押印・郵送・来庁が不要に! 全ての対象案件で「東京都契約請求システム」の利用を目指す
東京都との取引で、完了届や納品書、請求書などに押印して郵送したり、都庁の窓口まで出向いたりしていないだろうか。東京都は、契約締結後の各種手続きをオンラインで完結できる「東京都契約請求システム」の利用を推進している。2024年度の運用開始以降、利用者の7割以上が手続き時間の削減を実感。2026年9月には利用対象案件が大幅に拡大され、本格稼働を迎えている。本記事では、東京都デジタルサービス局デジタル基盤部デジタル基盤企画課の高橋功課長に、システムの概要や事業者が得られるメリット、利用開始に向けた準備、11月開催の事業者向け説明会などについて聞いた。
事業者の業務負荷を軽減するデジタル化の狙い
──契約・請求手続きのデジタル化に取り組んだ背景と、従来の課題を教えてください。
「東京都契約請求システム」は、都政の構造改革プロジェクト「シン・トセイ(※1)」のコア施策のひとつとして構築されました。
従来、契約締結後の完了届や請求書などは、すべて紙で提出する必要がありました。そのため、事業者には印刷・押印・郵送や来庁の手間に加え、切手代などの実費負担が生じていました。都の職員も書類の内容をシステムに手入力する必要があり、双方に大きな業務負荷がかかっていたのです。
デジタル化によって双方の業務負担を軽減し、本来のコア業務に専念できる環境を整えることが、本システムを運用する最大の目的です。
デジタル技術を活用して行政手続きを効率化し、都民や事業者の利便性を根本から高めることを目指す、東京都の構造改革プロジェクト
契約締結後から請求までの手続きのオンライン化で業務負担を軽減
──システム上で提出できる書類と、従来の紙による手続きとの違いを教えてください。
契約締結後、案件開始の通知メールが届き、業務完了時の「完了届」「納品書」や、支払いに必要な「請求書」をオンラインで作成・提出できます。書類には契約名や事業者名などの基本情報が自動反映されるため、手入力の手間や転記ミスを減らせます。
書類に不備があった場合、都の職員がシステム上で修正を指示し、事業者もオンライン上で訂正・再提出できます。従来の紙による手続きと比べ、「押印不要」「来庁・郵送不要」「24時間いつでも提出可能」の3点が大きなメリットです。
──書類作成や書類提出までの期間短縮など、事業者にとってのメリットを教えてください。
紙の書類では、日付や契約番号の転記ミス、金額の誤りなどがあると、書類の再作成や再郵送が必要です。修正対応だけで1週間以上のタイムラグが生じることもありました。
しかし、本システムでは基本情報が自動入力されるため、入力ミスの削減が期待できます。修正が必要になってもオンラインで迅速に対応でき、再提出にかかる時間を短縮できます。
──操作面では、どのような工夫が施されていますか。
例えば、ログインには、デジタル庁が提供する共通認証基盤「GビズID(※2)」を採用しています。厳格な本人確認や多要素認証に対応しているほか、1つのアカウントで複数の行政サービスを利用できるため、利便性の向上にもつながっています。
また、項目ごとに解説を表示する「ヘルプ機能」を備えています。スマートフォンからでも操作できる画面設計としており、初めて利用する事業者にも使いやすいよう工夫しています。
──これまでの運用成果や、事業者からの反応はいかがですか。
利用事業者を対象に実施したアンケートでは、7割以上が「手続きに要する時間が削減された」と回答しています。
具体的には、「社内の押印申請に1週間かかっていたが、押印が不要になり、承認フローを簡素化できた」「書類に不備があった際もオンラインで再提出でき、作業時間が大幅に短縮された」といった声が寄せられています。
──2026年9月から利用対象が拡大されましたが、具体的にどこまで範囲が広がったのでしょうか。
2026年9月24日以降に公表などを行う案件から、利用対象が大幅に拡大されました。従来の都庁本庁による契約手続きに加え、都内各地の事業所が発注する案件や工事契約も対象となりました。
デジタル庁が提供する法人・個人事業主向けの共通認証サービス。1つのアカウントで複数の行政サービスにログインできる
具体的には、物品購入や委託契約では、従来の知事部局等(※3)の本庁(各局契約事務主管課)が発注する案件に加え、新たに知事部局等の事業所が発注する案件も利用可能になりました。また、工事契約では、本庁が発注する案件が新たに対象となったほか、事業所が発注する案件についても、一部から段階的に利用を開始しています。
