オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

対応完了しているのはわずか4%。施行開始まで残り4ヵ月の「同一労働同一賃金」大手法人の対応状況は?

2019.12.11

 大手法人向け人事ソリューションを提供している株式会社Works Human Intelligence(本社:東京都港区)は、働き方改革の一環として2020年4月より施行が予定されている「同一労働同一賃金」(パートタイム・有期雇用労働法)への大手法人の対応状況を調査すべく、「【同一労働同一賃金】対応状況調査アンケート」を実施した。

 本調査結果から、多くの大手法人にて本制度導入までに何らかの対応を予定しているものの、まだ具体的施策は実施されていない現状が浮かび上がった。

■「2020年3月までに完了予定」も「情報収集中」「具体的施策検討中」が9割

■「2020年3月までに完了予定」も「情報収集中」「具体的施策検討中」が9割

 まず、同一労働同一賃金の対応状況について質問したところ、「対応完了」と回答した法人は全体の4%、反対に「具体的施策検討中」及び「情報収集中」と回答した法人は90%以上を占める結果となった。

 また、同一労働同一賃金の対応完了予定時期については「2020年3月までに完了予定」との回答が62%となり、施行前までに対応を完了させたいが、まだ情報収集中・施策を検討中という法人が多数存在することが判明した。

■正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者における待遇差への対応について

 正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者の間で、具体的にどのような待遇差が発生しているのかを調査するため、「基本給」、「賞与」、「各種手当」、「福利厚生」、「教育訓練」の5項目について、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者それぞれと正社員との間の待遇差について質問した。

 調査の結果、正社員とパートタイム労働者、正社員と有期雇用労働者について、待遇差の認識に同様の傾向が見られた。

 質問した5項目の内、「基本給」と「教育訓練」については「現状不合理な待遇差は発生していない」と回答している法人が多く、いずれも80%を超えている。

 一方で既に判例も出ている「各種手当」では、不合理な待遇差が発生していると回答している法人が比較的多く、パートタイム労働者で50%、有期雇用労働者で53%という結果になった。

 対応方針については、「正社員の待遇の切り下げ」を行う予定の法人はごく少数で、ほとんどの法人では「非正規雇用労働者の待遇の見直し」及び「制度や支給基準の全体的な見直し」を行う方針であることが分かった。

   

  

■正社員と派遣労働者における待遇差への対応について

■正社員と派遣労働者における待遇差への対応について

 一方で、正社員と派遣労働者の間の待遇差については、「現状不合理な待遇差は発生していない」という回答が大多数だった。派遣労働者の場合、派遣元事業主が対応を行う必要があるため、今回「見直しを図る」とした法人も、派遣元と協議して対応するとしている回答が多く見られた。

■賞与・退職金の「不合理な待遇差」の曖昧な判断基準

 どのようなケースで「不合理な待遇差」に悩んでいるのか質問したところ、49件の回答を得た。その内、68%が退職金に関する悩み、26%が賞与に関する悩みだった。

 それぞれ、支給の有無及び支給額の決定基準について悩む声が多数あがり、「判例を待って対応を検討」とし、具体的な施策決定を保留とする法人が多いことがわかった。

■取り組むべき課題は「職務定義の細分化」

■取り組むべき課題は「職務定義の細分化」

 最後に、同一労働同一賃金への対応において取り組むべき課題を質問したところ、「職務定義の細分化」が63%と最も多く、続いて「社員の理解促進」が38%、「非正規雇用労働者の賃金の引き上げ」が28%という回答となった(複数選択可)。

 日本では総合職採用が一般的なこともあり、職務定義が比較的曖昧であると言われてきた。これをきっかけに、職務定義の見直しを図ろうとしている大手法人の姿が浮き彫りとなった。

■まとめ

 今回の調査で、ほとんどの日本の大手法人が同一労働同一賃金への対応が完了していない実態が明らかになった。

 企業側が、人件費の削減を考える一方、同一労働同一賃金は、今後、従業員のモチベーション向上や、生産性の向上につながることも期待できる。
 
 施行開始を前に、企業には十分な対応準備を行うことが求められそうだ。

<PR>