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給与前払いサービスを徹底比較|企業規模・用途別におすすめサービスを紹介

2023.05.11
オフィスのミカタ編集部

給与前払いサービスは、従業員に喜ばれる新しい福利厚生施策として注目を集めている。給与前払いサービス導入後に求職応募数が増えた、離職率が下がったという事例も報告されており、今後も導入が進むと考えられる。本記事では主要な給与前払いサービスを徹底比較し、企業の規模や用途別におすすめしたいサービスを紹介する。

冠婚葬祭など想定外の出費に給与前払いサービス

給与前払いサービスとは、従業員が会社で規定されている給料日まで待たなくても希望するタイミングで給与を引き出せるサービスだ。今後働く予定分の給与を先に受け取る前借りとは異なり、すでに働いた分の給与を規定日より早く受け取ることができる仕組みで成り立つ。従業員は冠婚葬祭やクリスマスなど突発的な出費が発生する際に給料日より前に給与を手にすることができる。従業員の勤怠データを元に正確な金額が前払いされるため担当者の業務負担が増えることもない。

福利厚生施策の1つとしても使える給与前払いサービス
給与前払いを福利厚生施策として導入する企業も増えている。これまで福利厚生は大きな費用がかかる一方、企業が提供するものと従業員が求めるものが乖離しがちという課題があった。給与前払いサービスは費用面、運用面ともに導入のハードルが低く、膨大なコストをかけずに従業員の満足度を上げたい企業に適している。

立替払い、自社払いの2タイプ
・立替払いタイプ
立替払いタイプは従業員への前払い金をサービス会社が立替えるタイプの給与前払いサービスだ。企業側に導入費用や運用費用が発生せず、前払いのための資金を用意する必要もない。一方従業員は前払い金を引き出す際に、申請した金額に対して数%程度のシステム利用料や振込み手数料を負担する。企業は給与日にまとめて前払い金を精算できるので、支給サイクルを変更する必要やキャッシュフローが圧迫される心配もない。

・自社払いタイプ
自社払いタイプは、前払い分の資金を自社で用意して従業員へ支払うタイプの給与前払いサービスだ。自社の口座から従業員の口座への振り込み業務を代行するサービスや、資金を預託して従業員がATMから引き出せるようにするサービスなど支払い方法は様々である。

サービスによっては前払い専用口座の開設が必要になる場合がある。賃金支払いの原則に則した運用ができるため、法的リスクを排除した安全性の高い利用ができる。また立替払いタイプに比べると従業員の利用手数料負担を低減できる点もポイントだ。

主要給与前払いサービス6選

給与前払いサービスには多くの種類があり新たなサービスも増え続けている。ここではおすすめの給与前払いサービス6選を徹底比較する。企業規模や用途に合わせ導入前に慎重に比較検討してほしい。

ジンジャー給与前払いの特長
ジンジャー給与前払いは、企業規模を問わずに導入できるサービスだ。銀行各社と連携しているため導入企業側での振込み業務は不要。各種勤怠管理システムや給与計算システムと連携でき担当者の業務負担もない。企業用管理画面もシンプルで使いやすく、不明点を相談できる窓口も設置されている。プライバシーマーク取得、2段階認証設定など、セキュリティ面でも安心できる。


JOBPAYの特長
JOBPAYは、銀行口座振込みをせずATMから直接給与を受け渡せる給与前払いサービスである。全国のATMから24時間365日利用できる。各種勤怠管理システムとの連携が可能で、連携後はその日働いた分の給与をすぐに出金することも可能。独自システムのeKYCにより従業員の本人確認手続きをオンラインで完結できるため、担当者の作業負担軽減と従業員の利便性向上が期待できる。


アドバンストペイ セゾンの特長
アドバンストペイ セゾンの給与前払いサービスは、東証1部上場企業のクレディセゾンが運営しているため資金面の安心感が高い。振込み資金を一旦クレディセゾンが立て替え給与支給日に精算する仕組みで企業のキャッシュフローを圧迫することがない。従業員はスマホやPCから24時間前払いの申請が可能。通常、日払いや週払いを行うためには給与計算サイクルの変更が必要になり作業が煩雑になるが、アドバンストペイ セゾンなら各従業員の勤怠データを連携するだけで前払い可能な給与額が計算され担当者の業務負担が少ない。


速払いサービスの特長
速払いサービスは、マイナビグループが運営するアルバイト・パート人材に特化した給与前払いサービス。導入企業が制度に関する運用業務をエーピーシーズ社に委託、従業員が給与前払いを任意で契約・利用する業務委託型のサービスである。国内主要メガバンクやPayPay銀行などのネット銀行を利用できる。基幹システムとの連携設定も可能で、無料の簡易勤怠管理ツールも提供している。


前払いできるくんの特長
前払いできるくんは、正社員やパート・アルバイトスタッフだけでなく業務委託者でも利用できるのが特徴。汎用性が高く、企業の要望を聞いた上で適切な運用方法を提案する。小規模・個人事業主向けのプランなら、財務審査なし、最短当日に導入可能で、Webのみで申込みが完結する。大・中規模企業向けのプランは最短1週間で導入でき、導入サポートも充実している。導入企業独自の勤怠管理システムと連携ができるのも特徴。


