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有給消化とは?取得の義務化や従業員へ取得を促すためのポイントを解説

2022.10.18
オフィスのミカタ編集部

有給消化とは、労働基準法に基づき有給で取得できる休暇を従業員に付与し、休暇を取得してもらうことを言う。2019年の労働基準法改正では、一定の条件を満たす従業員に年5日の有給を取得させることが義務付けられた。しかし、思うように有給を取得させられず、有給取得に関わるルール作りなどに苦慮する担当者も多いだろう。本記事では、有給の仕組みや、従業員に有給取得を促すためのポイントなどを解説するので、自社の仕組み作りに役立ててほしい。

目次

●有給消化とは?
●年5日の有給消化義務化で取り入れたい仕組みと、取得を促す方法
●有給取得を促進するメリット・促進しないデメリットとは
●有給消化における注意点
●まとめ

有給消化とは?

有給消化とは、従業員が、付与された年次有給休暇(有給)を取得することだ。ここではまず、有給の概要や、有給の消化期限などを解説する。

そもそも「有給」(年次有給休暇)とは?
有給とは「年次有給休暇」の略称で、土日などの会社の休日とは別に従業員に付与する、使用者からの賃金の支払いがある休暇日のことを言う。有給の呼び方は企業によってさまざまで、「年休」「有給休暇」などとも呼ばれているが、給与の支払いがある休暇という意味では同義だ。有給の付与条件は、労働基準法によって以下の条件を満たした従業員に付与される。

1.6ヵ月継続して雇われている従業員
2.全労働日の8割以上を出勤している従業員

会社側は特別な理由を除き、有給取得を拒否できないこととなっており、従業員に有給を与えないと違法となってしまう。有給の付与日数は労基法で定められており、正社員だけではなくパート・アルバイト従業員にも適用される。個々人の有給の付与日数は、週の所定労働日数と所定労働時間、継続勤務年数によって決まる。法定の有給付与日数は下記の通りだ。
(参考:厚労省年次有給休暇取得促進特設サイト『事業主の方へ』

勤務継続年数に応じた法定年次有給休暇付与日数
勤務継続年数に応じた法定年次有給休暇付与日数

 

週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の法定有給休暇付与日数
週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の法定有給休暇付与日数

 また、有給の規程については就業規則への明記が必要となる。
(参考:厚生労働省『モデル就業規則について 』

有給の消化期限
労基法第115条により、有給には「付与から2年間」という消化期限が定められている。消化期限を過ぎると、有給は消滅してしまう。また、就業規則などで法定よりも短い期間を期限と定めている場合には、その期間を超えると無効になってしまうことを、従業員に説明する必要がある。

有給消化の順番
有給は、有効期間が2年であることから、前年度に消化しなかった日数を次年度に繰越できる。取得の際は、付与された日付の古いものから順に消化されていく仕組みだ。ただし、企業が独自に「当年度付与分から消化する」など、消化順を就業規則で定めている場合には、当年度分を消化した後に、繰越分の有給を消化することになる。

年5日の有給消化義務化で取り入れたい仕組みと、取得を促す方法

2019年の労基法改正により、10日以上の有給が付与された従業員に対し、企業側が年5日の有給を確実に取得させることが義務付けられた。ここでは、従業員の有給取得促進に向けて、取り入れておきたい3つのポイントと、従業員に有給取得を促す方法を紹介する。

年5日の有給消化義務化を取り入れる際のポイント

<ポイント1>半日単位での有給(半休)を導入
有給を2つに分割して取得する「半休」を導入することで、有給消化の促進につなげられる。業務上まとまった休みを取ることが難しい場合でも、半休であれば比較的取得しやすくなるだろう。企業によっては、数時間単位で有給を取得できる「時間休」制度を取り入れている場合もある。有給消化のルールに柔軟性を持たせることで、業務の実態に即した有給休暇制度となり、取得率向上が期待できる。

<ポイント2>時季指定の導入
年5日の有給を、従業員ごとに時季を定め付与することも可能だ。これは労基法39条に規定されている措置で、企業側が取得させたい時季を指定することで、確実な有給取得につなげることを目的としている。ただし、有給は原則として従業員が希望する時季に与えなければならず、時季指定を導入する場合には、あらかじめ従業員の意見を聞き、可能な限り希望に沿うような形で行う必要がある。また、時季指定を導入する際には、就業規則への記載も必要だ。

