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採用コンセプトとは?作成の重要性やコンセプト作成手順などを解説!

2022.08.23
オフィスのミカタ編集部

「採用コンセプト」とは、採用活動における指針を意味する。採用に持つ場合、採用コンセプトの作成が解決の一助となり得る。本記事では、採用コンセプトの概要や重要性、作成方法などをまとめて解説するので、参考にしてほしい。

目次

●採用コンセプトとは
●採用コンセプトを立てるメリット
●採用コンセプト作成ステップ
●まとめ

採用コンセプトとは

採用活動で目にすることの多い「採用コンセプト」。そもそも採用コンセプトとはどういうものなのだろうか。ここでは、採用コンセプトの概要や重要性などを解説する。

採用コンセプトとは
コンセプトという言葉には「概念」や「観念」、「全体を通して骨格となる考え方」という意味がある。コンセプトは「はじめから終わりまで一貫する考え方」であり、「こうありたい」という目標とは異なる意味を持つ。採用コンセプトは、こうした言葉の持つ意味を踏まえ、「採用における指針」、「採用活動に一貫性をもたらすメッセージ」と位置づけられている。実際に採用コンセプトを掲げる企業の実例をみてみよう。

<採用コンセプト実例1>株式会社キーエンス 「その『夢中』が、鍵だ」
株式会社キーエンスは、自社が追及するものは「超」付加価値だとしている。価値創造の源泉は一人ひとりが、夢中になることにあるというメッセージを込めたコンセプトとなっている。
参考:『キーエンス | 採用コンセプト動画 その「夢中」が、鍵だ。』

<採用コンセプト実例2>横浜市「始動。」
横浜市は「人から始まる、まちを動かす」という思いを込め「始動。」というコンセプトを作成している。市民の暮らしに寄り添い、共に歩み、果敢に挑戦し未来を創造することを目指すことを表現し、市政を支える人材にアプローチしている。
参考:『横浜市役所|採用コンセプトムービー「始動。」』
参考:『横浜市職員採用コンセプトページ』

<採用コンセプト実例3>NTT西日本「驚かせ、未来。」
西日本電信電話株式会社は、ソーシャルICTのパイオニアとして変革をリードしていくことを表明している。未来を待つだけでなく「未来を創る人」を求めるとし、通信の力で皆を驚かせる未来を創りたいと考える人材にアプローチしている。
参考:『NTT西日本 採用コンセプトムービー「驚かせ、未来。」』
参考:『NTT西日本グループ新卒採用情報』

採用コンセプトが必要とされる背景
近年では、採用活動の準備段階から採用コンセプトを立てて活動に取り組む企業が増えている。これは、少子高齢化などを要因として人材獲得競争が激化していることが背景にある。さらに、今後も人材獲得競争は加速することが見込まれている。こうした人材獲得をめぐる熾烈な競争の中では、他社との差別化や求職者へ自社の魅力を最大限に伝えることが重要だ。また、採用コンセプトに沿った採用活動を展開することが、自社に適した人材の採用に繋がる近道になると言えるだろう。

採用コンセプトを設定する目的
採用コンセプトは主に下記の3つの目的で作成されるのが一般的だ。

1.採用活動に一貫性をもたせること
採用コンセプトは、採用活動に一貫性を持たせることが目的のひとつだ。採用コンセプトを作成することで、自社ホームページや就職サイト、または会社説明会などで求職者へ発信するメッセージに一貫性を持たせることができる。それにより、求職者により信頼性の高いメッセージを届けやすくなり、自社の強い印象を残すこともできるだろう。

2.求職者に自社理念などを簡潔に伝えること
採用コンセプトは、企業理念やビジョン、文化、自社の強みなどを簡潔に伝える目的もある。自社理念などに基づく採用コンセプトがあることで、採用活動にかかわる社員に共通認識ができるほか、求職者にもスムーズに自社の理念を伝えられる。そのため、理念やビジョンなどが簡潔に伝わりやすい採用コンセプトを作成することが大切だ。

3.競合他社と差別化を図ること
競合他社との差別化を図ることも採用コンセプト作成の目的だ。競合する他社とは求職者の価値観や能力など、ターゲットになる人材も同じになってしまうケースもある。自社の求める人材に確実に自社の魅力や他社との違いをアピールするためにも、採用コンセプトの作成が重要と言えるだろう。

