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インボイス制度、9割の企業が懸念点を感じていると回答。業務負荷と人材確保が課題に

2023.10.16
オフィスのミカタ編集部

帝国データバンクは、インボイス制度への対応状況および懸念事項について企業へアンケートを行い、その結果を公表した。

65.1%がインボイス制度対応は順調と回答

有効回答企業1494社に対して、インボイス制度対応ができている企業は全体で65.1%。中小企業で見ると順調に対応できている企業は64.2%、対応がやや遅れている企業は29.1%という結果となっており、インボイス対応は中小企業でも着実に進んではいる。

対応がやや遅れている要因としては、仕入税額控除に対するルールが細かいことや免税事業者対応の税区分などの処理内容が増えることによる業務量の増加や人材不足などが挙がった。一方で順調に対応できていると回答した企業は、社員や取引先に対して早めの対処が功を奏したようだ。

懸念事項、71.5%が「業務負担の増加」とトップに

インボイス制度による懸念事項については「業務負担の増加(71.5%)」「社内での理解・連携不足(51.0%)」「仕入先の対応(50.1%)」が上位を占めた。企業側からは下記コメントが寄せられている。

■インボイスの発行形式や対応が各企業で異なり、確認や保存の方法で業務負担が増す(化学品卸売)
■社員のインボイス制度の理解度がまだ低い(化学品卸売)
■仕入先からは振込手数料を支払者負担としてほしいと依頼が殺到している(機械製造)
■とりあえず請求書に番号を記載しているだけで、その他に何をすれば良いのか分からない(専門サービス)


他にも業務負担増加によってスタッフが疲弊しているとの意見もあげられており、制度に伴う人材流出も懸念される。現在も含め先行きについて多くの企業で不安を抱える結果となった。

まとめ

本調査でインボイス制度による対応は着実に進んでいるものの、業務量増加や社内での理解や連携に関して不安を抱いていることがわかった。

業務量増加に関して、2023年7月から9月に株式会社LayerXが調査した「インボイス制度対応に伴う業務負担増加の試算」によると、請求書1件あたり15分の作業時間が増える結果となった。これは経理担当者1人あたり追加で月間1〜2営業日のインボイス残業が発生する可能性を示唆している(※)。制度への対応はさることながら、経理担当者のフォローや人材確保も急務になるだろう。

関連記事:「インボイス残業」発生の見込み|インボイス制度に伴う企業の追加業務負担を算出

調査概要

アンケート期間:2023年10月6日~11日
有効回答企業数:1494社(インターネット調査)
調査機関:株式会社帝国データバンク