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年末調整の実態と課題 2023年は「20時間以上」残業が約3割に

2024.05.10

キヤノンマーケティングジャパン株式会社(代表取締役社長:足立正親)は、自社内で年末調整を完結させている企業(従業員数300名以上)の、年末調整業務担当者106名を対象に、2023年の年末調整業務の実態調査を実施。担当者の約8割が課題を実感していることや、2023年の年末調整業務で発生した残業時間は「20時間以上」が最多となったことを明らかにした。ここでは調査結果の概要をお伝えする。

調査概要

2023年末調整業務の実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2024年4月1日〜同年4月2日
有効回答:自社内で年末調整を完結させている企業(従業員数300名以上)の、年末調整業務担当者(一部携わったことあるも含む)106名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない
出典元:年末調整アウトソーシング 資料ダウンロード(キヤノンマーケティングジャパン株式会社)

必要書類が期限内に集まらない、8割以上が課題感あり

必要書類が期限内に集まらない、8割以上が課題感あり

「期限内に集まらない」「不備の対応に時間が取られる」など本調査では「毎年の年末調整業務に対し、課題を感じることがありますか」との質問に「とてもある(40.6%)」「ややある(39.6%)」と、8割以上が課題を感じていると答えている。

実際に感じている課題としては「必要書類が期限内に集まらない(47.1%)」「不備の対応に時間が取られる(43.5%)」「コア業務に手をつけられない(42.4%)」が上位に挙げられた。そのほか自由回答では「紙の作業が多い」や「必要証明書の計算が複雑」など煩雑な業務に負担を感じている声も聞かれたという。

年末調整の時期の残業時間30%以上増えている担当者が65%以上に

年末調整の時期の残業時間30%以上増えている担当者が65%以上に

続いて本調査では、平常時の期間と比べ、どのくらいの割合で年末調整の時期の残業時間が増加しているか質問。その結果「30%~40%程度増えている(41.5%)」「50%以上増える(23.6%)」となっており、30%以上残業時間が増えている人は65.1%ということになる。「10%~20%程度増えている(23.6%)」も加えると、全体の88.7%で残業時間が増加していることが明らかになった。

残業時間が増加する原因としては「書類の再確認・修正作業(52.1%)」「従業員からの問い合わせ(46.8%)」「締め切りぎりぎりの書類提出(46.8%)」が上位に並んだ。

なお、2023年の年末調整業務のために発生した残業時間は「20時間以上(28.3%)」「10時間~15時間未満(21.7%)」「15時間~20時間未満(13.2%)」と回答する人が多かった。

また、2023年の年末調整業務で特に時間がかかった作業には「従業員からの書類の回収・督促(43.9%)」「システム入力作業(36.7%)」「書類の確認と整理(34.7%)」が上位であった。

2024年度の年末調整に向けて「システムの改善・導入」などを望む声

2024年度の年末調整に向けて「システムの改善・導入」などを望む声

本調査では続いて、2024年度の年末調整の時期に向け、時間外労働削減のために今後検討したい取り組みを尋ねている。その結果「システムの改善・導入(48.1%)」「作業プロセスの見直し(47.2%)」「人員の確保(34.0%)」「年末調整のアウトソーシング(32.1%)」を望む声が多く挙げられた。

同社は中でも「年末調整のアウトソーシング」の導入を望む声に注目。導入を今後検討したい理由として「業務負担が軽減されると思うから(73.5%)」「専門知識が豊富だと思うから(52.9%)」「ミスの減少に繋がるから(50.0%)」「コストを削減できるから(50.0%)」などの回答が多かったことを明らかにした。

まとめ

担当者の多くが年末調整業務に課題を感じており、残業時間が多く発生していることが明らかになった。2024年は定額減税への対応もあり、より煩雑化することが予想される。ツールの導入・見直しや、人員体制の整備など、自社の状況に応じて早急に対応を進めておく必要があるだろう。

年末調整時の減税事務については、2024年9月ごろに国税庁ホームページにて随時公開される予定となっている。まずは月次減税事務に対応しながら、対象者の確認やツールの選定など、できることから準備を始めてみてはいかがだろうか。

参考:給与等の源泉徴収事務に係る 令和6年分所得税の定額減税のしかた (国税庁)