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給与改定とは?改定するケースやタイミング、注意点について詳しく解説

2022.11.21
オフィスのミカタ編集部

給与改定は、仕事の評価に応じた給与の見直しや、諸手当の整備時などに行う賃金改定のこと。給与制度は法改正や会社の方針の変化などにより常に見直しをする必要があるが、改定を行うタイミングや注意すべき点について知りたい担当者もいるのではないだろうか。本記事では、給与改定の定義と改定を行うケースやタイミング、改定する際の注意点について解説する。

目次

●給与改定とは
●給与改定を行うケースやタイミング
●給与改定を行う際の注意点
●まとめ

給与改定とは

給与改定とは、労働者を対象とした、「定期昇給」や「ベースアップ」「諸手当」等の賃金を改定すること。賃金アップだけでなく、「ベースダウン」や「賃金カット」といった賃金ダウンも含まれる。賃金改定の具体的な内容は、以下の通りだ。

定期昇給:企業の昇給制度に従い、毎年決まった時期に行う昇給
諸手当:家族手当、扶養手当、通勤手当、住宅手当、役付き手当、技能手当など各種手当
ベースアップ:賃金表を改定し、賃金水準を引き上げる
ベースダウン:賃金表を改定し、賃金水準を引き下げる
賃金カット:賃金表を変えず、一定期間一時的に賃金を減額する

給与は、一度決めたものを使い続けるというものではない。給与制度は、企業を取り巻く環境や方針の変化に伴い、常に見直しを検討する必要がある。

給与改定を行うケースやタイミング

企業はどのような場合に給与改定を検討するのか、給与改定を行うケースを見ていこう。

給与改定を行うケースとは
企業が給与改定を検討する理由としては、以下のようなケースがある。

・会社への貢献度をきちんと給与に反映させたい
・諸手当を整備したい
・残業代の支払い対象外とされる管理職の処遇について見直したい
など

従業員の給与を上げたいなど仕事の成果や評価に応じた給与制度にするケースや、基本給を補完する意味合いのある諸手当について、対象者や支払い基準、要件を整備し、給与に反映させるケースなどがある。

また、企業の経営状況の悪化により従業員の賃金カットを検討する場合も、給与改定を行うケースに該当するだろう。

給与改定を行うタイミングとは
給与改定を検討する主なタイミングは、以下の通りだ。

・法改正があったとき
・組織変更をしたとき
・代表者が変わったとき
・企業側にお金や時間の余裕があるとき
・創業年など、数字のキリがよいとき

労働基準法や育児介護休業法、男女雇用機会均等法など給与に関わる法改正が行われた際、給与制度をその法律に対応させるために改定する必要がある。また、組織や代表者の変更、主力事業の整理や再構築、社名を変更した際も、給与改定を見直すチャンスとなるだろう。

給与制度を見直す際には、見直し時の金銭を補填したり、社内の合意に時間がかかったりするケースがある。そのため、企業にお金や時間の余裕があるときも、給与を見直すタイミングだ。さらに、世代交代など会社の代表者が変わる時期も、従業員が新たな気持で仕事をスタートできるタイミングであるため、適切な時期と言えるだろう。

給与改定を行う際の注意点

ここからは、給与改定を行う場合、注意すべきことについて解説する。

従業員にきちんと説明やヒアリングを行う
企業は、従業員の採用時に労働内容や賃金について雇用契約を結んでいる。そのため、一方的に賃金を変更することができない。雇用契約書や就業規則に記載されている条件を変えなければならないため、給与改定時は、きちんと説明やヒアリングを行う必要がある。改定の意図や必要性などをしっかり提示し、従業員の理解を得るようにしよう。

また、従業員に対し給与改定を正式に伝える場合は、「給与改定通知書」を用い、事実関係を書面で残すこともポイントだ。

給与を下げる場合、従業員から同意書をもらう
給与改定は、賃金アップだけでなく、賃金ダウンのケースもある。給料を下げる場合はトラブルになる可能性もあるため、給与改定通知書を発行するほか、個別に同意書をもらうと安心だ。

検討時の打ち合わせ内容を議事録に残す
給与改定に対する打ち合わせは、繰り返し行われる。見直しの経緯や決定事項を正確に残しておくためにも、議事録を記載し内容を残しておこう

就業規則・雇用契約書などの更新を速やかに行う
給与制度を見直したら、就業規則や賃金規程を速やかに更新し、所轄の労働基準監督署に提出しよう。また、雇用契約書を更新することも忘れてはならない。

告知期間や移行期間を設ける
給与改定は、告知期間や変更までの移行期間を設けることも必要だ。例えば給与が減額する場合、急に所得が減ることで、従業員の生活に影響が生じる恐れがある。

給与改定をいきなり実行に移すのではなく、従業員が生活設計を見直すための期間を設けたり、制度変更後に一定期間減額を補填するための調整給を支給したりするなど、救済措置を検討することも大切だ。

まとめ

給与改定には、賃金アップだけでなく賃金ダウンも含まれるため、改定は慎重に行う必要がある。法改正時や代表者の変更時など、見直しやすいタイミングで、給与制度の整備を進めよう。

給与改定の際には、従業員に改定の意図や経緯などをきちんと説明したり、検討時の打ち合わせ内容を議事録で残したりすることが大切だ。そのほか、給与を減額する場合には、給与改定通知書を発行するほか、同意書をもらうこともポイントとなる。改定時にトラブルとならないためにも、ここで紹介した給与改定の注意点などを参考に、給与制度の見直しを図ってもらいたい。