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優秀な社員の離職防止をサポートする、支援内容別の離職防止ツールを紹介

2022.12.03
オフィスのミカタ編集部

優秀な社員の離職は企業にとって大きな損失となり、企業成長を鈍化させる原因にもなりうる。そんな事態を避けるために取り入れたいのが離職防止ツール。自社の問題を分析・改善するツールや組織の風通しをよくするためのサービスなど多彩な支援内容で提供されている。今回はそんな離職防止ツールの種類やおすすめのツールを紹介する。

2021年の離職者数と主な離職理由

まずは、日本国内における離職者数とその主な理由について、厚生労働省が調査した結果を見てみよう。

2021年の常用労働者の移動状況は以下の通りだ。

(参照:厚生労働省「常用労働者の移動状況」)

ここには雇用期間の定めがある人やパートタイム労働者も数に入っているため、一概には言えないが入職者と離職者の数はそれほど変わらないことが分かる。

では次に、離職理由について見ていく。転職者が前職を辞めた理由のうち、「その他の個人的理由」「その他の理由」を除くと、男性では「職場の人間関係への不満」が8.1%ともっとも多く、「労働時間、休日等の労働条件への不満」が8.0%と2番目だった。女性では「労働時間、休日等の労働条件への不満」が10.1%とトップ、次いで「職場の人間関係への不満」が9.6%となっている。(参照:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」)

上記のデータから、離職した人の2割ほどが人間関係や労働環境に不満を持っていることがわかる。しかし、大まかな退職理由が分かっても、改善するためにどうアクションを起こせばいいのか、そもそも自社でどこを改善すればいいのか対応に窮している企業は多い。

多くの企業で問題となる課題を解決するためにリリースされた離職防止ツールについて、次項では種類別に特徴を紹介するのでぜひ参考にしてほしい。

離職防止ツールの種類

離職防止には多角的な対策が必要なことから、さまざまな機能を有するツールが多い。ツールごとに特に強みを持つ分野があるため、ここではどういった種類があるのかを紹介していこう。

心身のコンディションケアに重点をおいたツール
身体的な疲労や、人間関係などによるストレスなど、心身のコンディションの悪化により離職するケースは非常に多い。それのため心身のコンディションケアに重点を置いたツールは数多くリリースされている。社員の不調をいち早く察知し、フォローできるようサポートしてくれる。

モチベーション向上を図るためのツール
仕事へのやる気を持ち続けていると、組織に対する愛着心が湧き、離職率が低下する傾向にある。そのため、社員のモチベーションの維持・向上を促すことは離職防止に有効な手段となる。

社内コミュニケーションを円滑にするためのツール
人間関係が悪化するのは、社内コミュニケーションがうまくいっていない証拠。感謝を伝えたり褒め合ったりする文化が生まれればエンゲージメントの向上につながり、円滑なコミュニケーションが生まれる。そのための支援をしてくれるツールも魅力的だ。リモートワークを利用する社員が多い組織に有効な手段といえる。

ピアボーナスを活用したボーナス付与制度ツール
ピアボーナスとは、同僚(ピア)の間で少額のボーナスを贈りあう制度。社員それぞれに一定額のボーナス付与権が与えられ、自分の判断で贈る相手を決めることができる。従来の上から下への評価ではなく、横への評価を取り入れることで公平感が増し、エンゲージメント向上へとつながりやすくなる。

採用時から離職防止のサポートをするツール
離職防止は、離職を考え始めた社員を止めるためではなく、離職という言葉が頭をちらつかないよう、環境や待遇を事前に改善していくために活用するのがもっとも効果的。そのためには採用時からサポートをするのが最善策となる。そのためのツールも数多く登場している。

心身のコンディションケアができるツール

心身の不調を把握し、ケアするために役立つツールを紹介する。

カオナビ
大手企業や地方自治体など、約2500社の企業に利用されている「カオナビ」は、戦略的人事に役立つタレントマネジメントシステムを提供している。従業員のモチベーション・離職分析を行い、人事と現場で連携フォローする機能があるほか、ES調査やエンゲージメント向上で具体的な人事課題の解決に導くことができる。
https://www.kaonavi.jp/

モチベーションクラウド
サーベイ調査や国内最大級のデータベースによる他社比較などの「診断」と、コンサルの伴走支援、パルスサーベイによる改善進捗を測定するなどの「変革」の2つのサイクルで組織課題を解決する「モチベーションクラウド」。サーベイ調査は「期待度」「満足度」の2軸展開で、社員のコンディションケアに役立てることができる。
https://www.motivation-cloud.com/

