『出戻り就職』あり?なし? 働く主婦層は9割が復帰にも受け入れにも賛成
株式会社ビースタイルが運営している主婦に特化した人材サービス『しゅふJOB』(本社:東京都新宿区)の調査機関しゅふJOB総研は『出戻り就職について』をテーマに働く主婦層にアンケート調査を実施した。
働く主婦層は『出戻り就職について』どう捉えているのだろうか。
■一度退職した会社に復帰したいと思ったことが「ある」56.2%
「あなたは今まで、一度退職した会社に復帰したいと思った事はありますか」と質問したところ、一度退職した会社に復帰したいと思ったことが「ある」と回答した人は、56.2%、「ない」は43.8%となった。
■復帰したい理由「辞めてから元の会社の良さがわかった」39.2%
「ある」と回答した人に、復帰したい理由は何か質問したところ、「辞めてから元の会社の良さがわかった」が39.2%、次いで、「育児で退職したが、子どもの手が離れた」が26.1%となった。
■復帰したいと思った理由で「その他」に寄せられたコメント(年代:就業形態)
・業務内容は好きだったが人間関係で、辞めた。原因の人間も辞めたのなら復職したい(40代:派遣社員)
・社内結婚だったので退職せざるをえなかった。本当はもともとやめたくなかった(40代:パート/アルバイト)
・今年定年退職をして環境が良かった(60代:今は働いていない)
・ずっと勤めていたかったが派遣だったから(40代:今は働いていない)
・景気が悪くなり、パート全員解雇になったから、景気が良くなってまた採用できるようになったらまた行きたい(50代:パート/アルバイト)
・他の仕事を探すより手っ取り早かったから(30代:パート/アルバイト)
・自分のスキルが上がり、再度貢献したいと思った(60代:パート/アルバイト)
・慣れた仕事内容だと復帰しやすいから(40代:パート/アルバイト)
■実際に復帰したことは「ない」76.6%
「ある」と回答した人に、実際に復帰したことはあるか、質問したところ、実際に復帰したことは「ない」は、76.6%となった。
■復帰するなら「その会社に在職中の元上司に相談する」40.5%
もう一度退職した会社に復帰するとしたら、どのような方法を取るのか質問したところ、「その会社に在職中の元上司に相談する」が40.5%となった。
■復帰するなら「勤務時間や勤務地など働きやすい環境」を求める、63.3%
もう一度退職した会社に復帰するとしたら、会社側に何を要望するのか質問したところ、「勤務時間や勤務地など働きやすい環境」が63.3%と半数以上の回答があった。
■復帰する時の心境「その時になってみないとわからない」43.1%
もう一度退職した会社への復帰が決まったら、どんな心境になると思うのか質問したところ、「その時になってみないとわからない」が43.1%だった。
■一度退職した会社に元社員が復帰できる制度への賛否
一度退職した会社に元社員が復帰できる制度に賛成か質問したところ、自分が復帰する立場の場合でも、復帰を受け入れる立場でも賛成は、85.6%だった。
■退職した会社に復帰したいと思ったことが「ある」と回答した人のコメント
・受け入れる立場としても、さまざまな負担(研修や社内システムの説明、社風があわずすぐ退職する可能性など)が軽減されると復帰するような場合でも、人間関係や職務内容の不安が少なく就業できると思う。特に出産子育てで退職→復帰は推進してほしい(30代:公務員/団体職員)
・育児、介護など、休職期間以上休む結果、退職など、やむを得ない理由の人は、復職制度があると、育児、介護に、専念出来る(50代:パート/アルバイト)
・退職理由によると思う。止む無しに辞めたのならば復職はあり。自己都合で勝手に辞めた場合は復職なんて有り得ない(40代:正社員)
・一般の中途採用者同様、一から試用期間や研修期間を経て復帰した方が、自分も周りも安心すると思う(40代:パート/アルバイト)
・社内結婚をしたらどちらかが辞めなければいけないという前時代的なシステムをやめてほしい(40代:パート/アルバイト)
・退職前に習得したスキルを、ゼロからに戻すのはやめてほしい。勤務年数や、過去に築き上げたスキルを評価した上で時給や配属ポジションを考えて欲しい(40代:パート/アルバイト)
■退職した会社に復帰したいと思ったことが「ない」と回答した人のコメント
・再雇用される側は精神的負担大。見られる、揶揄される、陰口等。再雇用前に、同じ部署や他部署の人たちの理解が浸透していることが大事。なぜ戻ってきたのか、という空気が漂わないように(40代:パート/アルバイト)
・人によっては浦島太郎状態で役に立たない場合があるのではないか。そういう「お荷物」も一律に元の待遇で復帰させるのなら反対である(40代:公務員/団体職員)
・復帰の候補に挙げて下さるのはありがたいことですが、退職に至った経緯がありその反省点を見出して、改善を行なって頂く事からの検討事案になると思います(50代:今は働いていない)
・企業側は即戦力になるので、メリットはあると思うが、自分としては何らかの理由で一回離れた職場に戻るとしても、以前と同じような能力で仕事ができるかもわからないので、逆にハードルが高いような気がする(50代:パート/アルバイト)
・主に、人間関係(パワハラ)などで辞めている為、その人が居る職場には戻りたくない(40代:パート/アルバイト)
・復帰するのは構わないが、またいつか辞めるのではないかと思われると思う(40代:パート/アルバイト)
■退職に対する働く主婦層の意識は柔軟
元いた職場に復帰することは、出戻り就職などと呼ばれる。採用難の折、将来の再雇用などを視野に入れて退職者とのネットワークを大切にするアルムナイ制度を導入している企業もある。
退職経験を持つ人が多い働く主婦層で、実際に復帰したことがある人は23.4%と、1/4以下だった。
復帰するとしたら、元いた会社のコネクションを使う人が多いようだが、「求人募集を待って一般応募する」という回答も3割超あった。復帰する場合のルート選択は、退職した時の事情によっても変わってくるかもしれない。
復帰する際に会社に要望することとしては、6割以上の人が「勤務時間や勤務地など働きやすい環境」を挙げた。一度辞めた身だけに復帰を快く受け入れてくれるかどうかが気になったり、出産や配偶者の転勤などでやむなく退職した経験から働きやすい勤務条件を求める人もいるようだ。
また、「今の自分のスキルや経験に相応しい職務」「今の自分のスキルや経験に相応しい給与」を選んだ人も4割近くに及び、新人と同じではない、という意識も働いているように感じる。
実際に戻るとしたら、人によって様々な思いや葛藤を抱いている中でも、元社員が復帰できる制度については85.6%が「自分が復帰する立場でも、復帰を受け入れる立場でも賛成」と回答している。
退職に対する働く主婦層の意識は柔軟で、退職を会社との永遠の別れと捉える考え方は時代にそぐわなくなってきているのかもしれないと、しゅふJOB総研 所長 川上敬太郎氏は見解を述べている。
■調査概要
・調査手法:インターネットリサーチ(無記名式)
・有効回答者数:744名
・調査実施日:2019年5月22日(水)~2019年5月31日(金)まで
・調査対象者:ビースタイル登録者/求人媒体『しゅふJOBパート』登録者
■まとめ
離職した会社に実際に復帰したことがある人は23.4%で1/4以下という結果だったが、約9割の人が「自分が復帰する立場でも、復帰を受け入れる立場でも賛成」としているようだ。
出戻り社員は企業の社風や理念を理解しているため、即戦力にもなり、自社の良さに改めて気づくなどのメリットがある。
人材不足の今、人事担当者は出戻り社員の再雇用も選択肢の一つとして検討してみてはどうだろうか。