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AIを使えるだけでは成果が出ない? 2027年、AIとの働き方はどう変わる

2026.10.14
オフィスのミカタ編集部
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「働く」を取り巻く環境は、この10年で大きく変化した。なかでも2026年、大きな転換点となったのが生成AIの普及だ。AIが日常の業務プロセスに入り込むなか、企業が求める人材やスキル、マネジメントのあり方も変わり始めている。

今回は、10月7日に開催されたパーソルホールディングスの報道関係者向けランチブリーフィングから、「AIと働く」をテーマに語られた内容の一部を紹介。パーソル総合研究所のReskilling Camp代表 柿内秀賢氏は、2026年のAI活用を振り返りながら、AIとの協働がさらに進む2027年に向けて、人材と企業にはどのような変化が求められるのかを解説した。

AIと働くことが「特別」ではなくなった

2026年の大きな変化として、柿内氏が挙げたのが「AIと一緒に働くことの日常化」だ。

ChatGPTが登場した当初、生成AIは一部の人が使う先進的なツールという側面が強かった。しかし現在では、さまざまな職種でAIが業務に取り入れられている。

その背景にあるのが、DXからAX(AIトランスフォーメーション)への移行だ。DXでは、プログラミングやデータなど、コンピューターを扱うための知識が求められた。一方、生成AIは自然言語で指示できるため、専門知識を持たない人にも利用の門戸が開かれている。

「AIは自然言語で利用できるため、これまでコンピューターとの共通言語を学ばなければならなかった人でも、容易に使えるようになりました。この利用のしやすさが、AIの急速な普及を後押しした大きな要因だと考えています」

パーソル総合研究所が実施した「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」では、研究・技術職の82%、人事・法務・総務・広報などのコーポレート部門の約72%、営業職の54%がAIを利用しているという。AIはもはや、限られた人だけが使う特別なツールではない。

AIの性能以上に問われる、人間の「判断力」

もっとも、AIを使えるようになったからといって、仕事の成果が自動的に向上するわけではない。

AIから期待する回答を得るには、まず人間が「何のために使うのか」を明確にする必要がある。目的を定め、必要な情報を整理し、どのようなアウトプットを求めるのかを考えたうえでAIに指示する。さらに、生成された内容が正しいのか、実際の業務に使えるのかを判断しなければならない。

「AIに何をさせるのか、その目的は何なのかを、まず人間が考える必要があります。必要な情報を整理し、適切な指示を出し、出力された内容を確認する。AIを活用するほど、その前後にある人間の判断が重要になります」

そして、AIが生成した成果物を使って、実際に人を動かすのも人間だ。営業なら顧客、管理部門なら社内の関係者を動かし、仕事を前に進めなければならない。

「AIがどれだけ高性能になっても、仕事の結果に対する責任までAIが負ってくれるわけではありません。最終的に判断し、行動し、結果に責任を持つのは人間です」

AI時代に問われるのは、AIそのものを操作するスキルだけではない。その能力を仕事の成果につなげる「判断力」や「実行力」なのだ。

効率化の裏側で起きる「人材育成の空洞化」

AI活用が進むなか、企業にとって新たな課題となるのが人材育成だ。

経営企画やDX部門がAIによる生産性向上や事業価値向上を進め、IT部門が導入やコスト管理、利用者の支援を担う。その一方で、人事にはAIとともに働くことを前提とした人材育成が求められる。

特に懸念されるのが、若手社員の「経験」の不足だ。

例えば、新卒社員が仕事上の疑問をAIに尋ね、AIが作成した資料を使って業務を進める。目の前の仕事は効率化できても、その過程で本来身につくはずだった業界知識や自社への理解まで失われれば、将来的な人材育成に影響する。

「AIを活用するほど、その前後にある人間の判断が重要になる」と語る柿内氏

「AIに業務を委ねることで、短期的には仕事を効率化できます。しかし、それによって業務知識や業界への理解を身につける機会まで失われれば、数年後に組織の中核を担う人材が育たないという問題につながります」

AI活用を促進するだけではなく、「AIを使いながら、どのように人を育てるか」。人事には、これまでとは異なる視点が求められている。

「AI格差」から「人間力格差」の時代へ

では、AIとの協働がさらに進む2027年、企業や働く人には何が求められるのか。

柿内氏が示したキーワードが、「AI格差から人間力格差へ」だ。

新卒社員には、AIに頼るだけではなく、自ら考え、仕事を通じて知識や経験を蓄積することが求められる。一方、ベテラン社員が持つ豊富な知識や経験は、AIと組み合わせることで新たな価値につながる可能性がある。

「AIによって効率化が進むほど、これまで人が培ってきた知識や経験の価値は、むしろ高まる可能性があります。AIとベテランの力をどう組み合わせ、価値につなげていくかが重要なテーマになります」

また、中堅社員には、AIと人間が協働する業務プロセスを設計し、それを自社の業務に落とし込む力が求められる。そして管理職には、AIを活用して成果を出しながら、多様なメンバーを動かす力が必要になる。

「これから問われるのは、AIを使えるかどうかだけではありません。AIを使って成果を出せるか、人を動かせるか、目的を自ら考えて判断できるか。こうした人間の能力の差が、今後ますます重要になるでしょう」

AIが仕事に入り込むほど、「AIを使える人」と「AIを使って成果を出せる人」の差は広がっていく。

2027年に企業が向き合うべきテーマは、AIそのものではない。AIとともに働く人を、どう育て、どう活かすのか。その答えを探す1年になりそうだ。