労働力不足をどう乗り越える? パーソルがAI・データで挑む「はたらく」の未来
新規事業に挑むグループ会社を横断的に支援・統括するパーソルデジタルベンチャーズ株式会社は、2026年9月14日、メディアブリーフィングを開催した。テーマは、AIやデータを活用した「はたらく人」の支援と、深刻化する労働力不足への新たなアプローチだ。
パーソルグループにおいて新領域の事業を探求する「R&D Function Unit(R&D FU)」では、グループの独自データや現場に根ざした実践的AIを活用し、未来の「はたらく」を創出する取り組みを模索している。当日は同ユニットに所属する5社の代表が一堂に会し、各社の最新取り組みと今後の展望を発表した。本記事ではその中から、パーソルイノベーションとミイダスの2社による具体的な挑戦と事例を紹介する。
パーソルR&D FUが向き合う「労働力不足」
本会ではまず、パーソルデジタルベンチャーズ株式会社代表取締役社長 村井宏行氏が登壇し、パーソルグループがどのように日本の労働力課題に向き合い、新たな価値創造に挑戦しているのかを説明した。
パーソルグループにおいて新領域や新手法の事業を探求するビジネスユニットである「R&D Function Unit(R&D FU)」は、既存事業の延長線上だけでは解決できない社会課題に挑み、未来の事業を作る役割を担う企業の集合体だ。パーソルデジタルベンチャーズを中核会社として、複数の会社がユニットに参画している。
本ユニットが特に重視している社会課題が、労働者不足だ。職種別に見るといわゆる現場労働の職種で特に労働力の不足が深刻化している。この課題に対し、一つの解決策に頼るのではなく、多角的なアプローチで解決を図っていく。「未経験者の挑戦機会を広げる」「活躍、定着、エンゲージメント向上までを支援する」「スポットワークを広める」「AIを活用したDXに取り組む」など各社がそれぞれの方向性から挑むことで、労働者不足にアプローチしている。
本会ではパーソルイノベーション、ミイダス、シェアフル、ポスタスの5社による取り組み事例が、それぞれの代表により発表された。この記事では、パーソルイノベーションとミイダスの事例を紹介する。
パーソルイノベーション AIでフロントラインワーカーの労働力を創出
パーソルイノベーションはAIを活用し、フロントラインワーカーの人材マッチング事業を強化している。フロントラインの求人はこれまで広告を使った採用募集がメインだったが、それだけでは人材が集まらなくなっていることに注目し、AIを使った「デジタルタレントプラットフォーム構想」を打ち立てた。
具体的には、AIの役割を「効率化」と「拡張」の二軸で捉え、まずは「効率化」として人の手で行っていた人材紹介プロセスのAI化に取り組む。「拡張」に関しては、コンピテンシー分析で適性を見出し、入社前から動機付けを行うことで定着と活躍につなげる。フロントライン領域は未経験者にとって「きつい」「年収が低い」というイメージが先行しがちで、応募前のキャリアの意味づけと後押しが不可欠なためだ。
特に同領域は早期退職が多く、採用して終わりでは人材会社としての価値を果たせない。意味づけを経て入社した未経験者がフロントラインワーカーへ転身し、場合によっては領域内でキャリアチェンジする――そんな労働シフトを日本全体で促すマッチングモデルの構築を目指している。
なお、パーソルイノベーション内の「HRサイエンス研究所」が、未経験者がフロントラインワーカーに向く理由をアルゴリズムで導き出す動機付けエンジンの開発に着手し、現在実証実験を進めている。同エンジンは、個人の適性を分析し、キャリアの意味づけから動機づけまでを自動的に提示することを目指すものだ。同社の拡張性戦略を裏付けする取り組みといえるだろう。
ミイダス 中小企業に「プロの人事部」を
転職支援・採用支援サービス「ミイダス」を運営するミイダス株式会社は、採用・定着・エンゲージメント向上・活躍までを一気通貫で支援している。代表取締役社長の後藤喜悦氏は、中小企業の組織課題の根本原因として、人事部が存在しない企業が多いことを指摘。その結果、採用戦略や面接ノウハウ、定着施策が不足し、ミスマッチや現場負荷の増大、エンゲージメントの低下、離職という負のスパイラルが生じているとの認識を示した。
そのうえで、中小企業にプロの人事部を丸ごと提供していくことを提案。AIエージェントと専任スタッフが伴走し、人財採用から定着までフルコミット型のサービスを行い、提供コストの目安として「アルバイト1名を雇うくらいのコスト」という水準を目指すとした。
ミイダスは、その基盤となる「ミイダス AIバディー」を開発し、本格的に活用を進めている。同サービスは、大企業がコストを掛けて雇用する採用専門家7職種(人事戦略責任者・リクルーター・データアナリスト・採用広報・リクルーティングマーケター・オンボーディング・現場責任者)の業務をAIが再現し、ワンプラットフォームにて提供する「採用OS」となる。採用戦略の立案から適切な採用、さらには採用後の定着までを一貫してフォローすることで、中小企業の成長加速していく狙いだ。
AI・データで「働く」を再定義する
本会では、労働力不足という社会課題に対し、AIとデータを活用した新たなアプローチが示された。パーソルイノベーションは「働き手を増やす」、ミイダスは「人が活躍できる企業を増やす」という異なる側面から課題にアプローチしている。テクノロジーの力で「はたらく」を再定義するパーソルR&D Function Unitの挑戦は、労働力不足時代を乗り越えるための大きな希望になりそうだ。










