オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

採用活動を成功に導く採用ペルソナの作り方と注意すべきポイントを解説

2022.09.29
オフィスのミカタ編集部

「自社にマッチする人材からの応募が集まらない」「採用の歩留まりが悪い」と悩む人事担当者は多いだろう。この採用難の時代に、自社が求める人材を確保しようと思うならば戦略的に採用マーケティングを進めていく必要がある。その第一歩となるのが、採用ペルソナの設定だ。この記事では、採用ペルソナの設計の仕方や注意すべきポイントについて詳しく解説していく。

採用ペルソナの概要と設定するメリット

まずは、採用ペルソナとは何か、採用ペルソナを設定するメリットとは何かについて説明しよう。

採用ペルソナは自社が採用したい具体的な人物像
マーケティングの手法として用いられてきたペルソナ(persona)には「架空の人物モデル」といった意味合いがある。これを採用マーケティングに活用したのが採用ペルソナだ。求める人物像を具体化することで担当者間のイメージを統一化できるだけでなく、訴求のポイントが明確になることで、的確な施策を打てるようになる。

ペルソナとターゲットの違いは具体度
ペルソナに似た用語としてターゲットがあるが、両者の違いはその具体性や解像度にある。ターゲットが属性で絞り込んだグループであるのに対し、ペルソナは典型となる一人の人物像として描かれる。ターゲットの場合は年齢や性別、経験などを元に絞り込むが、ペルソナの場合はさらに趣味やライフスタイルなどまで掘り下げてパーソナリティを持たせていく点が大きな違いと言える。

採用ペルソナを設定することで求める人材の採用の実現可能性を高める
採用ペルソナを設定する最大のメリットは、求める人物像が具体化することで、とるべき採用手法や打ち出すべきポイントが明確になる点だ。採用活動が効率的になる上、価値観などまで事前に掘り下げておくことで採用後のミスマッチも防止できるだろう。また、担当者間の認識のズレがなくなることで選考活動もスムーズになる。

採用ペルソナ設定後の活用目的

次に、採用ペルソナを設定した後の活用方法についても見てみよう。

採用プロモーションへの反映
まずは設定した採用ペルソナに認知してもらうための採用プロモーションに活用しよう。どのようなメディアならリーチできるのか、またどんな点を打ち出すことで興味を持ってもらえるかをペルソナをもとに設計すると良い。

採用ブランディングへの活用
さらに、採用ブランディングにも採用ペルソナは効果的だ。採用ブランディングは求職者にとっては会社理解や比較検討のフェーズで大いに役立つ。採用サイトなどで自社をよく知ってもらった上で「この会社で働きたい」と思ってもらうことが重要だ。採用ペルソナでは価値観などについても掘り下げているので、それをもとに自社のアピール方法を考えよう。

採用ペルソナを構成する「属性」「スキル」「パーソナリティ」の3要素

採用ペルソナ設計で重要なのは、具体性と現実性だ。採用成功へとつなげるためには、現実的かつ詳細な採用ペルソナを設計する必要がある。ここでは手始めに採用ペルソナを構成する3つの要素について詳しく見ていこう。

属性(年齢・学歴・年収など)
1つ目の要素は、年齢や性別、学歴、出身地、家族構成、年収などの属性だ。家族構成などは採用ターゲットとして絞り込む際にはあまり重視されないポイントだが、ペルソナにはぜひ盛り込もう。例えば、同じ経営学部卒の33歳男性でも、単身者と2人の子を持つ既婚者とではライフスタイルや価値観、会社に求めるものも変わってくるだろう。そういった点にも踏み込んでいくのが採用ペルソナの特徴と言える。

スキル(経験や資格、能力など)
2つ目の要素は、経験や資格、能力などのスキル面だ。中途であれば、これまでどのような会社でどういった仕事をしてきたのかを細かくイメージしてみよう。一口に営業経験者と言っても、既存顧客のルート営業か新規営業か、商材は有形か無形によって培われる能力には違いがある。自社が求める要件をもとに、ここでも深く掘り下げていくことが重要だ。

