「常識」を覆し、イベントの社員満足度を高めることに成功した。

そうは言っても、やらないと

そうは言っても、やらないと

 新型コロナの影響が社内に波及したのは政府の緊急事態宣言が発出される直前の3月末。2万人を超える楽天グループ社員が、原則在宅勤務となった。

 「そうは言っても、やらないとなと思いました」。大野あゆみさんは振り返る。楽天グループ全体の社内イベントを企画する「楽天スマイルプロジェクトチーム」の3人のなかでチームリーダーを務める。

 楽天で例年実施している社内イベント「楽天ファミリーデー」が念頭にあった。2007年に始まり、2017年からは毎年開催している。昨年は社員や家族ら1184組(約4000人)あまりが東京・二子玉川の本社オフィスを訪れ、プログラミング体験や東京フィルハーモニー交響楽団による楽器体験、カフェテリアでのランチを楽しんだ。

 毎年9月に開催するファミリーデーの企画は5月頃に始まり、およそ半年かけて練っていく。大野さんが思いを新たにしたのは、ファミリーデーの企画の参考に実施した全社員アンケートを見たときだ。

 「孤独感が増した」「コミュニケーション不足」・・・。

 早急なテレワーク導入を余儀なくされた社員は、一体感を求めていた。4月以降に入社した社員のなかには、一度もオフィスを訪れていない人も。大野さんは思った。「やらないわけにはいかないな」。

初のオンライン開催

初のオンライン開催

 テーマは「楽天クリムゾンハウスの今を家から覗いてみよう」に決めた。在宅勤務で、オフィス(クリムゾンハウス)の現状を知らない社員は多い。安心して働いてもらえるよう、新型コロナ対策が進んでいるようすを、社員やその家族にも見てもらいたい−−。そんな思いが込められている。安全を考え、初のオンライン開催が決まった。

 大野さんはメンバーとは常にビデオ会議システムをつなぎ、オフィスに近いコミュニケーションを再現。イベントのために参画してもらった協力会社とはチャットツールを通じ、常にお互いの考え方を共有できるようにした。

 1階から最上階の27階まで、執務室や福利厚生施設を360°カメラで撮影。社員が専用のブラウザからログインすると、実際にその場にいるかのように見渡すことができる。「実際に歩き回っている感じを出したい」と、Google マップのストリートビューのように、方向を指示してオフィスを歩き回れるようにした。

 さらに各場所にアイコンを浮かべ、クリックすると各場所の説明や、企業ヒストリーなどが流れるようにした。参加者には、楽天の公式キャラクター「お買いものパンダ」オリジナルトランプを贈るなど、家族で楽しめるようエンタメ要素も随所に盛り込んだ。

 コロナ対策の説明にも力を入れ、ロビーやエレベーターホールなどで取り組んでいる対策を紹介した。

社員満足度8割超えのワケ

社員満足度8割超えのワケ

 「参加者も満足度も減ってしまうのでは」。大野さんの心配とはうらはらに、今年の「楽天ファミリーデー」には1700組を超える参加申し込みがあった。後日実施した参加者アンケートでは、イベントの満足度は90%近くに迫った。ファミリーデー以外のオンラインイベントでも、社員満足度が過去よりも高かった。

 「(在宅勤務が続き)自分が元気をなくしていることに気づいた。(今回のイベントで)社会から切り離されていない気分になった」「楽天に属しているのだと再認識できた」「楽天について家族に紹介することができて、安心感をもってもらえた」「やっぱりオフィスに行きたくなった」といった声が寄せられた。

 「日ごろ在宅勤務なので、より『帰属意識』がめばえたのかな」と分析する大野さん。社内イベントの意義をこう語る。「私たちが社内イベントを開催するのは、社員にモチベーションを上げてもらうため。こういうイベントを開催することで、『会社は前を向いているぞ』と意思表示することが大切だと思います」

 今後は東京以外のオフィスをオンラインで訪ねてもらったり、海外支社を巻き込んだりと、場所にとらわれないイベントのあり方を検討するつもりだ。