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決算賞与とは?「ボーナス」との違いやメリット、支給する際の注意点【2024年版】

2024.07.30
オフィスのミカタ編集部

決算賞与とは、会社で利益が出た場合に、通常のボーナスとは別に従業員に支給する賞与のこと。決算賞与の支給条件やメリットなどを知り、決算賞与を支給すべきか判断したいと考える担当者もいるだろう。本記事では、決算賞与の概要やボーナスとの違い、メリット・デメリットや支給する際の注意点について解説する。

目次

●決算賞与とは?
 決算賞与の支給時期
 決算賞与の支給対象者
 決算賞与の支給額
 「ボーナス」との違い
●決算賞与を支給するメリット
 節税対策になる
 従業員のモチベーションがあがる
●決算賞与を支給するデメリット
 内部留保が減る
 従業員が「毎年もらえるもの」と考えてしまう
 社会保険料の負担が増える
●決算賞与を支給する際の注意点
●まとめ

決算賞与とは?

決算賞与とは、企業が事業年度の業務成績に応じて支給する臨時の賞与のこと。企業によっては「臨時賞与」や「特別賞与」、「年度末賞与」と呼ぶこともある。決算賞与は、企業の業績好調により利益が出た場合に、社員への利益還元を目的として支給されるのが一般的だ。

また、決算賞与は必要経費として「損金算入」(かかった費用を収益から差し引き、支払う税金を適切に抑えること)できる。このように節税できることも、企業が決算賞与を支給する目的の1つ となる。ただし、決算賞与を支給するか否かは、企業の裁量に委ねられている。

決算賞与の支給時期
決算賞与の支給時期は、決算日(事業年度終了日)の翌日から1カ月以内である。なぜなら、決算賞与を損金算入できる期間は、法律で定められているためだ。

例として、3月末が決算日の場合、決算賞与は4月末までに支給しなければならない。決算賞与は企業の決算が確定してから内容が決定するため、決算賞与の支給時期は決算後となる。

参考:国税庁『No.5350 使用人賞与の損金算入時期』

決算賞与の支給対象者
決算賞与の支給対象者は、基本的に決算賞与支給月の前月末日に在籍していた従業員だ。ただし、「正社員にのみ支給する」「正社員だけでなくパートやアルバイトも支給対象にする」など、企業により支給対象者の範囲は異なる。

また、決算賞与は役員に対して支給する場合もあるが、その場合は損金算入できない点に注意が必要だ。

決算賞与の支給額
決算賞与の支給額は、企業の業績や経営方針などによって企業ごとに異なるため、数万円から数十万円と幅がある。ただし、余剰利益分を従業員で分配するため、一般的には通常のボーナスより支給額は少なくなるだろう。

「ボーナス」との違い
ボーナス(賞与)とは、月々の固定給とは別に支給する一時金のこと。決算賞与とボーナスとの違いは、「支給する時期」と「支給額の決め方」だ。

決算賞与は決算後の企業業績に応じて臨時で支給されるが、ボーナスは通常、夏と冬の2回、毎年決まった時期に支給されるケースが多い。また、決算賞与は事業年度の企業業績に応じて金額が決まるのに対し、ボーナスは個人の基本給や業務成績などに応じて決まるのが一般的だ。

※夏の賞与についての解説記事:中小企業は夏の賞与を支給する? 査定期間や注意点を解説~おさえておきたい!バックオフィスの基礎知識Vol.2

決算賞与を支給するメリット

決算賞与を支給することは、企業にとってどのようなメリットがあるのだろう。ここからは、企業が得られるメリットについて紹介する。

節税対策になる
先述した通り、決算賞与を従業員に支給すれば、支給分を会社の経費として損金算入できることがメリットだ。企業は事業により得た所得に対して法人税を納める義務があるが、損金算入を行えば課税所得が減るため、節税対策になる。

従業員のモチベーションが上がる
決算賞与を支給すれば、従業員のモチベーション向上が期待できる。モチベーションが上がれば、結果的に企業の生産性向上にも繋がるだろう。

また、利益を決算賞与として従業員に還元することで、従業員の企業に対する満足度が上がり、離職率が低下するというメリットも期待できる。

決算賞与を支給するデメリット

決算賞与を支給することには、メリットだけでなくデメリットもある。以下のような点がデメリットとして挙げられる。

内部留保が減る
決算賞与を支給すると、企業の利益蓄積分である「内部留保」が減り、使える現金が少なくなる。利益が出ているのに資金繰りが悪化し黒字倒産する恐れがあることも、メリットと併せて理解しておこう。

従業員が「毎年もらえるもの」と考えてしまう
決算賞与を支給することで、従業員が「毎年もらえる賞与である」と捉えてしまう可能性がある。すると思うような利益が出ず決算賞与を支給できない年があると、従業員のモチベーションに悪影響を及ぼしてしまうかもしれない。決算賞与と夏冬の賞与との違いを、全社に周知しておく必要があるだろう。

社会保険料の負担が増える
他の給与や賞与と同様、決算賞与にも社会保険料がかかる。法人税を節約できても、納める社会保険料が増えることになるため、負担金額をきちんと把握することが重要だ。

決算賞与を支給する際の注意点

節税対策として従業員に決算賞与を支給する企業も多いが、決算賞与の損金算入には守るべき要件があり、税務調査で厳密にチェックされるため注意が必要だ。国税庁の資料によると、決算賞与を支給する際の要件は以下の通り。

・決算日までに支給額と支給日を従業員に通知すること
・従業員に通知した支給額を事業年度終了日の翌日から1カ月以内に支払っていること
・支給対象となる事業年度において損金処理すること


決算賞与を支給する際は、決算日までに支給額と支給日を社員に通知しなければならない。通知したことを証拠として残すためには、口頭やメールではなく書面で通知するとよいだろう。通知した金額の決算賞与は、決算日(事業年度終了日)の翌日より1カ月 以内に支払う必要がある。また、支給対象となる事業年度において損金処理を行わないと、経費として計上できなくなる点も把握しておこう。

参考:国税庁『No.5350 使用人賞与の損金算入時期』

まとめ

決算賞与は、通常のボーナスとは違い、企業の業績に応じて決算後に臨時で支給される。支給額は企業により異なるが、一般的には通常のボーナスより少額となるだろう。決算賞与を支給すれば、節税対策や従業員のモチベーション向上などのメリットがある一方で、企業の内部留保が減ることによる資金繰りの悪化といったデメリットがあることも知っておきたい。

節税対策として損金算入するためには、守るべき要件もある。従業員に決算賞与を支給すべきかの判断材料として、ここで紹介した内容を役立てて欲しい。