【KPMG】日本企業の不正の実態をまとめたFraud Survey 2022を発表

プロ集団、KPMGジャパンにおいて、主にM&Aを専門とするコンサルティングファーム、株式会社 KPMG FAS(本社:東京都千代田区、代表:岡田 光)は、国内の上場企業を対象に実施した企業の不正に関する実態調査の結果をまとめたレポート「Fraud Survey日本企業の不正に関する実態調査2022」を本日発表した。
不正の発生状況

直近3年間における上場企業の不正の発生割合は4社に1社となり、前回調査と比較して減少した。ただし、新型コロナウイルス禍により現場に赴いた監査(往査)や現場指導が著しく減ったため、不正の発見が困難になっているとの意見も少なくない。
発生した不正の内容は着服または横流しが最も多く、前回調査と同様の傾向であった。
不正リスクに対する意識変化

新型コロナの発生前後で不正リスクが増大したと回答した企業では、対面の減少による牽制機能の低下や内部監査の質の低下に不安を抱く傾向がみられた。
今後注力していきたい施策として、行動規範等の整備やグループガバナンスの高度化に高い関心が寄せられている。十分な取組に至っていないことに課題認識を持つ企業が多いことがうかがえる。
DX化と不正リスク

9割以上の企業がITデータの分析の高度化に関心を示しているものの、具体的な取組みに至っている企業はわずかである。その背景として「高度なITの知見を有する人材が不足している」という回答した企業の割合が53%であったということは、専門的な知見を有する人材不足に関する問題意識が高いことが分かった。
ESGへの関心

9割以上の経営陣が、ESGに関心がある一方で、企業不正の予防・早期発見やリスク・コンプライアンス管理体制の強化に関心があると回答した企業は相対的に少なかった。連結売上高が大きい企業ほど、経営陣はESGに関心があるとの回答割合が高い傾向がみられた。
品質不正

品質不正が発生すると考えられる要因として、「品質管理・品質保証等に対する経営資源(ヒト・モノ・カネ)の投入が不十分」を挙げた企業が最も多かった。前回調査においても収益追求・コスト削減が優先され、品質保証の確保が後回しになっていることが主な要因として考えられていたが、今回調査においても同様の問題意識を有している状況がうかがえる。
調査概要
名称:Fraud Survey日本企業の不正に関する実態調査
調査対象会社:2022年3月18日時点の全上場企業3,873社
調査実施時期:2022年4月
調査対象期間:2019年4月~2022年3月
主な回答者:経理・財務、内部監査、法務・コンプライアンス等の責任者
調査方法:郵送によるアンケート票の送付・回収、ウェブによるアンケートの回収
有効回答数:578社
まとめ
新型コロナがもたらした、環境変化と不正の発生状況、不正リスク等を取り巻く意識の変化などが明らかとなった本調査。自社での取り組みの参考にしてみてはいかがだろうか。