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労務とは?業務内容や必要なスキルを紹介

2021.11.15

人事と同様に企業の重要な経営資源「ヒト」を扱う労務。労務の仕事にはどのような役割があるのか、業務内容や年間スケジュールを知りたいという担当者もいるのではないだろうか。今回は、労務の役割や業務内容や必要なスキルなど、仕事を遂行する上で知っておきたいポイントを解説していく。

目次

●労務とは?主な役割や人事との違い
●労務の主な業務内容
●労務の業務スケジュール
●労務の仕事に必要なスキル
●まとめ

労務とは?主な役割や人事との違い

企業の経営資源である「ヒト」を対象とした業務は「人事」と「労務」の2つに分類できる。ここでは労務の仕事に注目し、その役割や人事との違いについて紹介する。

● 労務の役割
労務の役割は、バックオフィス業務の中核となる業務を担当し、企業活動を円滑に進められるよう従業員をサポートすることだ。具体的には「従業員の給与計算」や「社会保険などに関する手続き業務」などが代表的な労務管理業務である。

● 労務と人事の違い
労務と人事の違いは、業務で取り扱う対象にある。人事は「個々の従業員」を対象とした業務である一方、労務は「従業員全体」を対象にした業務を担当する。

ただし、企業によっては、同じ部署で人事と労務を担当している場合や、人事業務として「労務」の仕事が割り振られている場合もあるだろう。どのような業務を「労務」と呼ぶかは、企業によって異なることを知っておきたい。

労務の主な業務内容

労務の主な業務内容

ここからは、労務の主な業務内容を見ていこう。

■ 勤怠管理
労務の担当業務の一つに従業員の「勤怠管理」がある。具体的には、遅刻や欠勤、早退など従業員の「勤怠」に関する情報管理だ。勤怠管理の内容は、人事評価や給与と関わる点も多いため、正確に管理することが重要である。

2019年4月からは、法改正によって年次有給休暇の取得が義務化されている。従業員が適切に年次有給休暇を取得出来ているか管理することも、労務の担当である。 

■ 給与計算
従業員の給与計算は、毎月行わなければならない労務業務である。勤怠管理表や人事評価を元にして、従業員ごとにその月の賃金を計算するのが一般的だ。給与額は毎月変動するほか、所得税や住民税などの手続きもあわせて必要となる。

給与計算を間違ってしまうと、従業員のモチベーション低下するほか、企業の信頼を失ってしまう可能性もあるため、慎重な対応を心がけたい。給与計算の事務負担を軽くしたい場合は、給与計算ソフトを活用するほか、税理士や社労士などに給与計算の代行を依頼するなどの方法を検討すると良いだろう。

■ 福利厚生
従業員が働きやすい環境づくりのために「福利厚生」は欠かすことのできない仕事だ。福利厚生は法律で義務付けられている「法定福利」と、企業が任意で供与する「法定外福利」の2つに分けられる。それぞれの具体的な内容は次の通り。

<法定福利厚生>
法定福利厚生に関する、労務が行う業務として「従業員の各種保険に関する手続き」がある。次に挙げる保険の加入手続きを行うのが一般的だ。

●健康保険
●厚生年金保険
●介護保険
●労災保険
●雇用保険

万が一保険に未加入の場合、従業員が病気になった場合や年金を受給する際に、不利益を被ることになる。必要な保険加入手続きをリストアップし、手続き漏れのないように対応することが必要だ。

<法定外福利厚生>
従業員の満足度や働きやすさ、モチベーションの向上を目的として、企業で独自に定めるものが「法定外福利厚生」である。法定外福利に関する手続きや提供に関する業務も、労務が携わる仕事だ。

法定外福利厚生の具体例は次の通り。

●住宅手当の支給
●通勤手当の支給
●結婚・出産時の祝い金
●育児支援
●社員食堂やレクリエーション施設の設置 など

企業によって制度や施策はさまざまであり、企業ごとにそれぞれ異なった対応が求められる業務と言えるだろう。

■ 規則・規程の作成や管理
企業内の各種規則や規程を作成・管理することも労務が行う業務の一つだ。企業における代表的な規則である「就業規則」は労働基準法に基づいて作成し、届出を行う必要がある。

従業員が安心して働けるよう、労働時間や給与のほか、休憩時間や休暇についてなど、規則の内容を細かく検討し、それに基づいた運営をしていくことが重要である。

■ 労働安全衛生
従業員の安全と健康を守ることも、労務の大切な役割だ。2015年12月からストレスチェックの実施が義務化されたことに加え、2019年には労働安全衛生法が改正されるなど、快適な職場環境の実現が求められている。

労働安全衛生に関する具体的な業務内容は次の通り。

●健康診断
●ストレスチェック
●インフルエンザ予防接種
●産業医面談
●安全衛生委員会
●労災対応 など

上記のように、安全衛生に関わる業務は多岐にわたるため、専門知識や経験が必要とされることも知っておきたい。

労務の業務スケジュール

ここからは、労務の業務スケジュールを、年間と月間に分けて見ていこう。

● 年間スケジュール
労務業務の主な年間スケジュールは次の通り。

労務は、年間を通じてさまざまな業務が発生するが、1年の中で3~7月が最も多忙な時期になるだろう。あらかじめ段取りを組み、進捗管理を行いながら業務を進めるなど、トラブルやミスのないように対応したい。

● 毎月のスケジュール
労務業務の主な毎月のスケジュールは次の通り。

上記に挙げた定例業務以外にも「傷病手当金の手続き対応」や「産休・育休関係の手続き」など不定期に発生する業務があることを覚えておきたい。毎月の対応時期が決まっている業務に関しては、業務配分を工夫しながら、余裕をもって対応出来ると良いだろう。

労務の仕事に必要なスキル

労務の仕事を遂行する上で必要なスキルを見ていこう。

● 法律を理解し、高い専門性がある
労務の仕事は多岐に渡るため、業務内容によっては法律の理解や専門的な知識が必要となる。例えば、給与計算や保険加入手続きなどでは、多くの法令・制度を遵守する必要がある。勤怠管理においても専門的な管理能力が求められるだろう。

● コミュニケーション能力がある
従業員とのコミュニケーション機会が多い労務の仕事は「コミュニケーション能力」も重要なスキルの一つだ。従業員のモチベーションを維持し、企業の生産性を向上させるためにも、労務担当者は、誠意をもって各従業員に対応することが望ましい。

● 機密情報を守れる
労務担当者は、従業員の個人情報や毎月の給与額等を知れる立場である。機密情報を取り扱う場面が多いため、機密保持の姿勢を守れることが従業員からの信頼につながることを認識しておきたい。

まとめ

バックオフィス業務の中核となる業務を担当する「労務」。労務担当者は、従業員が安心して働けるよう、多岐にわたる業務対応を行う必要がある。業務内容によっては法律の理解や専門的な知識が必要となるほか、正確な手続きを行うスキルも求められるだろう。自社においては、健全な企業経営をしていけるよう、労務の役割や業務内容を見直してみてはいかがだろうか。

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