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中堅社員がつまずくターニングポイントが明らかに「育成の空白地帯」中堅社員600名へ初調査|ALL DIFFERENT株式会社

2024.02.16

組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(旧株式会社ラーニングエージェンシー 所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は、社会人5~11年目の役職がついていない中堅社員(※1)600人に対し、2023年9月に直面している困難や不安(壁)に関して意識調査を行った。
(※1)本調査では社会人5年目以降35歳未満の役職がついていない社員を指し、「ミドルキャリア」とも記載

調査実施の背景

同社は、外部環境の変化や競争の激しい昨今、組織が継続的に成長するためには「人」の成長が必要不可欠だと考えている。新入社員や管理職、次期管理職の育成に力を入れている企業は多いが、社会人5年目から35歳前後の中堅社員は、既に経験豊富で自立していると判断され、指導や育成に対する優先度が下がり、いわゆる「育成の空白地帯」となっているケースが多く見受けられるという。

同社では、こうした状況も要因の一つとなり、まさにこれから活躍が期待できる中堅社員が離職してしまう、という課題をよく耳にしていることから、中堅社員が抱える課題とその解決策を明らかにすべく、中堅社員が直面する「壁」をテーマに調査を行った。

直面している壁「知識・スキルへの不安」が最大に

直面している壁「知識・スキルへの不安」が最大に

本調査では、ミドルキャリアに対し、現在どのようなことに困難や不安(壁)を感じているか、仕事や上司、キャリアや自分の成長など9つの項目について質問。結果、最も壁を感じている項目は「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」で45.7%となった。次に、「仕事の量が多いと感じることがある」が44.2%「上司との人間関係について苦労したことがある」が38.3%と続いている。

同社は、最大の壁としてあがった「自分の知識・スキルへの不安」は、社会人2~4年目の若手社員に対して行った意識調査(※2)でも各年次で最大の結果となったことから、若手からミドルキャリアまで一貫して共通する不安であると報告している。

(※2)社会人2~4年目社員の意識調査(直面する壁 実態編)

壁への捉え方が変わるターニングポイントは?

壁への捉え方が変わるターニングポイントは?

さらに本調査では、ミドルキャリアが直面している壁のTOP3であった「自分の知識・スキルへの不安」「仕事の量の多さ」「上司との人間関係の苦労」について、各年次でどのような違いがあるか分析している。

「自分の知識・スキルに不安を感じることがあるか」では、全年次で6割が「ある」と回答。その中でも、社会人7年目と社会人11年目以上はさらに高く、76.2%、75.2%と7割以上が「ある」と回答し、その前の年次(社会人6年目・10年目)で「ある」と回答した割合よりも16ポイント以上高くなった。

「仕事の量が多いと感じることがあるか」では「ある」と回答した割合が、6年目と9年目の社員のみ半数以下となり、その他の年次はすべて6割以上となった。

「上司との人間関係について苦労したことがあるか」では「仕事の量の壁」と同様に、6年目と9年目の社員のみ「ある」と回答した割合が半数以下となった。また、9年目以降では、9年目の45.7%に対し、10年目は62.5%と16.8ポイント上昇。11年目以上も上昇は続き、68.0%と7割近くが壁を実感する結果となった。

知識・スキル面での壁への捉え方について

知識・スキル面での壁への捉え方について

「自分の知識・スキルに不安を感じることがあるか」という質問に対し「ある」と回答した人のうち、33.9%がそのまま「不安に感じた」と回答。次に、24.1%が「成長の機会と感じた」20.1%が「負けたくない・乗り越えたいと感じた」と続く結果となった。

さらに、この「知識・スキルへの不安」の壁の捉え方について、社会人5年目と8年目は「成長の機会と感じた」と回答した割合がそれぞれ35.7%、34.4%と最も高くなっている。一方「不安に感じた」と回答した割合は、社会人6年目と9年目が特に高く、それぞれ40.7%、50.0%。社会人10年目以降も3割を超える結果となった。

仕事量に関する壁への捉え方について

仕事量に関する壁への捉え方について

「仕事の量が多いと感じることがあるか」という質問に対し「ある」と回答した人は、37.7%が「大変と感じた」と回答。次に「不満を抱いた」が21.9%「我慢した」が18.1%と続いた。「この経験を楽しもうと感じた」割合は最も低く、5.7%となっている。

年次別比較では、社会人5年目以外の全年次で「大変と感じた」と回答した割合がトップとなっている。その中でも、社会人9年目が最も高く55.0%に。一方、社会人5年目は全年次で唯一「不満を抱いた」が「大変」を上回り、28.8%となった。

上司との人間関係に関する壁への捉え方について

上司との人間関係に関する壁への捉え方について

「上司との人間関係について苦労したことがある」という質問に対しては「ある」と回答した人が上司との人間関係についてどのような場面で苦労し、その苦労をどのように捉えているか調査。結果「意見が合わない」と回答した割合が38.3%と最も高くなった。次に「適切な指示を出してくれない」が33.0%「厳しい/怖い」が27.8%と続いている。

上司との人間関係で苦労した経験をどのように捉えているかとの質問には、27.8%が「不満を抱いた」と回答。次に「我慢した」が25.2%「会社を辞めたくなった」が19.6%と続いた。

さらに、年次別比較の結果は、社会人9年目が「不安に感じた」と回答する割合が42.9%と突出しており、他の年次と比べ21ポイント以上の差となった。また、社会人6年目、社会人8年目は「我慢した」と回答した割合が38.9%、38.5%と高くなっている。「会社を辞めたくなった」と回答した割合は、社会人6年目が最も高く38.9%、社会人8年目以降は徐々に減少する結果となった。

調査概要

ラーニングイノベーション総合研究所「中堅社員の意識調査(直面する壁 TOP3)
調査対象者:社会人 5 年目~11年目以降の管理職未満の就労者
調査時期:2023年9月28日~9月29日
調査方法:調査会社によるインターネット調査
サンプル数:600人(勤続5年目96人、勤続6年目74人、勤続7年目64人、勤続8年目79人、勤続9年目60人、勤続10年目63人、勤続11年目以降164人)
※各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としている
※構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がある

まとめ

本調査では「中堅社員」と一言に言っても、年次ごとに感じる壁やその捉え方は異なっていることが明らかになった。人事担当者は、それを理解した上でフェーズごとの育成計画を立てていく必要がありそうだ。

ALL DIFFERENT株式会社のCLM(最高育成責任者)は本調査結果について「近い将来、会社の牽引役となるミドルキャリア社員がその能力を最大限に発揮し、組織にとって貴重な資源となるような環境を整えることを強く推奨いたします」とコメントしている。育成計画の見直し等を行う予定があれば、調査結果を参考にしてみてはいかがだろうか。