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企業規模別の国内景気が5カ月ぶりに全規模で改善【2024年3月の景気動向調査】

2024.04.04

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は2024年3月15日から3月31日までの景気動向調査を行い、その結果を公表した。ここでは規模別の景気動向に絞って紹介する。

観光産業やインバウンド消費の拡大を受けて2024年3月の動向は上向きに

観光産業やインバウンド消費の拡大を受けて2024年3月の動向は上向きに

TDBによると、2024年3月の景気DIは前月比0.5ポイント増の44.4となり、3カ月ぶりに改善。金融政策の正常化がスタートしたなか、好調な観光産業やインバウンド消費の拡大などが好材料となり、国内景気が3カ月ぶりに上向いたことが明らかになった。

3月は、日本銀行によるマイナス金利の解除および長短金利操作(YCC)の撤廃など、金融政策の正常化がスタート。国内景気は、活発なインバウンド消費と好調な国内観光産業により改善へ。TDBは、個人向けサービス業を中心に個人消費関連が上向いたほか、一部自動車メーカーの工場再開や北陸新幹線の延伸などが地域経済を押し上げたと発表している。一方で、天候不順による春物需要の先送りは景気を下押しする要因となったという。また、物価高にともなう仕入単価上昇の再加速や、不十分な価格転嫁などによる企業収益への影響もマイナス材料となった。

TDBは今後、金融政策における金利引き上げの時期や規模、賃上げやボーナスの増加、減税などによる個人消費の行方が、景気に影響をもたらすとみている。また、実質賃金の上昇やインバウンド需要の拡大、生成AIの発展・普及に伴う生産性向上につながる設備投資の実行が、プラス材料になるとの見解を示した。一方で、人手不足や2024年問題、為替レートや海外経済の動向などは注視する必要があると促している。

5カ月ぶりに全規模で改善

5カ月ぶりに全規模で改善

TDBは5カ月ぶりに「大企業」「中小企業」「小規模企業」がそろって改善したと発表。株価の上昇が投資に好影響を与えたほか、インバウンドや旅行・引越し関連もプラス材料となったという。

「大企業」(48.0):前月比0.3ポイント増 4カ月ぶりに改善
新NISAや株高などでファンドの販売が好調だった「金融」は2カ月連続の上向きに。また「サービス」はインバウンド消費や教育サービスが押し上げた。一方で「不動産」は3カ月ぶりの下落となっている。

「中小企業」(43.8):同0.6ポイント増 3カ月ぶりに改善
設備投資が盛んに行われたことや、イベントやデパートで人出が多くなったとの声もあり、生産と消費の両面が上向きに。飲食料品関連では、製造・小売・飲食店が好調であった。

「小規模企業」(42.9):同0.5ポイント増 3カ月ぶりに改善
インバウンド消費などの旅行関連が堅調。また、引越しに伴う家電や家具類の販売、賃貸住宅の契約などがプラス材料となり「不動産」が上向いた。

調査概要

調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年3月15日〜3月31日
調査対象:2万6935社
有効回答企業:1万1268社
出典元:2024年3月の景気動向調査(帝国データバンク)

まとめ

2024年2月には全規模で2カ月連続悪化となっていたが、2024年3月は5カ月ぶりに全規模で改善となった。TDBは今後の国内景気は緩やかに持ち直していくと見込んでいる。人手不足や2024年問題といった懸念点には注視が必要だが、賃上げや減税によって個人消費が上向くことに期待したい。