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中途入社は新卒より早期に退職判断する傾向|短期退職に関する調査レポートが公開

2024.07.18

生活者を中心にしたマーケティング支援事業を提供する株式会社ネオマーケティング(所在地:東京都渋谷区)は「短期退職」をテーマにインターネットリサーチを実施。人材不足の深刻化により、企業での人材流出への対策がより重要となっていることを背景に、1年以内に自己都合退職した人(退職側)と、1年以内に自己都合退職した社員に関与した人事・教育担当者(退職される側)に対し、退職周りの実態を聴取したという。調査結果の概要についてお伝えする。

調査概要

調査方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
調査対象:全国の20歳以上の男女のうち、短期退職者(現在社会人で、新卒入社or中途入社で1年以内の短期退職経験者)または1年以内に退職した従業員に関与した経験のある、企業の人事・教育担当者
有効回答数:短期退職者500名、人事・教育担当者500名
調査実施日:2024年5月10日~2024年5月13日
出典元:短期退職に関する調査(株式会社ネオマーケティング)

退職の判断は新卒より中途入社の方が早い

退職の判断は新卒より中途入社の方が早い

本調査ではまずはじめに、1年以内に自己都合退職した経験のある人(以下:短期退職者)に対し、その会社・職場での在籍期間を新卒・中途それぞれで質問。その結果、1年以内に自己都合で退職した会社・職場での在籍期間は、新卒入社した会社の場合「1年以内」が最多で29.0%、中途として入社した会社の場合「3か月以内」が最多で22.6%となっている。

また、在籍期間が長くとも3か月以内(「1週間以内」「2週間以内」「1か月以内」「3か月以内」の合算)の割合で比較しても、新卒入社した会社の場合は46.6%、中途として入社した会社の場合は57.7%と、後者の方が11.1ポイント高くなったことが報告された。

待遇面に退職理由のギャップ

待遇面に退職理由のギャップ

続いて「1年以内に自己都合退職した理由」と「社員が1年以内に自己都合退職した理由として、把握しているもの」について比較。順序はやや異なるものの、両者で上位4項目は共通しており、概ね退職理由の認識に相違は無いという。

一方で「残業・休日出勤が多い」や「給与に不満があった」割合は短期退職者でそれぞれ18.8%・16.8%あるのに対し、人事担当者では11.8%・11.8%にとどまっており、両者でズレが生じていることが明らかに。人事担当者が把握している以上に、待遇面におけるネガティブな理由で辞める割合は多いようだ。

また、妊娠・出産・育児や介護に対する職場の制度、実施されているケアは十分だと思うか尋ねる項目では「とてもそう思う」の割合は短期退職者で9.2%、人事担当者で23.6%となり、14.4ポイント差が生じている。「とてもそう思う」「ややそう思う」の合算で比較すると短期退職者39.6%、人事担当者68.5%で、28.9ポイント差とさらに大きな差となった。

制度やケアの理想と実態

制度やケアの理想と実態

本調査では短期退職者に、会社・職場にどのような制度やケアがあれば辞めずに済んだと思うか質問。人事担当者には妊娠・出産・育児や介護をおこなう社員に対し、会社・職場にある制度、実施されているケアを尋ね、理想と実態を調査している。

その結果「職場での理解促進・雰囲気づくり」「柔軟な勤務時間やリモートワークの許可」「カウンセリングやメンタルヘルス支援の提供」など、退職者の希望する制度やケアの多くが、実際に設けられていることが明らかになった。

短期退職者がトップに挙げた「職場での理解促進・雰囲気づくり」について「1年以内に自己都合退職した理由」でも「上司との人間関係」「同僚・部下との人間関係」が上位に入っていることから、短期退職者は職場の雰囲気に敏感であることが推察される。

また、入社1年目の社員に対する会社・職場側のケアの充実度合いについて、充実していると感じている割合(「とても充実していた(とても充実している)」「まあ充実していた(まあ充実している)」の合算)は短期退職者で27.8%、人事担当者で63.0%となり、35.2ポイントもの差がみられている。

同社は「『自分に合わない』と入社早々に判断されてしまわないよう、会社側としては、同期入社または近い時期に入社した社員と交流させ、相談しやすい“横のつながり”を作らせる、中途入社の場合は前職での経験・強みを社内に徹底的に周知させ、やりがいのある業務を担うチャンスを増やすなど、より細かなケアが求められるでしょう」とコメントした。

まとめ

本調査では中途入社の社員は新卒と比較して退職の判断が早い傾向にあることが明らかになった。また、早期退職者が抱く待遇面の不満は、会社側が把握する以上に退職の決め手となっていることも判明。調査結果からは会社側の用意している制度やケアに満足していない様子も垣間見える。

同社は会社として既に制度を設けていたとしても、その内容が社員の希望に沿っていない可能性を指摘し、既存制度をさまざまな角度から検証するよう促している。安心して働き続けられる環境を提供するためにも、社員が望む制度やケアをより具体的に把握する必要がありそうだ。この機会にぜひ自社の制度の見直しを検討していただきたい。