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休職や離職を未然に防ぐ仕組み、多くの企業で整わず 人事・労務担当者対象アンケート エムステージ調査

2024.10.02

株式会社エムステージ(東京都品川区、代表取締役:杉田雄二)は、企業の健康への取り組みをサポートするサービス「健康経営トータルサポート」のリニューアルに伴い、企業の人事・労務担当者400名に「職場の健康に関する取組み」についてアンケートを実施した。

健康経営®の推進が求められる昨今、同社では、フィジカルヘルス不調者やメンタルヘルス不調者、それによって休職や離職が発生した場合の担当者の業務や会社のリスクに着目して、本調査を実施したという。未然に防ぐ仕組みづくりが、どのような効果をもたらすのかという考えのもと、発生した事象への対処を行う人事・労務担当者の声や、代わりの人材採用にかかるコストなどを明らかにしている。

※「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標

調査概要

「職場の健康」に関するアンケート
調査対象:企業の人事・労務担当者
調査日:2024年8月19日~8月26日
調査方法:webアンケート
有効回答数:400(従業員数1~49名規模:100、50~99名:100、100~999名:100、1000名以上:100)
出典元:企業の人事・労務担当者400名にアンケートを実施(株式会社エムステージ)

休職者・離職者の状況と企業の対応状況

休職者・離職者の状況と企業の対応状況

本調査結果をみると、コロナ前と昨年度(2023年4月~2024年3月)を比較した際のフィジカルヘルス(身体的)不調者やメンタルヘルス不調者の増減の程度について「かなり増加した(8.0%)」「やや増加した(24.5%)」と、3割以上が増加を感じていることがわかる。

なお具体的に、1カ月以上の休職、もしくは、離職した従業員数が「1名以上」いると回答した担当者は40.6%であったという。

また、フィジカルヘルス不調者やメンタルヘルス不調者、それによる休職者・離職者が発生した際の対応について「専用のオペレーションが無い」と回答した担当者は35.8%で、「専用のオペレーションがある」は28.7%となっている。

未然に防ぐ仕組みは約半数が整っていない現状 多くは発生後の対処に注力

未然に防ぐ仕組みは約半数が整っていない現状 多くは発生後の対処に注力

次に本調査では、フィジカルヘルス不調者やメンタルヘルス不調者の発生を未然に防ぐための対策や、従業員からの訴訟等、会社としてのリスクを生まないためのルール作りなど「問題の発生を未然に防ぐ」ための仕組みについて質問。48.5%が「整っていない」と回答したという。

現在行っている、職場の健康に関する取組みにおいて、最も時間をかけていること・かかっていることとしては「ほとんど何もやっていない(126)」という回答が最多に。次いで「不調者(フィジカル・メンタル含む)の面談対応(52)」「健康診断・ストレスチェック結果の分析・対策(49)」「健康診断・ストレスチェックの準備・手配(46)」「休職者の対応(38)」が挙げられている。

さらに本調査では、フィジカルヘルス不調者やメンタルヘルス不調者、それによる休職者、離職者の対応において、負担や難しいと感じることに関してフリー回答形式で質問。対応担当者の不足に関するコメントが最も多く寄せられたことが報告された。

不調による離職者の代わりの採用 年間コスト約85万円

不調による離職者の代わりの採用 年間コスト約85万円

続いて本調査は、離職者数の加重平均と採用コストの平均相場から、不調による離職者の代わりを採用するにあたってどの程度のコストがかかっているか試算。

昨年度(2023年4月~2024年3月)の期間で、フィジカルヘルス不調やメンタルヘルス不調が原因で離職した従業員数の加重平均は1.0人。厚生労働省が公表した「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 調査結果(令和4年)」では「民間職業紹介事業者(紹介会社)」を利用する場合の正社員の採用コストの平均相場は85.1万円となっている。これらの数値をもとに、フィジカルヘルス不調やメンタルヘルス不調で離職した社員(正社員)の代わりを採用するために【不調による離職者の加重平均1.0人】×【85.1万円】のコストが発生しているとの結果が報告された。

※出典:「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 調査結果(令和4年)」(厚生労働省)

まとめ

本調査では、休職者・離職者の発生を未然に防ぐ仕組みについて、約半数の企業で整っていない状況にあることがわかった。結果的に発生後の対処に時間を費やしており、コストも発生している。改めて心身の不調が原因の休職・離職を予防する取り組みの重要性が示唆されたと言えるだろう。

本調査では担当者の不足を指摘する声が多く寄せられたとの報告もあった。担当部署の状況によっては、取り組みの重要性を認識しながらも、リソースの不足で取り組めていないという実態もあると推察される。この機会に、業務の効率化や業務体制の見直し、社外ツールの活用などを検討してみてはいかがだろうか。