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【2024年版】オンボーディングとは? 新入社員の離職防止や早期戦力化に効果的に活用するためのプロセスや効果を解説

2024.01.15
オフィスのミカタ編集部

若年層の社員の早期離職を防止するために活用されるオンボーディングは、新しく入社した社員のエンゲージメント向上を図り、結果的に離職を防止する取り組みだ。“アフターコロナ”で出社を推奨する企業も増加する中、オンボーディングのメリット、取り組む際のプロセス、さらには効果的なオンボーディングをサポートするツールまで網羅的に解説する。

2つの領域で活用されるオンボーディング

オンボーディングは先述した早期離職を防止するための取り組み以外にも活用されている。ここでは2つの領域別にオンボーディングの概要を解説する。

カスタマーサクセス領域におけるオンボーディング
自社サイトのサービスの利用を開始した新規ユーザーに対し、サービス内容を早期に理解して活用できるように導くプロセスもオンボーディングという。無料トライアル中の新規ユーザーも対象で、サービスの利用初期から成功体験を得ることで、継続的にサービスを利用してもらうことが目的となる。

人事領域におけるオンボーディング
新入社員の離職防止や早期の戦力化に活用するのが人事領域におけるオンボーディング。組織に新たに参画したメンバーに対して、教育・研修を実施するほか、部署やメンバーとの関係を構築するためにサポートする取り組みを指す。オンボーディングは横のつながりの関係強化にもつながることから組織の心理的安全性が高まり、離職防止効果がある。

本記事では2つのオンボーディングのうち、人事領域におけるオンボーディングについて紹介していく。

オンボーディングを導入する企業が増加している背景とその実施目的

近年、オンボーディングを導入する企業が増加しているが、それには多くの企業が抱える新入社員の早期離職という問題が関係している。その背景と実施する目的についてみていこう。

新入社員の離職率は3割超という現状への危機感
2023年10月に厚生労働省により公表された、「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」によれば、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.0%(前年度と比較して1.1ポイント上昇)、新規大学卒就職者が32.3%(同0.8ポイント上昇)とどちらも増加している(参照:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」)。企業としては、労働人口が減少し続ける中、離職率を下げる努力が求められる。

新入社員の職場への定着率向上を図るための施策として期待
新入社員へのオンボーディングに取り組むことで早期の離職を防止し、定着率を向上させることを多くの会社は期待している。ただ、オンボーディングは離職防止だけが目的ではない。次の章ではそれ以外にも期待できるメリットについて解説する。

オンボーディングを実施するメリット

オンボーディングを実施することで得られるメリットについて解説する。

離職防止による人材採用にかかるコストの削減
人材採用には求人掲載、書類選考、面接、研修など、多大なコストと時間がかかる。それゆえ、入社した社員には長く働いてもらった方がコストの削減ができるというわけだ。オンボーディングを実施することで社員の定着化が進めば、人材採用にかかるコストが削減できる。

新入社員の早期の戦力化
オンボーディングには入社後のスムーズな業務遂行を図るためのサポートも含まれる。既存メンバーとの関係性の構築や会社の理念、各部署の役割、社内制度など社内の情報を提供し、いち早く組織に慣れてもらうことで、スムーズに業務にあたることが可能となる。

社員のエンゲージメント向上に効果的
オンボーディングは入社前から実施するため、入社前の不安解消にも役立つ。さらに、一人ひとりの社員をしっかりとサポートをすることで、会社に期待されている、大事にされているというポジティブな感情を持つことができ、エンゲージメントの向上に効果を発揮する。

以下の記事では中途人材として入社した人を対象に実施したオンボーディングに関するアンケート結果が紹介されている。ぜひ参考に一読してほしい。
年収600万円以上の中途人材、3人に1人が「オンボーディングが不十分だった」と回答

オンボーディングを行う際のプロセス

オンボーディングは新入社員の置かれた状況によって取り組むべき内容が変わる。時系列に解説する。

入社前に取り組むオンボーディング
入社前に取り組むべきオンボーディングは、主に、内定ブルーを解消するために内定者の不安を払拭することにある。具体例は以下の通りだ。

