オフィスのインターネット回線の選び方 家庭用との違いや注意点を解説
企業名義で回線を申し込むことによって、さまざまなメリットが受けられるオフィス用(法人用)のインターネット回線。担当者としては「家庭用回線との違いを知りたい」「現在使用している回線を見直したい」と考えることもあるのではないだろうか。
今回は、オフィス用回線と家庭用回線の違いや、オフィス用のインターネット回線を選ぶポイント、比較検討の際の注意点を紹介する。オフィスに快適な通信環境を構築するための参考としてほしい。
目次
●家庭用のインターネット回線との違い
●インターネット回線を選ぶ基準
●注意点など
●まとめ
家庭用のインターネット回線との違い
オフィス用のインターネット回線と家庭用回線との違いは、どのような点にあるのだろうか。まずは、それぞれの回線の違いを見ていこう。
固定IPアドレスを使用できる
家庭用回線との大きな違いは、「固定IPアドレス」が利用できることだ。IPアドレスとは、インターネットに接続する際に通信機器に振り分けられる識別番号のこと。インターネット上では、このIPアドレスを用いて送り手と受け手を明確にすることで、データのやりとりを行うことが可能となる。
家庭用の回線は通常「動的IPアドレス」と呼ばれ、インターネットに接続する度にIPアドレスが変わる仕組みになっている。すると、自社でWebサイトを公開しても、IPアドレスが変更されてアクセスできなくなるという事態が起こってしまう。オフィス用のインターネット回線では、IPアドレスを固定することで自社のホームページやWebサイトなどを運用できるというメリットがある。
VPN接続を利用できる
固定IPを使用できると、「VPN接続」を行えることもオフィス用回線のメリットだ。VPN接続とは、仮想回線を利用することで特定の端末のみがサーバーやネットワークに接続できるようにする、セキュリティサービスのこと。自宅や外出先でもセキュリティを確保しながら社内のネットワークに接続できるため、個人情報などを取り扱う業務やテレワークなどにも大いに活用できると言える。
領収書が発行される
オフィス用回線を契約すると、領収書が発行されることもポイントだ。家庭用回線の場合、領収書ではなく料金明細書が発行されることが一般的だろう。企業の場合、インターネット回線の導入費・利用料を経費として計上する必要があるため、オフィス用回線では税申告に対応した様式の領収書が発行される。
サポート体制が手厚い
オフィス向けの回線はサポート体制が手厚いことも特徴だ。回線のトラブルによってインターネットが使用できなくなると業務に大きな支障が出るため、各サービス会社では「問い合わせ窓口を法人向けと個人向けに分けて電話をつなげやすくしている」「電話対応を365日24時間体制で受け付けている」など体制を充実させている。特にITやECなど、インターネットを利用した業務を主としている企業にとっては安心できるメリットだろう。
インターネット回線を選ぶ基準
次に、自社オフィスにとって最適なインターネット回線を選ぶための基準を紹介する。
通信速度、月額料金
インターネットを利用してスムーズにデータのやり取りをするためには、通信速度が重要な鍵となる。一般的に、ソフトのダウンロードや動画の視聴、大容量のデータのやり取りが快適に行えるのは1Gbps(1秒間に1Gbのデータ量を送受信できる速度)と言われているため、目安にするとよいだろう。
最大通信速度が同じであっても、回線業者やサービス内容によって月額料金が異なることに注意しよう。
同時接続台数
同時に接続する端末の台数に応じて検討することも、インターネット回線を選ぶ際のポイントだ。インターネットは1本の回線を複数人でシェアして使用するので、同時間帯にデータのやり取りが集中すると、通信速度が低下し業務が滞る可能がある。
回線業者によって「制限なし」「有線○台、無線○台」など接続可能な台数が異なるため、「どのような業務内容で」「どれほどの数の通信端末を」「どの程度の時間・時間帯」インターネットに接続するのかを明確にし、それに合わせた回線業者を選ぶ必要がある。また、複数の回線を引くことでリスクを分散するのも1つの方法だろう。
プロバイダ、固定電話をまとめて契約するのか
通信機器をインターネットに接続するためには、本来「回線」とは別に「プロバイダ」を契約する必要がある。同じサービス会社がプロバイダや固定電話と回線をまとめて提供する「一体型サービス」を利用すると、支払先が一本化され料金体系の情報が整理しやすくなるなど、管理の手間と時間を削減できるだろう。通信障害が発生した場合の問い合わせ先も1つなので、トラブルが発生した場合でも迅速に対応が可能だ。
一方で、プロバイダには多くの業者があり月額料金も異なるため、一体化サービスを利用するより安価になるケースもある。コストを抑えたいというのであれば、回線とプロバイダを分けて契約するのもよいだろう。
注意点など
最後に、オフィス用のインターネット回線を比較検討するにあたり、気をつけるべきポイントを紹介する。
提供エリア
回線によっては対応エリアが限定される場合があることに注意しよう。特に独自回線は利用できるエリアが限られ、オフィスの所在地によって利用できない可能性があるため、事前に提供エリアを確認しておく必要がある。
反対に、全国に対応している回線であればエリアに関係なく契約ができ、オフィスの移転などがある場合にも解約せず継続利用できるだろう。
通信機器、プロバイダが対応しているか
担当者としては「使用している通信機器を継続利用して回線業者を変更したい」「個人契約から法人契約に切り替えたい」と考えることもあるだろう。ただし、場合によっては「現在使用している通信機器の規格が、利用を検討している回線に対応していない」「現在契約しているプロバイダは法人契約に対応していない」といったことも考えられる。余計なコストがかからないよう、通信機器やプロバイダが検討している回線に対応しているかを確認しておくことも重要だ。
お得に契約できるキャンペーン・サービス
回線業者やプロバイダによっては「工事費無料」「○ヶ月無料」などのキャンペーンやキャッシュバックを行っているところもある。また、提供しているサービスも異なるため、それらをもとに長期的なランニングコストなどを見据えて検討する必要があるだろう。
例として、各回線業者では「社用スマホをインターネットと同回線にすることで1台につき月額最大1,000円の割引を受られる」「独自のセキュリティサービスやクラウドサービスを利用できる」「社内にフリーWi-Fiを導入できる」などのサービスを提供している。
まとめ
オフィスのインターネット環境を整備し、業務を快適に進めるためには、同時に接続する機器の数やデータ量の把握がポイントとなる。回線業者やプロバイダ業者はさまざまなサービス提供やキャンペーンを行っているため、さまざまな視点から比較検討することが重要だ。今回紹介したポイントを参考にしながら、自社オフィスのネット回線を一度見直してみてはいかがだろうか。