オフィスでも工場でも 防音個室テレキューブ設置でWeb会議や業務効率向上
職場のDXや働き方改革を推進する上で、業務効率化や職場環境向上が急務と感じている人も多いのではないだろうか。今、そうした課題を抱える企業に続々と導入されているのが、防音個室ブース「テレキューブ」だ。2023年2月末時点で、累計設置台数は1万6000台を超えているという。Web会議スペースとしてはもちろん、アイデア次第で用途が広がるテレキューブの活用法や導入企業の事例などを、株式会社ブイキューブ 事業企画本部 サードプレイスDXチーム チームリーダーの野中聡氏に聞いた。
「サードプレイス」の構築を支援
──御社の事業内容についてお聞かせください。
私たちは「エンタープライズDX」「イベントDX」「サードプレイスDX」の3つの領域で事業展開を行っています。自宅でも職場でもない“第3の場所”の構築を支援するサードプレイス領域では、さまざまな場所に設置できる防音個室ブース「テレキューブ」を展開しています。
──テレキューブは2017年に開発されたとお聞きしましたが、なぜ企画・開発したのでしょうか。コロナ禍で働き方が大きく変わったと言われる中、「先見の明」があったようにお見受けします。
当社がWeb会議ツールなどのテレワークを推進する商材を扱っていたこともあり、テレワークの普及に伴って生まれてくる新しい市場を見据えてテレキューブを開発しました。周囲の音を気にすることなく、Web会議に集中できる静かなスペースを作るのが狙いでした。当初は社内でも本当に需要があるのか確証が持てない状態でしたが、コロナ禍は思わぬ追い風になりましたね。コロナ禍で職場や自宅など、そのときどきで働く場所を変えるハイブリッドな働き方が世の中のスタンダードになりつつあり、サードプレイス領域でも、その他の領域においても、私たちが生活者を支援できるチャンスはまだまだあると考えています。
Web会議以外にウェビナー配信、集中タイム用にも
──テレキューブ設置事業者は、どのようにテレキューブを活用しているのでしょう。
業界を問わず、Web会議スペースとして活用されている企業が大半です。「オフィスの執務スペースでWeb会議をすると、周囲の雑音が入ってくる」「周囲の人がWeb会議をしていると、話し声が気になって作業に集中できない」といった課題から、職場環境の改善を目的に導入をご検討いただくケースが多いですね。ただ、最近はWeb会議以外の用途も増えてきました。
例えば、テレキューブにウェビナー配信用の機材をセットしておき、簡易スタジオとして活用している保険会社もあります。高い遮音性のあるテレキューブなら、周囲の音を気にせずウェビナー配信に集中できますし、機材を置くスペースも確保できるからです。また、誰にも話しかけられることなく作業に集中するための「集中ブース」として、あるいはちょっとしたミーティングをするための会議室がわりに使っていただいているケースも増えてきています。サイズもソロ(1人)用、グループ(2人用、4人用)があるため「10 分だけ大事な話がしたい」といったときにも使い勝手がいいようで、あえて会議室を作らずに、代わりにテレキューブを設置するという企業もあるくらいです。
リーズナブルかつ選択肢多様 オフィス環境も大幅改善
──競合製品と比較したときのテレキューブの特徴、差別化ポイントを教えてください。
他社はコロナ禍に入ってからの販売がほとんどですが、テレキューブは5年以上前にリリースした国内のパイオニアであり、防音個室ブース設置台数シェアNo.1を(※1)獲得している点です。2022年末時点で累計設置台数1万6000台を突破したことも、お客様から信頼をいただいている証と感じています。製品開発にあたっては日本初のワークブースでしたので、各法律関係の課題が数多くありました。代表的なものが消防法で関係省庁に足を運んだり、その他役所に足を運んだりして、諸々の法的要件をクリアした上で世の中に送り出しています。こうした点も圧倒的な信頼感につながっていると自負しています。
──料金体系がフレキシブルな点も強みだそうですね。
購入のほかに月額制で使えるサブスクリプションプランもご用意しているので、ご予算などお客様のご都合に合わせてお選びいただけます。さらに最近、契約企業の従業員の方が全国に300台以上設置している時間貸しの「街かどテレキューブ」を利用できるサービスもスタートしました。街かどテレキューブでは急な会議などに使えるだけでなく、一般利用者が企業へ相談するための窓口として利用されるケースも出てきています。月々最低3000円から、実際に利用した時間に応じて従量課金制で使えるようにしています。
──テレキューブを導入した企業の反応はいかがでしょうか。
一番多いのは「オフィス環境が大幅に改善された」という声ですね。やはりオフィスの至るところでWeb会議の声が聞こえてくるような環境では、自分の会議や作業に集中しづらくなりますし、セキュリティ上の懸念もあります。万が一、会議の内容が他社に聞こえてしまうと、取り返しのつかない事態にもなりかねませんよね。ですので、「セキュリティが担保できる静かな環境が整って、働きやすくなった」というご意見が非常に多いのもうなずけますし、そうしたご利用には適していると思います。また、防音性だけでなく居住性にもこだわっているので、「実際に中に入ってみると思ったより広々としている」「作業に集中できるようになり、仕事の効率が上がった」という評価もいただいています。
※1:日本マーケティングリサーチ機構調べ。調査概要「2022年2月期_指定テーマ領域における競合調査」
さらに活用シーンの幅を広げ、社会のインフラへ
──今後、どのような事業者にテレキューブを使ってもらいたいですか。
現状は大都市での展開が中心なので、今後はさらに地方への展開を拡大する余地があります。特に、製造業の工場などは事務所が遠いことも多く、行き来するだけでロスが発生します。その点、工場内にテレキューブを設置すれば、ちょっとした事務作業やWeb会議などが大きな移動なく気軽にできるようになります。こうしたオフィス以外の場所へのテレキューブ設置により、大幅な業務改善につなげられる事業所はまだまだたくさんあると考えています。
──ブイキューブが目指す姿、今後の目標についてお聞かせください。
ブイキューブは「Evenな社会の実現〜すべての人が平等に機会を得られる社会の実現〜」をミッションとして掲げています。多様な働き方や生き方を実現する上で、私たちのサービスが有効活用される未来がくれば嬉しいです。テレキューブは皆さんのインフラになるポテンシャルを秘めていると感じているので、ほしいときにテレキューブがすぐ近くにある未来を実現するために頑張っていきたいです。