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アドレスホッパーとは? 導入する企業側のメリットやワーケーションとの違いについて詳しく解説

2020.10.27

 多様な働き方の普及に伴い、革新的な存在として「アドレスホッパー」の働き方が注目されている。業務や従業員の実態に鑑みて、アドレスホッピングの導入を考える企業もあるのではないだろうか。

 今回は、アドレスホッパーの概要や働き方の詳細、同じように注目される「ワーケーション」との違いを紹介する。オフィス出社に捉われない働き方の選択肢の1つとして、参考にしてほしい。

目次

●アドレスホッパーとは
●アドレスホッパーとワーケーションの違い
●アドレスホッパーの働き方
●アドレスホッパーという働き方を導入する企業側のメリット
●まとめ

アドレスホッパーとは

 「アドレスホッパー」とは、「住所(アドレス)を渡り歩く人(ホッパー)」という意味で、定住せずにさまざまな場所で仕事などを行う人を指す。ここではアドレスホッパーの概要と、アドレスホッパーが増加している背景を紹介する。

概要
 アドレスホッパーは、特定の拠点にこだわらずに移動しながら生活する「移動型ライフスタイル」を実践する人のことだ。マーケティングコンサルタントの市橋正太郎氏が2017年に行ったことが始まりとされている。旅行や自分探しを主とする「バックパッカー」とは異なり、それぞれの拠点で主に仕事を行うことが特徴だ。

 職種はエンジニアやデザイナー、Webライターなどのインターネット上で完結できる仕事が一般的だが、移動先で一定期間料理を提供する料理人や、地方を移動する医師の他、農業やゲストハウスの手伝いなど移動先で仕事を見つける場合もあるようだ。フリーランスで活動する人もいれば、会社員として企業に所属している人もいる。

アドレスホッパーが増える背景
 アドレスホッパーという働き方が増加しつつある背景には、多様な働き方の浸透による労働者の意識改革が挙げられる。働き方改革や新型コロナウイルス感染症対策によるテレワークの普及、通信インフラの整備により、企業・授業員ともに「時間や場所を有効活用する柔軟な働き方」を模索するようになっている。

 人と人との距離感を調整できる点がメリットでもあり、移動先でその土地の人や文化と関わり、さまざまなコミュニティを形成していくことに価値を見出す人もいる。仕事に集中したいときは静かな土地に移動したり個室のある宿泊先を選択したりと、自身の予定とペースに合わせて暮らすことを楽しんでいるようだ。

 また、シェアリングエコノミー意識の高まりや、サブスク型の住居サービスの登場など、アドレスホッパーが生活しやすい環境が整いつつあることも増加の後押しになっている。

アドレスホッパーとワーケーションの違い

 アドレスホッパーと同様「場所にこだわらない」働き方として、「ワーケーション」が存在する。アドレスホッパーとワーケーションにはどのような違いがあるのだろうか。

定住する場所の有無
 アドレスホッパーとワーケーションの利用者との一番の違いは、定住する場所があるか否かだ。ワーケーションは「仕事(ワーク)」と「休暇(バケーション)」を掛け合わせた造語で、休暇を利用しながら業務を行うことを指す。利用方法や個々の従業員の状況により滞在期間に差はあるものの、自宅など特定の住居がある上で利用することが一般的だ。一方、アドレスホッパーは移動中心の生活を送るため、無拠点であることが多い。

目的・滞在期間の違い
 それぞれ移動先で仕事を行う点は共通しているが、目的に大きな違いがある。ワーケーションは「休暇」を主としながら「仕事」を行うことでリフレッシュ・リラックスを目的としているのに対し、アドレスホッパーは移動先でも「仕事」を主としている。

 また、ワーケーションは「休暇」を利用しているため、滞在期間が限定的・短期的であることが特徴だ。一方、アドレスホッパーは業務を行う場所を選択しているだけなので滞在期間に定めがなく、1日や数カ月など、自身の業務や予定によって自由に決定できるという差がある。

アドレスホッパーの働き方

 アドレスホッパーはどのような働き方をしているのだろうか。ここでは、仕事の行い方や宿泊先など、アドレスホッパーの働き方の詳細を見ていこう。

仕事の行い方
 アドレスホッパーは、ノートパソコンとインターネット環境を利用してリモートワークを行うことが基本だ。日々の個人作業やメールのチェックだけでなく、打ち合わせや会議もオンラインで行う。オフィス出社や対面でのやり取りが必要な場合は、オフィスに近い宿泊先を探すなどして柔軟に対応しているようだ。宿泊先で業務を行う他、シェアオフィスを活用する方法もある。

宿泊先
 宿泊先は、予算や目的などによって以下のような場所を利用している。リモートワークが基本となるため、机や椅子などの設備、Wi-Fi環境が整っているかを事前に確認しておくと良いだろう。

・ホテル
・ユースホステル
・ゲストハウス
・インターネットカフェ
・知人宅

郵便物の管理
 移動を繰り返すアドレスホッパーのネックとなるのが住民票や郵便物の管理だが、住民票は移動しないことが一般的のようだ。郵便物は実家またはシェアオフィスに郵送、宅配物の受け取りはホテルか最寄りのコンビニエンスストアを指定する。法人登記などの住所利用や郵便物の保管・転送を行うバーチャルオフィスを利用するのも便利だろう。

荷物の管理
 移動生活が中心になると、必要最低限の持ち物だけで暮らす必要がある。アドレスホッパーは、必要性の低いものは実家に置いておく、レンタル倉庫や荷物の預かりサービスを利用する他、借りられるものは借りる、現地で調達できるものは現地で調達するなどの工夫をしているようだ。

アドレスホッパーという働き方を導入する企業側のメリット

 ここでは、アドレスホッパーという働き方を導入する企業側のメリットを紹介する。

企業のブランディング効果
 アドレスホッパーという働き方を受け入れることによって、「自由度の高い働き方を選択できる」「個々の事情に柔軟に対応できる」といった企業のブランディング効果が見込める。「場所に捉われない働き方の実現」を自社の魅力にすることで、企業が求める人材の確保にも繋がりやすいと言えるだろう。

生産性の向上
 自身の予定やコンディションによって生活の場を選択できるという特徴を活かせば、作業環境の変化によりクリエイティブな発想が生まれやすい、集中しやすい、オンオフの切り換えがしやすいといったメリットが得られる。それによって従業員の仕事に対する満足度やモチベーションが上がり、企業全体の効率性や生産性の向上が期待できるだろう。

まとめ

 特定の住居を持たない「アドレスホッパー」は、画一的なワークスタイルを見直す新しい働き方として大きな可能性を秘めている存在だと言えるだろう。アドレスホッピングを支援するさまざまなサービスも展開されているため、業務や従業員の状況を考慮しながら、導入を検討してみてはいかがだろうか。

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