Wevox
組織の状態を多角的に可視化し、「きづき」を促す手伝いをしている「Wevox」。エンゲージメントサーベイによりデータを解析、改善することで離職率の改善や生産性向上などを図ることができる。組織改善のためのオンライン学習講座や個別の活動支援なども提供している。
https://get.wevox.io/

Geppo
個人サーベイと組織サーベイを組み合わせ、本質的な働き方改善のPDCAを支える「Geppo」。リクルート社で活用されている組織診断を多くの企業で使えるようにした組織サーベイに定評がある。個人サーベイは仕事満足度・人間関係・健康に関する3つの選び抜かれた質問により、従業員の声を吸い上げ課題解決へと導いてくれる。
https://www.geppo.jp/

HR OnBoard NEXT
毎月のアンケートにより従業員のコンディションを可視化し、リテンションマネジメントを支援している「HR OnBoard NEXT」は人材採用・入社後活躍サービスを提供するエンジャパンのWebツール。直感的でわかりやすい診断結果表示と各人に合わせた適切な対策をアドバイスしてくれることで、離職防止策における心強いパートナーとなってくれるだろう。
https://onboard-next.com/

いっと
在職者だけでなく、退職予定の従業員からも本音を引き出し、企業課題を発見する「いっと」。定量分析による現状把握と定性分析による原因把握の相互補完で、従業員の離職理由を可視化することができる。それにより離職防止策を講じやすく、離職の未然防止から離職率改善まで推進可能だ。
https://exit-interview.biz/

ラフールサーベイ
組織と従業員の課題を可視化し、行動変容を促す組織改善サーベイの「ラーフルサーベイ」。5400万のデータベースから今まで気付かなかった組織の強みや課題を発見することができ、人事施策の決定にも役立つ。もちろん課題を発見した後のフォローも万全。課題発見後もカスタマーサクセスが徹底的にサポートし、解決に向けて伴走してくれる。
https://survey.lafool.jp/

PULSE AI
AI(機械学習モデル)を活用することで、退職リスクを4段階で判定する「PULSE AI(パルスアイ)」。エンゲージメント向上のための課題の特定も視覚的にできるため、すぐに解決に向けて動き出すことができる。また、部署ごとの比較も可能なため、組織課題の解決にも役立つのが特徴だ。
https://pulse-ai.jp/

モチベーション向上を支援するツール

仕事に対するモチベーションの維持だけでなく、向上を支援するツールを紹介する。

EX Intelligence
1000社以上のサポート実績を誇る「EX Intelligence」は、入社から定着までのプロセスに潜む課題を定量的に把握することができるツール。組織と従業員の課題把握と改善につながる組織診断サーベイを提供している。本ツールは従業員を「資源」ではなく「資本」と捉え、個々の価値を持続的に向上させるための人事施策を行えるようサポートしてくれる。
https://www.hrbrain.jp/employee-experience

Visual
「Visual」は従業員1人ひとりのエンゲージメントを可視化し、離職防止・定着率向上に寄与するサービス。突然の離職を事前に察知し、離職を防止するための改善アクションを計150パターン用意。人事施策の実行までをワンストップで行えるため、従業員のモチベーションを下げることなく離職防止策を打つことができる。
https://visual.inc/

タレントパレット
人材データを一元化して分析し、組織力を最大化させるタレントマネジメントシステムの「タレントパレット」。人材の育成・最適配置により従業員のモチベーションを向上させ、離職防止に役立てることができる。また、分析を従業員の個々のダッシュボードに登録できるため、情報の素早い取得にも寄与する。
https://www.talent-palette.com/

Willysm
社員の気持ちを可視化し、モチベーションをマネジメントする「Willysm(ウィリズム)」。チーム内のメンバーのモチベーションを色で表現し、視覚的に現状を把握できるため、素早い対応が可能だ。
https://www.willysm.com/

社内コミュニケーションを円滑するためのツール

人間関係に不満を感じて離職する人が多いことから、円滑な社内コミュニケーションは離職防止に欠かせない。コミュニケーションツールとして活用できるサービスを紹介する。

Talknote
コミュニケーションを円滑にするだけでなく、会話内での仲間への賞賛や業務のノウハウなどを資産としてチームで共有できることに強みを持つ「Talknote」。さらにチームのコンディションを可視化し、状況改善に役立てることができる。
https://talknote.com/

We.
Slackと連携してチャットデータを分析し、チームのつながりをグラフィカルに可視化する「We.」。週・月ごとや組織・個人単位でコミュニケーション量などを定点観測することで、コミュニケーションの変化を確認し改善点を見つけることができる。
https://we.laboratik.com/