<ポイント3>「計画年休」(計画的付与制度)を活用
「計画年休」とは、有給の付与日数のうち5日を除いた部分に対し、企業側が消化期日を指定する方法だ。時季指定とならび、有給取得義務を確実に行うために効果的な方法とされる。広く用いられる方法は、夏期・冬期休暇や年末年始休暇といった長期休暇に併せ有給を取得させ、有給をまとめて消化させる方法だ。従業員にとっては、皆が一斉に有給を取得するため、気兼ねなく休みを取ることができるというメリットがある。企業側にとっては、年5日の取得を確実に行えることや、管理が容易である点がメリットと言えるだろう。ただし、計画年休を導入する場合は、従業員との間で労使協定を結び、就業規則に明記しなければならない。
(参考:厚生労働省年次有給休暇取得促進特設サイト『事業主の方へ』

従業員に有給消化を促す方法
従業員に有給消化を促す方法は下記の2つがある。

●有給の消化率を可視化する
まずは、有給消化率を可視化しよう。自社の従業員の有給消化率を把握し、取得率を目に見える形で提示すれば、目標達成度などの現状を、従業員とも共有できる。また、可視化された消化率を基に、従業員に有給消化を促す施策にも取り組みやすくなるだろう。なお、有給消化率の計算方法は以下の通りだ。

有給消化率=全従業員の有給消化日数÷全従業員の有給保有日数

有給消化率を高めていければ、自社の従業員の満足度だけでなく、対外的なアピールポイントともなり得るだろう。

●有給を取得しやすい雰囲気作りに取り組む
従業員が有給を取得しやすい職場環境づくりを行うことも重要だ。上司が率先して有給を取得するなど、従業員が安心して有給消化できる雰囲気を作ることが望ましい。また、従業員が有給を取得したいと申し出た際には、快く受け入れられるような業務体制の整備も有給消化促進に向けた取り組みの一つに加えるとよいだろう。

有給取得を促進するメリット・促進しないデメリットとは

ここでは、有給取得を促進することで得られるメリットと、促進しないことで生じるデメリットを紹介する。

メリット
有給取得を促進することで得られる主なメリットは下記に挙げられる。

・有給を取得することで従業員が心身共にリフレッシュでき、生産性の向上が期待できる
・有給を取りやすい企業として求職者にアピールできる
・従業員の離職防止に役立つ

有給取得を推進することで、従業員のモチベーションや生産性の向上が期待できる。さらに、従業員それぞれが有給を取りやすい体制構築に向けて、社内の情報共有が進めばチームで業務を行う体制づくりにもつながるだろう。

デメリット
有給取得を促進しないことで、下記のようなデメリットが生じる場合がある。

・従業員の疲労回復やリフレッシュの機会がなく、生産性が下がる恐れが生じる
・有給が取りにくいことで、社内の風通しが悪くなるリスクがある
・求職者から敬遠されかねない

有給が取得しづらいことで、従業員のエンゲージメントが低下し、離職につながる恐れもある。また、求職者から良い印象を持ってもらえない可能性もあるため、積極的に有給消化を促進することをおすすめする。

有給消化における注意点

最後に、有給消化における注意点を紹介しよう。

有給を消化させないと法的リスクが生じる
有給取得義務のある従業員が、年5日の有給を取得できなかった場合、企業には従業員1人につき30万円以下の罰金が課されることがある。取得できなかった従業員が複数発生すれば、罰金も大きくなり負担は大きい。また、罰則の有無にかかわらず、有給が取得しにくい企業イメージが付いてしまえば、企業イメージが低下しダメージを負う場合もあるだろう。

「有給の買い取り」は消化とは認められない
有給の買い取りは下記の3つの例外を除き認められていない。

・企業が独自に付与した法定日数外の有給
・退職時に残った有給
・2年間の期限が切れて消滅してしまった有給

上記3つの例外を除き、有給の買い取りは違法となるため注意が必要だ。有給の本来の目的は、従業員に休みを与え、働きすぎの防止を図ることだ。そのため、買い取りで休みを無くしてしまうことは、本来の目的に反する行為となる。従業員がきちんと有給消化ができるよう環境を整備することが大切だ。

従業員の退職時の有給消化
退職予定者であっても、年5日の有給取得義務が適用されることを覚えておきたい。例えば、退職予定者が有給を付与されてから6ヵ月以内に退職するケースであっても、その6ヵ月の間に5日間取得させなければならない。ただし、退職者が基準日から5日以内に退職するなど、企業側の義務の履行が難しい場合には法違反に問われない。従業員が退職を申し出た際には、有給取得義務を満たしているかを忘れず確認しておこう。

まとめ

有給は労基法で定められた従業員の権利の一つであり、企業側は従業員に有給取得を促すことが求められている。従業員が有給を正しく利用することは企業側にもさまざまなメリットがあることを踏まえ、従業員に確実に有給を取得してもらうよう仕組みを構築することが重要だ。計画的に有給取得を促進できるよう、理解を深めてほしい。