・先輩社員との座談会
・同期社員との懇親会
・職場見学
・定期面談

基本的に入社前に行うべきオンボーディングはコミュニケーションの強化。先輩社員や同期社員との交流は、組織の心理的安全性を高めるために役立つだろう。職場見学や定期面談は、入社後のイメージがしやすくなるため積極的に行いたい。

入社直後に行うオンボーディング
入社直後はもっとも不安が大きい時期。職場や仕事に慣れるための研修制度やミーティングなど、手厚いフォローが早期離職を防止するために役立つ。具体的なアクションとしては以下のようなものがある。

・自社理念や社内規則の説明
・業界に関する知識や業界・社内用語に関する説明
・懇親会
・新人研修

新卒の社員だけでなく中途採用の新入社員に対してもこの時期のフォローは重要だ。中途採用者は経験を買われての入社ということもあり、フォローが手薄になる会社が多い。しかし、中途採用者も職場環境に慣れるまでは不安を感じているということを念頭に置いてサポートする必要がある。

入社数カ月後のオンボーディング
職場の環境に慣れてくる入社数カ月後は、配属先への不満、自身が描いているキャリアとのギャップなどによる早期退職リスクが最も高まる時期だ。従って、オンボーディングによるサポートが欠かせない。この時期に行うべきサポート例は以下のような項目だ。

・キャリア面談
・人事面談
・フォローアップ研修
・懇親会

新入社員とのコニュニケーション不足による退職リスクをできる限り減らすために、面談や懇親会など、気軽に相談できる場所をできる限り提供するようにしてほしい。

オンボーディングは社員一人一人で取り組み方が変わるため、自社できめ細やかなサポートをすべて行うのは難しい。そこで、活用したいのがオンボーディングを支援するツールだ。

効果的なオンボーディングを支援するおすすめツール

自社だけではサポートしきれない新入社員のフォローに、オンボーディングツールを活用する企業が増えている。ここでは多くの企業から支持されているおすすめのツールを紹介する。

MotifyHR
「MotifyHR (モティファイ エイチアール)」では、入社後90日間をオンボーディングに重要な期間とし、研修や教育コンテンツを適切なタイミングで配信するオンボーディングコースを用意。オンボーディング実施後のエンゲージメント率などを測定し、効果・改善の有無を検証、次の施策につなげていくことができる。
https://motifyhr.jp/

HR Onboard
人材総合サービスを提要するエン・ジャパンが提供する「HR Onboard(HR オンボード)」は、入社1年以内の社員の離職兆候を可視化し、具体的な対策をアドバイスしてくれるツール。入社後1年間、毎月3問ずつ質問することによりコンディションを可視化し、「SOS」をいち早くキャッチ。離職防止のための打つべき一手を支援する。
https://corp.en-japan.com/services/hr-onboard.html

Co:TEAM
1on1で納得感のある評価につなげることをサポートする「Co:TEAM(コチーム)」。1on1支援をはじめ、人事評価やフィードバック面談、目標管理などの一元管理など、網羅的に新入社員をサポートし、管理者の負担も軽減する「パフォーマンス・マネジメント」ツールを提供している。
https://coteam.jp/

Wistant
属人化やブラックボックス化に課題があったマネジメントを可視化し、改善点を共有できる仕組みを構築している「Wistant」。1on1や目的に合わせたフィードバック・評価を作成でき、手厚いマネジメントサポートをしてくれるのが強みだ。優れた人事制度を宝の持ち腐れにしないよう、現場のパフォーマンス向上に寄与してくれる。
https://www.wistant.com/

まとめ

オンボーディングは早期離職を防止するためだけでなく、早期の戦力化や社員同士の結束力を高めるためにも非常に有効だ。ぜひ本記事で紹介したツールを活用しながら、自社にとって最適なオンボーディングを見つけて新入社員の成長を促してほしい。