対象範囲の拡大により、東京都との幅広い取引で、窓口への持参や郵送が不要になるメリットを享受いただけるようになります。現在の対象は「単年度契約」ですが、今後は複数年度にわたる継続契約にも、順次拡大する予定です。
東京都の組織区分。都庁の各局、行政委員会、議会局を指す(本記事では東京消防庁、警視庁、公営企業局を除く)
利用開始に向けた「GビズID」の取得と設定
──利用開始に向けた事前準備と、推奨する社内の役割分担を教えてください。
事前準備として、法人の代表者(個人事業主の場合は本人)による「GビズIDプライム(※4)」の取得と東京都契約請求システムへの初期登録が必要です。アカウント取得後、システム上で従業員用の「GビズIDメンバー(※4)」を発行し、実務管理者の権限を割り当てる運用をおすすめします。
初期設定を済ませれば、代表者が案件ごとにログインする必要はありません。総務や経理などの実務担当者が、案件管理から書類の作成・提出までを直接行えるようになります。
──初めて利用する際につまずきやすい点と、サポート体制を教えてください。
初めて利用する事業者からは、「GビズIDの取得手順」や「社内の権限設定」に関する相談が寄せられています。GビズIDの発行には日数がかかる場合もあるため、案件を受注する前から余裕を持って準備していただきたいと考えています。
利用開始までの流れを把握できるよう、ポータルサイトでは操作動画や解説コンテンツ、詳細な操作マニュアルを公開しています。設定や操作で困った際には、専用ヘルプデスク(電話:0570-075370/平日8:30~18:30)にも相談できますので、ぜひご活用ください。
GビズIDのアカウント種別。法人代表者や個人事業主が取得する「GビズIDプライム」と、従業員向けの「GビズIDメンバー」がある。メンバーアカウントは、プライムまたは管理者権限を持つメンバーが発行する
──利用対象となる事業者と、自社が対象かどうかを確認する方法を教えてください。
基本的に、東京都と契約を結ぶ可能性のあるすべての事業者が対象です。入札参加資格を持つ企業はもちろん、入札参加資格を持たない事業者や、個人で翻訳・デザインなどを請け負うフリーランスの方も、業種や事業規模を問わず利用できます。
自社の案件が対象かどうかは、電子調達システムの発注予定表に添付されている東京都契約請求システム対象案件であることをお知らせするファイルや、発注部署からの案内メールで確認できます。
システムの利用方法等を紹介する事業者向け説明会を開催
──11月に開催される事業者向け説明会の詳細を教えてください。
オンライン形式で、以下の日程にて事業者向け説明会を開催します。
・第2回: 2026年11月13日(金) 13:30〜14:30
・第3回: 2026年11月19日(木) 11:00〜12:00
実施形式: オンライン開催(※事前にWeb申込フォームより要参加申請)
説明会では、システムの概要や利用メリットに加え、利用開始までの手順を3つのステップに沿って解説します。「GビズIDプライムの取得」「GビズIDメンバーの設定(実務担当者への権限委任)」「システム操作手順」を順に説明するため、初めての方にも利用方法を理解していただける内容です。
──利用を検討している段階の事業者でも参加できますか。
もちろんです。「自社が対象になるか知りたい」「システムの利用で業務がどう変わるのか確かめたい」といった情報収集段階の事業者も歓迎しています。オンライン形式で気軽に参加できますので、疑問や不安を解消する機会として、ぜひご活用ください。説明会は来年度以降も定期的に開催する予定です。
──最後に、読者である事業者の皆さまへメッセージをお願いします。
東京都は、事業者の来庁・郵送にかかるコストを削減し、業務負担を軽減するため、東京都契約請求システムの普及を推進しています。また、東京都で導入している電子契約サービスと合わせて利用いただければ、契約から請求までの一連の手続にかかる負担を軽減できます。東京都契約請求システムについて、今後も機能改善と対象範囲の拡大を進めていきますので、バックオフィス業務を効率化する第一歩として、ぜひご活用ください。
▼関連リンク
「東京都契約請求システム」ホームページ
「東京都契約請求システム」の説明会について
「電子契約サービス」の導入について
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