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人事部が取り組みたいテーマ第1位は?経営と連動した組織作りが課題に

2024.05.27

組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(旧株式会社ラーニングエージェンシー、所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:眞﨑大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は、2024年1月15日~3月25日の期間で、企業の人事責任者・人事担当者340名を対象に「人事部の実態調査」を実施。従業員が300名以下の企業と、301名以上の企業に分けて分析した。ここでは調査結果の概要についてお伝えする。

調査実施の背景

人的資本の情報開示が2023年に義務化され「人的資本経営」の考えがますます注目されている。社員育成の重要度が高まり、経営戦略と連動した人事戦略に取り組む企業が増える一方、同社には「何から手を付けてよいかわからない」との悩みの声が届いているという。近年は入社前後のギャップや「配属ガチャ」による若手社員の早期離職、さらには人手不足による優秀な人材の獲得競争の激化など、人材の定着・確保の課題も。

そこで同社は、社員の育成を第一に考える経営者、人事担当者の抱える課題を一緒に解決すべく、まずは実際に人事部がどのような課題を抱いているか実態調査を行った。

調査概要

ラーニングイノベーション総合研究所「人事部の実態調査(人事の課題編)」
調査対象者:同社サービスを活用している企業の人事責任者・人事担当者
調査時期:2024年1月15日~2024年3月25日
調査方法:Webでのアンケート調査
サンプル数:340人
出典元:【人事部の実態調査(人事の課題編)】人事部が取り組みたいテーマ、2年連続「人材育成・組織開発」1位| ニュースリリース |人材育成・社員研修(ALL DIFFERENT株式会社)
※各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としている
※構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がある

人事部として取り組みたいテーマ「人材育成・組織開発」

人事部として取り組みたいテーマ「人材育成・組織開発」

本調査では初めに、人事部として取り組みたいテーマ(課題)を質問。その結果、300名以下企業は84.0%、301名以上企業は95.1%が「人材育成・組織開発」と回答した。特に301名以上企業では、300名以下企業より11.1ポイント高く、ほとんどの企業が取り組みたいテーマ(課題)と認識していることが明らかに。次いで「採用」が300名以下企業は67.1%、301名以上企業は72.5%と続いている。

300名以下企業と301名以上企業の差が大きいものとしては「経営との連動性の向上」が、301名以上企業が300名以下よりも12.7ポイント高い。同社は「割合としては高くないものの、大企業の人事部は中小企業よりも、人材戦略を経営の一貫として捉える傾向にあることが示唆できます」とコメントしている。

また、本調査では昨年の結果との比較も実施。300名以下企業では、順位は変わらないものの「人材育成・組織開発」の割合は昨年から6.1ポイント「労務管理」は7.2ポイント減少し「経営との連動性の向上」の割合は3.0ポイント上昇した。

一方、301名以上企業では「人材育成・組織開発」と回答した割合が1.4ポイント上昇。「採用」も13.6ポイント上昇し、最大の伸び率となっている。301名以上の大企業では「人材育成・組織開発」や「採用」に関する取り組みを重視する割合が、昨年よりも高まっているようだ。

人材育成・組織開発を推進する上での課題、企業規模でトップに違いが

人材育成・組織開発を推進する上での課題、企業規模でトップに違いが

続いて本調査では、人材育成・組織開発を推進する上でどのような課題があるか調査した。

300名以下企業では「現場社員の現業が忙しく、育成に割ける時間(育成施策を受ける時間)がない(61.3%)」「人材育成・組織開発を推進するメンバーの知識が不足している(59.3%)」「人材育成・組織開発を推進するメンバーの人手、時間が不足している(58.2%)」が上位となった。

301名以上企業では「部署によって育成への意識や取り組みに差がある(75.3%)」がトップに。この割合は300名以下企業よりも21.2ポイント高く、最大の差となっている。次に「現場社員の現業が忙しく、育成に割ける時間(育成施策を受ける時間)がない(73.2%)」「人材育成・組織開発を推進するメンバーの人手、時間が不足している(70.1%)」が続いた。

育成環境の整備について課題を感じる点としては、300名以下企業では「人材要件・教育体系の整備(48.5%)」「評価制度の見直し(41.6%)」「キャリア開発の仕組みづくり(39.0%)」が上位に。

301名以上企業では「人材要件・教育体系の整備(61.8%)」「キャリア開発の仕組みづくり(59.8%)」「社員満足度の向上(52.9%)」の順で多く挙げられた。

注力して取り組みたい育成階層は企業規模問わず「次期管理職」がトップ

注力して取り組みたい育成階層は企業規模問わず「次期管理職」がトップ

次に本調査は、特に注力して取り組みたい育成の対象を質問している。その結果、トップは企業規模を問わず「次期管理職」となったという。

300名以下企業では「次期管理職(61.9%)」「中堅社員全般(25歳~35歳かつ役職がついていない社員)(60.6%)」「リーダー(現場でプロジェクト等を推進する役割をもつ社員)(56.3%)」の順に。

301名以上企業では「次期管理職(74.5%)」「中堅社員全般(25歳~35歳かつ役職が付いていない社員)(58.8%)」「既任管理職(57.9%)」が上位となった。

まとめ

本調査結果から、人事部は昨年と変わらず「人材育成・組織開発」への取り組みを重視していることが明らかになった。その上で、中小企業は育成時間の捻出に、大企業は全社を巻き込んだ施策の実施に課題があるようだ。また、育成環境の整備においては企業規模を問わず「人材要件・教育体系の整備」が大きな課題になっていることもわかった。

同社はこうした実態に対して「人材要件・教育体系を構築するためには、経営方針を深く理解し、経営と連動した体系づくりが求められます。そのためには、まずは経営の方向性を明確に言語化した上で、育成施策への落とし込みを推進すること。さらには、落とし込んだ育成施策を全社に共有する場を計画的に作っていくことが重要でしょう」と提言した。

育成環境の整備に課題を感じているのであれば、まず「経営の方向性が言語化できているか」という点から見直してみてはいかがだろうか。