女性管理職の平均割合、過去最高も8.9%にとどまる
家事負担の軽減などによる女性活躍の推進を主な目的に、2021年6月には男性の育児休業促進策を盛り込んだ育児・介護休業法が改正された。こうした動きがある一方で、政府が2020年までの目標達成を掲げていた「指導的地位に占める女性の割合30%」は未達成となり、期日は「2020年代の早期達成」へ修正されるなど、女性活躍社会を実現する道筋には厳しさが続いている。そこで、帝国データバンクは、女性登用に対する企業の見解について調査を実施した。
調査結果(要旨)
女性管理職の割合は平均8.9%で、依然として低水準ながらも過去最高を更新した。前年比1.1ポイント増も過去最大の増加幅となった。政府目標である「女性管理職30%以上」を超えている企業は8.6%(同1.1ポイント増)だった。
今後、女性管理職の割合が増えると見込んでいる企業は22.6%となり、前年より0.9ポイント増加した。大企業では33.9%となったが、中小・小規模企業ではそれぞれ19.1%、11.4%にとどまった。一方で、今後も「変わらない」と見込んでいる企業は58.9%と6割近くにのぼる。
女性活躍を進めている企業の割合は46.9%となった。大きく落ち込んだ2020年(42.6%)から4.3ポイント増加している。
自社における男性の育児休業取得に関する推進状況を尋ねたところ、「積極的に取得を推進している」企業は9.5%、「今後推進する」は41.1%となった。しかし、中小・小規模企業では大企業を大きく下回っており、育休により生じる人員不足への対応が難しいとの課題が浮き彫りとなった。
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調査概要
調査期間:2021年7月15日~31日
調査対象:全国2万4,285社
有効回答企業数:1万992社(回答率45.3%)
まとめ
本調査によると、女性管理職(課長相当職以上)の平均割合は、前年からの増加幅とともに過去最高を更新した。政府目標である「女性管理職30%」を超えている企業の割合も増加し、女性役員や従業員も同様の傾向となるなど、総じて低水準ながらも上向いている結果となった。しかし、女性活躍を進めていない企業は約4割、女性管理職割合が今後も変わらないとする企業は約6割にのぼる。次世代の幹部候補が控えていない場合に急な管理職への登用は対応が難しいという側面がある。そのため、女性管理職の輩出に向けて、将来を見据えて現段階からリーダーシップ教育や職業訓練などを通じた人材育成に取り組む必要があるだろう。
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