採用コンセプトを立てるメリット

ここでは採用コンセプトを立てることのメリットを解説していく。

<メリット1>採用方針の明確化が図れる
採用コンセプトを立てるメリットにはまず、採用方針の明確化が図れることがある。採用コンセプトの作成は、人事担当者や採用担当者の間でコンセプトを検討することから開始する。このことで、採用コンセプトの検討過程の段階から担当者間で共通意識を持つことができ、明確化された採用方針において終始一貫した採用活動が行えるようになるだろう。

<メリット2>自社の求める人材の採用につながる
採用コンセプトは、自社が求める人材像を表現しているものでもある。そのため、コンセプトを設定しておくことで、求める人材からの応募やアプローチが期待できるメリットがある。探求心や好奇心を持って仕事に挑む人材が自社に合っていると考えている場合は、好奇心や探求心をくすぐるキーワードを盛り込みコンセプトを作成すると、自社の求める人材にメッセージが届きやすくなるだろう。

<メリット3>ミスマッチを軽減できる
採用ミスマッチの軽減もメリットの一つだ。例えば、優秀な人材を採用できたとしても、早期離職や、思うような活躍が見込めない、などといったミスマッチも起こり得るだろう。ミスマッチの原因は、条件面だけを見て応募してきた求職者を採用してしまうことにあると言われている。その場合は採用後に会社の価値観に合わないことや、社風や考え方との相違で離職などに繋がるリスクもある。採用コンセプトがあれば、価値観や考え方にフィットする人材の採用に繋げられ、ミスマッチの軽減に役立てられるだろう。

採用コンセプトの作成ステップ

最後に、採用コンセプトの作成を4つのステップで解説する。

<ステップ1>企業理念・ビジョンを明確化する
まずは、自社の企業理念やビジョンの明確化を行っておきたい。会社の将来像や、どのような価値観を大切にするかなどを確認しておくことで、求職者に求める価値観や採用したい人材像の明確化も図れる。そのため、もし価値観やビジョンが言語化されていない場合には、ここでしっかりと言語化をしていくことをおすすめする。このステップを踏むことで、採用活動を通して発信したいメッセージの方向性なども定まり、採用活動を前進させられるだろう。

<ステップ2>自社の求める人材を定義する
続いて、自社の求める人材の定義を明確化する。企業理念やビジョンを実現していくためには、それを達成できる人材を獲得する必要がある。そのため、「どのような人材なら理念やビジョンを実現できるか」、「どういう価値観を持った人が、自社の理念やビジョンに適しているか」などを具体化しておくことが必要だ。定義した人材像を採用チーム内で共有し、そのうえで採用活動を進めていくことで、一貫した採用活動につなげることが可能となる。

<ステップ3>自社ならではの魅力・強みをリスト化する
求める人材像を定義できたら、自社ならではの魅力や強みを掘り下げ、リスト化しておきたい。待遇・条件面だけでなく、事業の独自性・社会貢献度・社員定着率の高さなどもリストに入れておくのがよいだろう。このステップでは、より客観的な視点で自社の魅力を掘り下げられるよう、人事や採用担当者だけでなく、さまざまな部門からアンケートを取るなどし、自社の魅力を見つけることが重要だ。

<ステップ4>コンセプトに落とし込む
最後は、求める人材像と自社の魅力の洗い出しから発見した、共通する要素をコンセプトに落とし込んでいく。例えば、「若いうちから大きな仕事をしたい」という人材を求めていて、そのような裁量を任せられる環境にあるならば、「求める人材像」と「会社の魅力」がマッチしている状態と言える。そのため「若いうちから裁量の大きい仕事ができること」を基にコンセプト作成するのが良いだろう。

しかし、「若いうちから大きな仕事をしたい」という人材を求めていても、実際は裁量を与えられる環境に無い場合には、コンセプトにすることは難しいと言える。コンセプトを決定する際には、「求める人材」と「会社の魅力」が必ず一致している必要がある。この点を注意し、しっかりと検討を重ねることが重要だ。

まとめ

採用コンセプトは、「採用活動における指針」や「採用活動に一貫性をもたせるメッセージ」を発信できるため、策定することで採用活動にさまざまなメリットがあると言える。本記事の解説や実例を参考に、自社の採用コンセプト策定を検討してみてはいかがだろうか。