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原価管理とは?目的や重要性、管理の手順やおすすめの管理方法

2022.08.03
オフィスのミカタ編集部

企業の利益を上げるために欠かすことができない「原価管理」。原価管理の考え方や管理方法を知りたいと考える担当者もいるのではないだろうか。そこで今回は、原価管理の概要や具体的な管理手順、管理を効率化できるシステムについて紹介する。

目次

●原価管理とは
●原価管理の目的と重要性
●原価管理を行うための4つのステップ
●原価管理の効率化には、システムの導入がおすすめ
●まとめ

原価管理とは

原価管理とは、利益を上げるために製品やサービスの原価を管理する手法のこと。製品の原価を算出し比較や分析を行って利益をコントロールするもので、「コストマネジメント」とも呼ばれる。主に製造業で用いられており、製造工程全体を管理する「生産管理」に含まれる業務の1つだ。原価管理は企業経営にとって重要な課題であり、近年では幅広い業種で使われているが、業種により管理すべき原価が異なる点に注意が必要となる。それぞれの業種における原価管理の考え方は以下の通り。

・製造業:製品を製造する際にかかる原価を管理すること
・IT業:システム開発などにおけるプロジェクトの原価を管理すること
・建設業:材料費や外注費などの原価を管理すること

業種により原価の考え方や対象となる費用は異なるため、業種ごとの違いを知り、自社に合わせた管理を行う必要がある。

関連記事挿入:生産管理とは?業務内容や工程管理との違い、おすすめの生産管理システム

「原価」の考え方
原価管理における「原価」とは、製品やサービスに必要なコストのことだ。例えば、以下のような原価がある。

・仕入れ原価
他社から仕入れた製品をそのまま販売する場合の原価。売れる売れないに関わらず、製品を仕入れるために企業が支払った費用だ。主に製品を仕入れて商売を行うスーパーやコンビニなどの小売店で用いられる言葉で、仕入れ価格には、運送費などの経費もプラスされる。

・製造原価
原材料を仕入れ、製品を加工する場合の原価。主に製造業で用いられる言葉で、「材料費」や「労務費」のほか、「外注費」や光熱費などの「経費」も製造原価に含まれる。

材料費と労務費、経費にはそれぞれ「直接費」と「間接費」があることも覚えておこう。直接費とは、製品を作るために直接的に関わっている費用のこと。間接費とは、製品を作るために間接的に関わっている費用を指す。製造原価を集計する場合、製造工程のどこに課題があるのかを把握し課題改善に繋げるためにも、発生した原価を適切に分類することが大切となる。

「原価計算」との違い
原価管理と混同されやすい言葉に、「原価計算」がある。原価計算とは、製品やサービスにかかったコストを算出する作業のことだ。

一方、原価管理は企業の利益を上げるため、原価計算により算出した結果を基に原価をコントロールすることを指す。つまり、原価計算は、原価管理の手段の1つであると言える。原価計算だけでは、原価管理をしているとは言えないことを把握しておこう。

原価管理の目的と重要性

ここからは、企業にとって原価管理が重要である理由や目的を解説しよう。

リスク管理
原価管理を行えば、損失が生じるリスクを減らすことができる。原価は常に一定ではなく、そのときの経済や社会情勢で変動する。例えば、仕入れ価格の高騰が起きた場合、販売価格が変わらなければ、上がった原価分だけ利益は下がるだろう。しかし、原価管理を適切に行うことができれば損益分岐点の把握が可能となり、原価が変動した場合でも迅速に対策を講じることができる。原価管理は、企業の損失を最小限に抑えるために有効だ。

利益管理
企業の利益を確保するためにも、原価管理は重要だ。製品やサービスに対してどのくらいの費用がかかったのかを把握することで、それをもとに製品価格を設定し、利益を確保することができる。製品やサービスの利益を正確に把握し、原価の無駄を省いて適正な原価設定を行うことができれば、企業の利益確保に繋がるだろう。

原価管理を行うための4つのステップ

原価管理を行うには、大きく分けて4つのステップがある。ここからは、ステップごとの内容について具体的に解説する。

【ステップ1】標準原価の設定
まず最初のステップとして、標準原価を設定しよう。「標準原価」とは、製品やサービスの原価の目安のこと。過去のデータや市場調査などからその製品やサービスに近い原価を、製品の開発や製造の前に設定する。

それに対し、実際にかかった原価を「実際原価」と言う。標準原価はあくまで目標値となるため、実際原価との差が開く場合もあるが、可能な限りその差を埋めるように設定することが大切だ。標準原価を設定しておけば、実際原価との差やその要因を分析できるため、必ず事前に設定しておくとよいだろう。

【ステップ2】原価計算
具体的な開発や製造段階に入ったら、「実際原価」を算出するために原価計算を行う。先述した通り、材料費や労務費、経費も原価に含まれる。原価に含まれる費用を漏れなく算出し、正確に実際の原価を計算することがポイントだ。原価計算の方法は、業種や製品・サービスごとに異なるため、自社に適した方法で原価計算を行うようにしよう。

【ステップ3】差異分析
原価計算を行ったら、事前に設定しておいた「標準原価」と「実際原価」との差異を分析する。差異分析を行えば、利益の出る製品やサービスを把握することができる。分析する際は、材料費や労務費などの要素ごと、どれくらいの差が生じているのかを比較することがポイントだ。

【ステップ4】改善行動
差異分析によって開発や製造段階でかかった無駄や課題を把握したら、それを改善するための案を検討しよう。例えば、「他の製品と製造のプロセスを一緒にして生産ラインを効率化する」「材料の仕入れの量を増やして仕入れ単価を下げる」などの対策が可能である。企業の利益確保のためには、あらゆる観点において改善案を検討し、実施することが大切だ。

原価管理の効率化には、システムの導入がおすすめ

原価管理を行うためには、正確に原価を把握することが大切となる。ミスや漏れなく効率的に原価管理を行うためには、「生産管理システム」や「原価管理システム」といったシステムを導入するのがおすすめだ。

これらのシステムには、原価計算や原価差異分析などの「原価管理機能」が備わっており、自動的に原価を計算してくれる。さらに、生産管理システムの場合、納期や在庫など一連の製造プロセスを一元管理することも可能となるため、検討するとよいだろう。

まとめ

原価管理は、企業経営にとって重要な施策だ。原価管理を適切に行えば、企業の利益確保やリスク管理が期待できる。ただし、原価管理の方法は業種ごとに異なるため、自社に合わせた管理を行うことが必要だ。

原価管理を行うには、ここで紹介した4つのステップを参考に実施するとよいだろう。生産管理システムなどを導入すれば、効率的に原価管理できるため検討するのもおすすめだ。原価管理についての理解を深め、自社に適した原価管理体制を構築してほしい。