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バックオフィスにまつわる法改正Vol.1 パワハラ防止法とは?事例や企業が行うべき対策を紹介

2021.05.26

職場環境の改善が強く求められる社会状況から法制化された「パワハラ防止法」。パワハラ防止法の具体的な内容について知りたい人事担当者もいるのではないだろうか。

今回は、パワハラ防止法の概要や職場におけるパワーハラスメントの定義、企業に義務付けられている対策など、パワハラ防止法のポイントを紹介する。法律に基づいた対策を検討し、従業員が働きやすい環境を整えよう。

目次

●パワハラ防止法とは
●職場におけるパワーハラスメントの内容
●パワーハラスメントの具体事例
●企業に義務付けられている対策
●まとめ

パワハラ防止法とは

パワハラ防止法とはどのような法律であるのか、まずはパワハラ防止法の概要やパワーハラスメントの定義について見ていこう。

パワハラ防止法の概要
パワハラ防止法とは、「改正労働施策総合推進法」の通称名で、職場におけるパワーハラスメントの基準を定め、具体的な防止措置を企業に義務付けたものだ。改正法は2019年6月5日に公布され、大企業では2020年6月からすでに施行されているが、中小企業においては準備期間を勘案し、2022年4月から施行される。

パワハラ防止法によって、雇用管理上必要な措置を講じていない企業は「是正指導」の対象となる。罰則規定はないが、パワハラに関して改善が見られない場合は、企業名が公表される可能性もあることも知っておきたい。

パワハラ防止法における「パワーハラスメント」の定義
パワハラ防止法に関しては、2020年1月に厚労省が『こ職場のパワーハラスメント防止のための指針』(ガイドライン)を公表している。

➡具体的なパワーハラスメントの定義については以下の通り。
 1.優越的な関係を背景とした
 2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
 3. 就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)

上記3つの要素をすべて満たすものが「パワハラ」と認定される。ただし、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントに該当しない。

職場におけるパワーハラスメントの内容

職場におけるパワーハラスメントとは、具体的にどのような状況を対象としたものなのか、言葉の定義について見ていこう。

職場とは
職場とは、企業(事業主)が雇用する労働者が「業務を遂行する場所」を指す。当該労働者が通常就業している場所以外であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については職場に含まれる。

労働者とは
労働者とは、正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者や契約社員など、非正規雇用労働者を含む企業(事業主)が雇用する全ての労働者のことを言う。

「優越的な関係を背景とした」言動とは
「優越的な関係を背景とした」言動とは、当該企業(事業主)の業務を遂行するに当たり、当該言動を受ける労働者が、言動の行為者者に「抵抗又は拒絶」することができない可能性が高い関係を背景として行われるものだ。

➡「優越的な関係を背景とした」言動に挙げられる事例は、以下の通り。
・ 職務上の地位が上位の者による言動
・同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有して
 おり、当該者の協力を 得なければ業務の円滑な遂行が困難であるもの
・同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは
「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは、社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該企業(事業主)の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指す。この判断に当たっては、言動の目的や経緯など、さまざまな要素を総合的に考慮する必要がある。

➡「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動に挙げられる事例は、以下の通り。
・ 業務上明らかに必要性のない言動
・ 業務の目的を大きく逸脱した言動
・ 業務を遂行するための手段として不適当な言動
・ 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を
 超える言動

パワーハラスメントの具体事例

職場におけるパワーハラスメントについては、裁判例や個別労働関係紛争処理事案に基づき、以下6類型が典型例として挙げられる。

なお上記の事例は、職場のパワーハラスメントに該当する行為をすべて網羅したものではない。個別事案の判断に際しては、相談窓口の担当者等が、相談を行った労働者の「心身の状況」や、当該言動が行われた際の「受け止め方」などにも配慮し、丁寧に事実確認等を行うことが重要だ。

企業に義務付けられている対策

パワハラ防止法の施行により、企業には職場におけるパワーハラスメント対策を講じることが義務付けられる。雇用管理上、必要な措置の内容について見ていこう。

企業(事業主)の方針等の明確化及びその周知・啓発
企業(事業主)は、職場におけるパワーハラスメントに関する方針の「明確化」および、労働者に対する方針の「周知、啓発」を行わなければならない。その際には、職場におけるパワーハラスメント防止効果を高めるため、法律の背景について、従業員に理解を深めてもらうことも重要だ。

相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
企業(事業主)は、労働者からの相談や苦情等に対し、適切かつ柔軟に対応できるよう「体制」を整備しなければならない。具体的には、相談窓口等を作り労働者に周知することや、相談窓口の担当者が相談に対して適切に対応できるよう教育や研修を行うことが必要だ。

職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
企業(事業主)は、職場におけるパワーハラスメントに係る相談の申し出があった場合、適正な対処を講じなければならない。パワーハラスメントの事実が確認できた場合は、被害を受けた労働者に対し、速やかに適正な措置を行う必要がある。一方で、パワハラを行った者に対しては、懲戒その他の適正な措置を講じなければならない。

上記のような対策を怠った場合、パワーハラスメントに起因する問題が生じることも考えらえる。例えば、労働者の意欲低下による職場環境の悪化や職場全体の生産性低下、労働者の健康状態の悪化等、企業にとって経営的な損失につながる可能性も十分ありえる。今一度、職場環境を見直し必要な措置を講じたい。

まとめ

職場におけるパワーハラスメントの基準を定め、具体的な防止措置を企業に義務付ける「パワハラ防止法」。企業においては、パワハラ被害を防ぐほか、適切な対処ができるよう対策を講じることが義務付けられている。2022年4月の全面施行に備え、従業員が働きやすい環境を整えよう。

参考:厚生労働省『職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)

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