HR Ring
パルスサーベイやアンケート機能などの離職防止ツールに加え、ダイレクトメッセージとグループトークの両方ができるトーク機能も備えた「HR Ring」。メッセージとポイント付与機能もあり、活発なコミュニケーションを促すことが可能だ。
https://www.kakehashi-skysol.co.jp/hr-ring_lp/

社員同士で報酬を送り合うピアボーナス制度ツール

社員同士で褒め合ったりポイントを送ったりするピアボーナス制度は、報酬を送り合うことでお互いを認め合うことになるため組織の活性化につながる。ここではピアボーナス制度を提供しているツールを紹介しよう。

RECOG
誰でも気軽に効果的に「ホメる」ことができるようになるチームワークアプリ。面と向かって褒めにくいときも、アプリで簡単にレターとして伝えることができる。レターは社内メンバーにもシェアされるため、今まで見えにくかった活躍にもスポットライトを当てることができるのが利点だ。
https://www.recog.works/ja/

Unipos
ピアボーナスを通じて、称賛文化を社内に定着させ、会社の心理的安全性を高めて離職を防止するのが「Unipos」。「貢献の見える化」により、エンゲージメントが向上し、理想的な組織作りを進めることができる。
https://unipos.me/ja/

インセンティブ・ポイント
同僚やお世話になった人へ、メッセージとともにポイントを贈り合うサンクスポイント機能を有する「インセンティブ・ポイント」。ポイントは約2万もの豊富なアイテムとの交換が可能で、ポイントを「貯める」「使う」「確認」を簡単にできるのも魅力だ。
https://bs.benefit-one.co.jp/incentivepoint/

インセンティブ・プラス
SNSに近い使いやすい使用感で社員同士が交流できる「インセンティブ・プラス」は、メッセージにポイントを添えたり、日頃の頑張りに対する報奨としてポイントを付与できたりするツール。溜まったポイントは商品と交換可能で、社員のモチベーションアップに大きく寄与する。
https://www.ewel.co.jp/info_incentive-plus/

thanks!
接客・接遇サービスを提供する企業を対象に人材開発支援サービスを提供する「thanks!」。チーム内でオープンにピアボーナスを贈り合うことができ、チーム環境に好循環を生み出すのが特徴だ。さらにダイレクトに届く顧客の声をデータベース化し、接客改善支援に生かすことができる。
https://39s.work/

THANKS GIFT
「感謝・褒める」などの非金銭的報酬と、貢献度の高い従業員に対する金銭的報酬を組み合わせて従業員エンゲージメントを最大化するツール。社内通貨制度や景品交換、MVP表彰など、社員のエンゲージメントを高めるほか、組織サーベイによる組織の課題解決にも活用可能だ。
https://thanks-gift.net/

シナジーHR
サンクスカードやアンケート、1on1ミーティングなどコミュニケーションを活性化させるための機能が詰まった「シナジーHR」。サンクスカードの運用ができるため、社員同士がお互いに褒め合う文化が育ち、風通しの良い組織作りを推進できる。
https://synergyhr.jp/

離職防止ツールを選ぶ際のポイント

ここまでで、離職防止ツールにはさまざまな特徴のサービスが提供されていることがわかっただろう。ここでは、豊富なサービスの中から自社にとって有用なツールを選ぶためのポイントをお伝えする。

離職防止のフォロー範囲や研修サービスの有無
離職防止ツールは、離職の兆候をキャッチしたり、離職の原因を特定したりするだけでは意味がない。実際の離職を止められてこそ利用価値があるといえる。そのためには、フォローを代行してくれたりフォロースキルの研修サービスを提供していたり、実際の防止策を講じるためのフォロー体制の有無もチェックしたい。

社員によるユーザビリティは重要
どんなに優れたツールでも、使い勝手が悪ければ活用されずに埋もれてしまうため、ユーザビリティは非常に重要なポイントだ。多くの人が使うSNSのように、パッと見て使えるくらいのシンプルなものが導入のハードルを下げてくれるだろう。

初期費用とランニングコスト
初期費用とランニングコストの両方の観点からコストは見ておきたい。クラウドサービスの場合、初期費用がかからないことが多いので、導入へのハードルが下がるだろう。また、離職防止ツールは継続して利用する必要があるため、経営を圧迫しない料金設定から選ぶことを心がけてほしい。

まとめ

社内教育をして、スキルアップのサポートをした優秀な人材が流出してしまうのは企業にとって大きな損失となる。職場への不満やストレスを抱えている従業員をいち早く見つけ、適切なフォローを行うことで離職を防げる可能性は大きい。

離職防止ツールはそれぞれに強みとする課題や対応が異なるため、自社にとって最適なサービスを提供するツールを選び、企業成長の糧としてほしい。