パーソナリティ(価値観・性格など)
3つ目の要素は、価値観や性格、ライフスタイルなどのパーソナリティだ。攻めが得意なタイプや守りに強いタイプ、個人の成果を重視するタイプやチームワークを重んじるタイプなど、同じ属性やスキルでも様々な人がいる。採用後にミスマッチが発覚して短期間で退職されることのないように、社内でしっかりすり合わせておこう。

採用ペルソナの作り方

ここからは採用ペルソナの作り方を、順を追って説明しよう。

採用目的や期日、職種スキルを再確認し採用要件を固める
まずは、採用のゴールを明確にし、採用要件を固めよう。欠員補充や既存事業の拡大、新規事業のスタートといった募集の背景や採用目的、期日、募集するポジションなどを現場や経営陣の意見を踏まえてまとめていくことが大切だ。

採用要件から自社に必要な人材を定義する
次に、採用要件から自社が求める人材を細かく定義していこう。「営業経験がある」「コミュニケーション能力がある」のように「○○がある」ではなく、「○○ができる」と具体的なシーンや行動にフォーカスすることが具体化のコツだ。

定義した項目を優先順位で分類する
上記2項目で会社が求めるものを把握したら、次に優先順位で分類をしていこう。分類する際は、「MUST(必須)要件」「WANT(歓迎)要件」「NEGATIVE(不要)要件」の3つに分けるのが効果的だ。自社目線で要件定義を進めると、「ゆくゆくは〇〇も担って欲しい」という先々のニーズまで必須の要件になってしまいがちだ。採用担当者は採用市場も踏まえながら、現実的にどこまでを必須とするかを整理する必要があると言える。

整理した内容を基にペルソナを設計
優先順位づけまでできたら、採用ペルソナの設計に入ろう。ペルソナは必ずしも1つである必要はなく、理想のペルソナと合格水準のペルソナを2種類用意しておくのも良いだろう。

どんな時にやりがいを感じ、どんな時にストレスを感じるのか、中途であれば現職を辞める理由や転職にあたって何を重視しているのかなども盛り込んでおくと採用活動に生かしやすい。

採用ペルソナを設計する上で注意すべきポイント

最後に採用ペルソナを設計する際の注意ポイントを3つ紹介しよう。

ペルソナの設定は細かくしすぎず、複数設計する
一番注意したいポイントは、採用ペルソナは決して採用基準を狭めるものではないということだ。むしろ、企業は選ばれる側として求職者の目線に立つことが重要である。そのためペルソナは無闇に細かくすれば良いものではなく、自社が求める人物像と自社に魅力を感じてもらえる人物像の接点を具体的にあぶり出すことが求められる。必要に応じて複数パターン用意し、イメージを広げておこう。

ペルソナ設計後も常時、見直し・再設計を行う
マーケティングと同様に採用活動においても、ペルソナは設計後もPDCAを回しながら常に見直しを行うことが重要だ。採用できた/できなかった人材をもとにブラッシュアップし続けるようにしよう。

採用ペルソナは人事のみではなく現場にも共有する
採用ペルソナは現場の採用・育成担当者との認識共有の意味合いもあるため、必ず現場にも共有しておこう。同じ職種であっても現場の状況に応じて求める人物像は大きく変わってくる。採用のたびに確認を行い、現場の意見を随時反映していこう。

まとめ

採用ペルソナは、採用活動を効果的かつ円滑に進める上で土台となるものだ。各部署と協力しながら人物像の具体化を進め、採用活動では求職者に「この会社で働きたい」と思ってもらえるようにストーリーを設計していくことが重要になる。この記事を参考に採用ペルソナを設計して、ぜひ自社で活躍する人材を確保してほしい。