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二極化が進む『新リース会計基準』への準備状況「制度内容がよくわからない」約半数

2024.02.29

固定資産管理やリース管理をはじめ、資産管理ソリューションをグローバルに展開する株式会社プロシップ(本社所在地:東京都千代田区、代表取締役:山口法弘)は、経理担当者を対象に「新リース会計基準」の認知度に関する調査を実施した。

調査実施の背景

2023年5月にASBJ(企業会計基準委員会)より新リース会計基準案が発表され、近い将来適用される。元々、2026年度からの適用が見込まれていたが、2027年度以降に延期される見通しとなっている。

同社は、実際のところ、直接的に関係するとされる経理担当者の方にどのくらい認知されているのか、改正に伴いどの程度影響が起こると予想されるのかを把握すべく、経理担当者を対象に「新リース会計基準」の認知度に関する調査を実施した。

調査概要

「新リース会計基準」に関する調査
調査期間:2024年1月23日~2024年1月24日
調査方法:リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「PRIZMA」によるインターネット調査
調査人数:1015人    
調査対象:調査回答時に経理担当者であると回答したモニター
調査元:株式会社プロシップ
モニター提供元:ゼネラルリサーチ

リース会計基準改正を知らない経理担当者が約4割超

リース会計基準改正を知らない経理担当者が約4割超

新リース会計基準は、2019年から適用された国際会計基準(IFRS)のリース(IFRS16)と同様の基準で作成されている。そこで同社は、はじめに「あなたの会社はIFRSを適用していますか?」と質問。その結果『適用している(44.3%)』『適用していない(52.3%)』『自社は適用していないが、海外子会社は適用している(3.4%)』という回答結果になったことを明かした。

また「近々、リース会計基準の改正が予定されていることを知っていますか?」との質問に、約4割が『知らない(42.9%)』と回答している。

さらに「リース会計基準の改正によって自社に影響があると思いますか?」との質問では『とても影響があると思う(18.9%)』『少し影響があると思う(38.6%)』と、半数以上が影響があると考えていることがわかった。

二極化が進む新リース会計基準への準備状況

二極化が進む新リース会計基準への準備状況

そこで同社は「リース会計基準の改正に向け、準備を始めていますか?」と質問。約半数が『始めていない(51.7%)』と回答したという。

続いて、実際にどのような準備が行われているかを調査。「リース会計基準の改正に向け、現在の状況に当てはまるものを教えてください(複数回答可)」と質問したところ『プロジェクトチーム発足や監査法人へ相談するなど、会社全体で取り組み中(63.7%)』が最も多い結果になったことを報告している。

これらの調査により、準備を始めていない企業が全体の半数を占める一方で、準備を始めている企業の多くは既に会社全体で取り組んでいることがわかり、二極化が進んでいることが明らかになった。

準備過程での不安「制度内容がよくわからない」が最多

準備過程での不安「制度内容がよくわからない」が最多

同社はさらに「準備過程において不安に感じていることはありますか?(複数回答可)」と質問。最も多い回答は『制度内容がよくわからない(45.5%)』となった。次いで『準備の手順がわからない(31.3%)』『準備を進めるリソースが無い(26.3%)』『自社の契約状況がわからず影響度合いがわからない(21.0%)』『担当者が明確に決まっていない(15.8%)』『同業他社の取り組み状況が分からない(14.2%)』と続いている。

また「公開草案の公表を受け、リース管理システムの新規導入・刷新を行う予定はありますか?」との質問では『ない(32.3%)』『ある(24.3%)』『検討中(23.5%)』『不明(19.9%)』という回答結果になり、約4割がまだシステムの対応を決めかねていることが示唆された。

まとめ

「新リース会計基準」については、適用開始が延期される見通しとなっているとはいえ、近い将来に適用されることは確かだ。本調査では約4割が改正を知らないこと、約半数の企業がまだ準備を始めていないことなどが明らかになった。一方で、準備を始めている企業の多くは既に会社全体で取り組んでいることも明らかになっており、調査結果からは二極化が進む実態がうかがえる。

新リース会計基準では、原則全てのリース取引(不動産や設備などの資産を借りて使用すること)を、資産と負債に計上することが求められる。これまで借り手は実質的に購入に近い一部の取引のみを計上していたため、場合によっては総資産利益率などの財務指標が悪化することも考えられる。

同社は「自社への影響が大きかった場合、業務の変更やシステム対応など、準備に相当の時間が必要となります」と述べ、自社へどの程度の影響があるのか、早期に確認することを推奨している。新リース会計基準の詳細については、企業会計基準委員会の公開資料を参考にしていただきたい。

参考:企業会計基準委員会 企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」等の公表

変更履歴:本文を一部変更いたしました。(2024年3月5日 19:41)