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自己記録型の人事評価制度「評価をしない評価制度」導入支援開始

2020.11.18

 社会保険労務士法人HABITAT(所在地:東京都福生市、代表:榎本淳司)は、テレワークを導入する中小企業向けに社員の自主性を高める自己記録型の人事評価制度「評価をしない評価制度」を開発し、2020年11月17日から導入支援を開始した。

組織の生産性向上を図る新しい人事評価制度

 「評価をしない評価制度」は、これまでのように上司が部下の評価をするのではなく、社員が自己記録をつけることで働く自主性を高め、人事評価の本来の目的である「組織の生産性向上」を図る、中小企業のための新しい人事評価制度である。開発に至った背景は主に下記3点である。

 1、テレワークによる働き方の変化
 コロナ禍でテレワークの導入が進む中、社員にはより高い自主性が求められている一方で、普段の社員の勤務態度やパフォーマンスが見えづらくなり、人事評価が困難になっている。また、昨今は多くの企業において上司が部下を評価する人事評価制度に不満が高まっている。約6~8割の人が現在の評価制度に満足していないという民間調査の結果もあり、「評価者への不信」や「評価基準の不明瞭さ」が上位にあがっている。

 2、人手不足による人事評価の時間的・労力的限界
 戦後から高度成長期に創業した多くの中小企業では代替わりの時期を迎え、IT化やグローバル化の波により新しい組織体制への変革の機運が高まっている。しかし、管理職と実働要員を兼任するプレイングマネージャーが当たり前の中小企業では、上司が部下を評価するための時間や労力の確保が困難となり、結果的に人事評価は上司の「やっつけ仕事」となってしまうケースが多い。

 3、中小企業も同一労働同一賃金へ
 2021年4月から、中小企業でも同一労働同一賃金が始まるため、職務内容と賃金の関連を示す正確な基準となる評価制度が必要になる。

評価をしない評価制度

 「評価をしない評価制度」は、応用行動分析学の理論に基づいて開発された「評価すること」を取り除いた人事制度である。上司が部下を評価することはなく、部下は普段の業務と勤務姿勢を自己記録し、個人目標に照らし合わせ、自己管理をする。上司の役割は部下の目標設定をサポートすることと、記録を確認することである。このマネジメント体制により、レコーディングダイエットのような理論で社員の生産性が向上していく。

 「評価をしない評価制度」では、「社員の生産性向上」と「給与・賞与・昇格などの決定」を完全に切り離す。

応用行動分析学を活かした手法

 アメリカの心理学者B.F.スキナーにより創始され、慶應義塾大学や立命館大学など多くの大学や研究機関でも活発な研究がなされている、応用行動分析学の研究結果で、普段の業務に自己記録をつけることで社員の生産性が向上することが判明している。行動分析学を応用した組織マネジメントの手法は、米コカ・コーラ社や3M社などでも取り入れられ、世界的にその動向が注目されている。

 下記のグラフは、組織行動マネジメントの専門誌「Journal of Organizational Behavior Management」にて2016年に掲載された実験結果である。医療介護スタッフのパフォーマンスを測定する実験で、スタッフは日々の業務を自己記録することで生産性が向上したことがわかる。

 

まとめ

 働き方が多様化し、人事評価制度の実施や運用の見直しは大きな課題となっている。「評価項目を明確化する」、「評価プロセスを工夫する」などの対策も挙げられる中、「評価をしない評価制度」は全く新しい取り組みとも言える。専門的な研究結果に基づく新しい人事評価制度の導入を検討してみてはいかがだろうか。

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