Will Payの特長
Will Payは、最短即日で賃金を支払える給与立替サービスだ。システム利用料および振込手数料は従業員負担だが、前払い金額が5,000円までならシステム利用料分は無料となる。システム利用料は前払い金額6,000円以上から従量課金される。従業員はスマホやPCなどから申請でき、24時間365日受け付ける。会社や上司への承認も不要なため急な出費にも対応可能。英語対応のアプリケーションもある。

給与前払いサービスの選定ポイント

従業員が給与前払いサービスを効果的に利用できれば企業へのエンゲージメント向上につながる。企業は費用や業務負担だけでなく、従業員にとっての利便性を考慮して選定する必要がある。ここでは各サービスの特徴を挙げ自社にもっとも適したサービスを選ぶポイントを解説する。

引き出し対応可能な時間帯
従業員が給与前払い申請をしても引き出し対応可能な時間帯に合わず引き出せないようではサービス導入の意味がない。サービスを選定する際には従業員が必要とする時間帯に引き出せるかを確認する。ATMで24時間365日引き出せるなど利便性の高いサービスを選べば従業員の満足度も上がるはずだ。

手数料の負担率
手数料は無理のない価格設定であることが重要だ。立替払いタイプのサービスは企業側ではなく従業員側がサービスの利用手数料を負担するケースが多い。定額制や利用額に応じた従量課金制など算定方法はサービスにより異なるが、給与前払いサービスを導入しても従業員の負担額が大きすぎると利用されにくいため従業員の利用傾向を見極めた上でサービスを選定する。

人事システム機能の有無
給与前払いサービスが自社の勤怠管理システムや給与計算システムと連携できるかどうかもチェックしておきたいポイントだ。給与前払いに不可欠な勤怠データを連携できない場合は人事システム機能があるサービスを選ぶ。

利用者向けサポート体制の有無
給与前払いサービスの多くは24時間365日申請できるため、24時間365日トラブルが発生する可能性がある。システム利用に関する疑問点やシステムエラーなど緊急の事態にも対応できるサポート体制があるサービスを選ぶことは必須条件といえる。

大規模企業に適した給与前払いサービス

給与前払いサービスは企業の規模や用途によって適するサービスは様々だ。ここでは比較的規模の大きい企業におすすめしたいサービスを紹介する。

勤怠管理・給与計算システムと連携できるジンジャー給与前払い
ジンジャー給与前払いは共通の人事データベースを保有しているため最新の情報を一括管理できる。従業員情報の更新作業は一度で完了し、更新に伴い変更が必要になるワークフローや給与計算、経費処理の情報に自動連携できるのが特徴だ。
https://hcm-jinjer.com/prepaid/

従業員向けの各種問合せ窓口でサポートが手厚いJOBPAY
JOBPAYは従業員向け各種問合せ窓口を完備するなどサポート体制が充実している。法令遵守のクリアなサービスで上場企業も多数採用している実績があり、手厚いサポートによる従業員の満足度も高い。
https://www.jobpay.co.jp/

小規模企業で活用できる給与前払いサービス

比較的小さい規模の企業で活用しやすい給与前払いサービスを紹介する。

企業負担なしで導入しやすいアドバンストペイ セゾン
アドバンストペイ セゾンは従業員の利用状況に応じて従量制でシステム利用料がかかる仕組みで、初期導入費や月額料金など企業が負担する費用が発生しない。企業側はコストをかけずに導入できるため小規模企業におすすめのサービスだ。
https://www.saisoncard.co.jp/adpay/

アルバイト・パート人材に特化した速払いサービス
速払いサービスはアルバイトやパート人材に特化した給与前払いサービス。新たに口座を開設することなく普段利用している金融機関口座をそのまま使用することができる。社会保険料や寮費の控除有無・従業員の引出額の制限など細かく柔軟なルール設定ができるため非正規雇用スタッフにも使い勝手が良い。
https://www.apseeds.co.jp/service/sokubarai/

特定の用途に強みを持つ給与前払いサービス

給与前払いサービスには会社規模にかかわらず特定の用途に強みを持つものもある。個々に強みを持つ給与前払いサービスを紹介する。

業務委託者でも利用できる雇用形態に縛られない前払いできるくん
前払いできるくんは従業員や業務委託者が希望するときにいつでも給与を受け取れる新型福利厚生サービスだ。操作が簡単で雇用形態に縛られず誰でも利用できる。
https://pay-tech.co.jp/lite/

24時間365日対応で最短当日の振込みも可能なWill Pay
Will Pay は24 時間 365 日申請を受け付けており会社や上司の承認も不要なため急な事情にも対応可能な給与前払いサービスだ。「申請→金額入力→振込実行」というシンプルなフローで希望する日に前払いが実現する。
https://www.willpay.jp/

まとめ

給与前払いは新しい福利厚生サービスや優秀な人材確保の手段として今後も導入が進むことが予想される。給与前払いサービスの導入によって雇用を促進できるだけでなく、全従業員がモチベーションを保ちながら働ける環境が整い、企業全体の業績も向上するはずだ。給料前払いを導入し従業員の満足度を上げたい、人手不足を解消したいと考える企業は、本記事で紹介した給与前払いサービスを比較検討し、人材の獲得と人材の定着につながる導入を目指してほしい。