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大企業の2割が退職代行業者からの連絡を経験|TSRが初めて「人材確保と退職代行に関するアンケート」を実施

2024.06.20

東京商工リサーチ(以下:TSR)は6月3日~10日、企業を対象にインターネットで「人材確保の施策」と「退職代行」についてアンケート調査を実施した。人材確保と退職代行に関するアンケートは今回が初めて。調査結果の概要についてお伝えする。

調査概要

調査期間:2024年6月3日~10日
調査方法:インターネットによるアンケート調査
有効回答:5149社
出典元:「退職代行」業者から連絡、大企業の約2割が経験 人材確保に「賃上げ」、「休日増」などで対抗(東京商工リサーチ)
※本調査では資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義

退職代行利用が大企業で約2割 人材確保に向けて賃上げ実施が7割超

退職代行利用が大企業で約2割 人材確保に向けて賃上げ実施が7割超

TSRによると、社員が「退職代行」業者を利用した退職は、全体で9.3%の企業が経験しているという。規模別では大企業が18.4%、中小企業は8.3%で、大企業ほど「退職代行」が広がっている様子がうかがえる。

退職代行を活用した従業員の退職があったと回答した企業の業種別(母数10社以上)は、美容・理容業、クリーニング業などを含む「洗濯・理容・美容・浴場業」の33.3%(15社中、5社)が最多。次いで、百貨店などを含む「各種商品小売業」が26.6%(15社中、4社)、旅館やホテルなどを含む「宿泊業」が23.5%(17社中、4社)と続いている。TSRは消費者と直接対面する接客業や販売業のBtoC業界が多いという特徴を指摘した。

新規採用や離職防止の人材確保への取り組みでは「賃上げをした」が73.5%で最多に。規模別にみると大企業で84.9%、中小企業で72.2%だったという。また、全体で2番目に多く挙げられた「休暇日数を増やした(24.4%)」は中小企業が25.2%で、大企業の17.7%を上回った。TSRは、採用活動で劣勢に立つ中小企業が休暇増を前面に打ち出し、競争力を高めていると分析している。

まとめ

TSRは賃上げや休暇日数の増加について、退職を止める決定打になっていないと指摘する。転職市場の活性化に連動するように退職代行業の利用が増加。少額で利用できる代行業者の登場により、退職への心理的ハードルが下がっているとみている。

企業サイドからすれば憤りを感じずにはいられない早期退職だが、TSRは求職者サイドとの齟齬は容易には埋まらないと考察。「企業は今一度、人材確保の取り組みに加え、社員や学生の意識の変化を織り込んだ人事戦略の練り直しが求められている」と提言した。

株式会社MS-Japanが実施した調査(※)では、退職代行サービスの知名度が9割を超えた。若い世代では「いざという時に役に立ちそう」とのイメージを抱く人も多く、20〜40代では約2割が「機会があれば利用したい」と考えているとの調査結果も出ている。こうした結果からは、利用者が増加する可能性があると考えられるだろう。

人材不足の中で採用力強化への取り組みはもちろん、入社後の離職防止への取り組みの重要度がより高まっているのではないだろうか。

※出典元:退職代行サービスの知名度は92%!利用したことがある割合は?【退職代行に関する実態調査】(株式会社MS-Japan)